大汝山登山 その4
投稿日 : 2015年09月17日
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雷鳥沢まで尾根伝いにまっすぐ下る「大走ルート」は殺風景な足下を見ながら延々と下る。
2
がれがれぽー!
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歩きにくいし後頭部はジリジリと日に焼かれるしで、だんだん飽きてきたころ、ようやくイワギキョウたんが「おかえり」と迎えてくれた。
雷鳥くんの声も聞こえるし、ハイマツが日陰を作っているところで小休止して、姿を現すのを待ってみるのもいいねえ。
さて、エネルギー補給にチョコレートを…
…
あれ?ない。
リュックのどこを探してもない。
ジャケットやら飲み物を出したときにこぼれて、どこかに置き去りにしたか?
後でわかったのだが、駅のコインロッカーに預けた旅行カバンに、宿泊セットと一緒に突っ込んでしまっていたのだ。
がーん、不覚!
行動食を忘れてきてしまうとは。
山登りのように大量にカロリーを消費するときは、こまめに糖分を補給しないとハンガーノックとか低血糖とかいう状態になって、動けなくなるらしい。
そこまで行かなくても、血糖値が下がると気持ちの踏ん張りが効かなくなるものだ。
仕事で遅くまで残業するときは夕飯を食べずに働き続けることがあるが、頭の回転が鈍くなってぜんぜん能率が上がらないし、ちょっと手を抜きたくなる気持ちが頭をもたげてくる。
歩いているときは足を上げるのをサボってしまい、ちょっとした地面の突起につまずいて、よろけることなんてこともある。
いつもなら、3時間以上歩くときは板チョコを1枚、5時間以上歩くときは板チョコ2枚と非常食を持っているのだけど、今回は行動食も非常食も置いてきた。
予定では、あと2時間で室堂ターミナル。
30分も歩けば雷鳥山荘にたどり着くはず。
まあ、ナントカなるでしょ。
ここで悲観的に考えたところで事態が解決するわけでもなし。
4
やあ、ミヤマリンドウたん、ボク、おなかすいちゃったよ。
5
雷鳥沢まで下りて、室堂平の方角へ目を向ければ、紅葉が始まった灌木の尾根が見えた。
ああ、あれを登り返せば室堂平か。
しかし、きつそうだなあ。
それ、もう一踏ん張り。
だが、これが間違っていた。
というか、地図で確認する作業をサボっていた。
本来のルートならミクリガ池の縁を歩くことになるはずなのだが、いっこうにその気配が見えない。
それに、沢を挟んで向かいの尾根のほうが、稜線を歩く人が多くて賑やかだ。
頭にハテナマークを浮かべながらも、遊歩道を整備する業者が作業している現場を通過して、ここが室堂ターミナルから延びる遊歩道の一部だと思い込んでしまった。
6
14:00、そろそろ室堂に着いてもいいはずなのだが、室堂ターミナルの建物はいっこうに沢の向こう。
それどころか、道は建物に背を向けて、さらに標高を上げようとしている。
なんかこれ、ちがうぞ。
やっと地図を見る気になった。
そもそも室堂ターミナルだと思っていた建物は、室堂山荘という別の建物で、歩いてきたのは一ノ越へ上る道だった。
おーまいがーっ!
神様、レッドブル様、あの沢を飛び越え、室堂まで飛べる翼をください!
うーん、戻ってミクリガ池へ登り直すか、一ノ越まで登って、朝登った道を下るか…
水平距離だけなら一ノ越へ登ったほうが近そうだ。
しかし、道の様子はわからない。
戻れば雷鳥沢にキャンプ場があって、テントもけっこう張られていたから、最悪の場合は角砂糖1コぐらいは分けてもらえるかも。
ここは戻った方が安全だろう。
戻って30分。
登り直して1時間半
トータル2時間ぐらいのタイムロスになるだろうか。
まだ滋賀までの最終便には余裕はあるな。
7
30分かけて来た道を戻り、雷鳥沢野営場を通り抜けて本来の道へ復帰する。
目の前には長い急階段。
うぇぇええ、もういやだー。
風が冷たくなって、ガスも出てきた。
雷鳥荘まで水平距離で500m、標高差100mほど。
後ろから来る登山客に次々と追い越されるペースで、ゆるゆると登る。
地獄谷から硫化水素を含んだ風が吹いてきたので、タオルを口に当てて、呼気で湿らせながら息をする。
8
あー、甘いものが食べたい。
空飛ぶアンパンが来ないかなあ。
やっとの思いで雷鳥山荘に到着し、スポーツドリンクとチョコレートを買って元気を回復した。
ほっと一安心で、残りの1.2kmを歩き、15:40に室堂ターミナルに到着。
タイムリミットを過ぎてしまったけれど、この日は15:55に室堂を出る臨時バスが来たので、当初の予定通り、新幹線を使わなくても滋賀まで帰れる時間に立山駅まで下りることができた。
もう、こんな忘れ物はしちゃあいけないなあ。
事態が悪い方向に転がれば、遭難しかねない流れだ。
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