いやぁ久々に素晴らしい車を乗る機会に恵まれました。
本日の試乗車はマセラティ グラントゥーリズモSです。(以下「GTS」と言います。)
これはスポーツカーカテゴリーの車ではなく、その名の通りグランツーリスモと呼ぶに相応しい純粋なクーペです。
私が好きなゼロヨンとかニュルとかのテストデーターやサーキットでのスタビリティを語る車ではなく、
官能的に人生を楽しみたい方が乗るべき車です。
私にとって禁断の車を試乗してしまったかもしれません。
平面的な画像で見ると何か訴えかけるカッコ良さが伝わりませんが実物は物凄くグラマラスで筋肉質で異彩なオーラーを放ちまくってます。
エクステリアのデザインは立体的に彫りが深く角度によって表情が変わるため、どこかルネッサンス時代の彫刻像を彷彿させられます。
流れるようなフェンダーラインと跳ね上がったトランクスポイラーの処理は
まさに芸術品!
ガンメタリックの20インチAWの間から顔を出す赤く塗られたブレンボのキャリパーに打刻されるマセラティの文字が美しい。
え、キャリパーの色は6色から選べるんですか?すげーっ!
このテールラインの美しさも実に素晴らしく、パリコレのスーパーモデルの後姿のようです。
ノーマルGTとGTSの外観上の違いは、ヘッドライトのインナーカバーの色(メッキがノーマル、黒がGTS)とマセラティのフロントエンブレム(王冠にレッドラインがGTS)、マフラーが平べったい2本出しか4本出しか(平2本がGTS、普通逆だわ)、アルミが20インチで360mm径ディスク&モノブロックキャリパーか否かの差です。
エンジンは4400ccから4700ccにボアアップされ440hp、0-100Km/hメーカー公称値4.9秒となっています。
また意外にも素晴らしく実用性に優れていて2+2の後席は大人が余裕で座れるんです。
トランク容量も不満のないレベルで余裕でゴルフやレジャーにも利用可能です。
このGTSの特筆すべき最大の特徴はエキゾーストサウンドとトランスミッションにあります。
GTSのために開発された専用エグゾーストシステムには、排気音をコントロールする仕掛けが施されています。
普段控えめの排気音は、“SPORT”ボタンを押すことでバイバスバルブが開き排気音が一気に大きくなります。
なんじゃこりゃ~~~~~~~~~~!!
すげ~~~きもちいいいいい~~~~!!
排気がストレートにテールパイプへと導かれたときの美しいサウンドはもう
失禁モノです。
同じエンジンをベースにするフェラーリF430ほど激しくはなく、丸みのある官能的な快音サウンドがもうたまらないほど気持ちいい!!
管楽器か!?野獣の咆哮か!?オペラの歌曲か!?
いや表現できないほど官能的で腹に脳に心に排気音の調律が響き渡ります!
あぁもうどうにでもして!もうなんでも言うこと聞くわ!と言いたくなるほど最高でした!
どうやったらこんな快音が作れるのだろう?
しかも下品さが一切なく、惚れ惚れする美音!芸術品と呼ぶに相応しい響き!
この快音を奏でるマフラーが売っていたら
200万円でも欲しい!!
そのぐらいの素晴らしさです!
動力性能ですが、V8DOHC 4.7Lの440hpはさすがに不足を感じることはない。
そしてトランスミッション!これもエエ!
M-DCTやPDK、DSGといった湿式ツインクラッチではなく乾式ツインプレート・クラッチを備えた6段シーケンシャル・ギアボックスを採用しています。
このセミ・オートマチックシステムはコンピューターがクラッチを切って変速するため変速ショックが大きいのですが、SMGやセレスピードのようなガクガク系ショックではなく、
リアルに
クラッチを踏んで変速するショックと息継ぎがあるのです。
これがメチャ楽しい!乾式クラッチですから当然に低速走行時は半クラを使うことになり、シフトアップもシフトダウンもマニュアルトランスミッションそのもの。
M-DCTやPDKでは味わえない楽しさと操作感を満喫できます。
さらにマニュアルモードとオートモードがあり、それぞれにノーマルとスポーツが用意されマニュアル・スポーツモードを選ぶと、特定の条件下で変速速度を速める「MC-Shift」が働きます。
このMC-Shiftはエンジン回転数5500rpm以上、スロットル開度80%以上のときに作動し、シフトチェンジに要する時間を0.1秒まで短縮する機構になっていますので、湿式ツインクラッチ同様に人間の限界より早いシフト操作が可能とのこと。
それにしてもパドルが大きくて操作し易い!ステアリング回しながらの操作も問題なし!
試乗したのは一般道であったためMC-Shiftを試すことは出来ませんでしたが低速でも楽しさ十分!
快音エキゾーストサウンドとリアルな乾式ツインクラッチの操作感が相まって
超楽しいっす!めっさオモロイっす!きんもちイイっす!
心地よいエキゾーストノートがトンネルや壁に反響するともう
泣きたくなるほど最高に気持ちいい!!!
取り回しも楽です。
フロントノーズが長いのですが、ナンバーが下摺りセンサーになってくれるのでキズ予防装置(?)になります。
ステアリングも切れるし視界も広いので普通の感覚で運転できます。なんか意外に小回りがきく。
最小回転半径 5.35m!
え?ウゾ!!E92M3は・・・5.9mなのに(;ω;)
足廻りは硬めだが収束がよく突き上げの不快感は感じない。かなりイイ!!
ノーマル、スポーツの可変ダンパーを採用しているが試すのを忘れてしまった。
ブレーキも文句なし。F6/R4ポットのブレンボに360mm大径ドリルドディスク採用じゃ当然ですね。
はぁ~もうなんと言うか、車を降りたくないと心を躍らせ、脳内麻薬とドーパミンとアドレナリンを大量分泌させる高揚感。
これでもかと漂う色気と艶気と気品、もう
魔力に近いものがある。
加速やラップタイムがどの車より何秒速いなどといった下衆な話はどうでもよくなる絶大な魅力。
このGTSに乗って
街を流しているだけで幸せな人生を味わえる、
そんなクルマですよ、これは!
ご存知のとおりマセラティはフェラーリ傘下のメーカーで、このGTSもフェラーリ工場で生産されてます。
かつてはライバル同士だった両社ですが今や、マセラティは実用性の高いスーパーカー入門車を担当し、フェラーリは本格スーパーカーを担当する丁度良いクラス分けがなされています。
結論としてGTSは私が今まで乗った車の中で最上級に官能的な車でした。
さすがと思うのはレザーカラーが10色から選べるだけでなく、ステッチ色、ウッド、カーペット、ダッシュ、トリム、シートベルト等もお好みの色でオーダーできる!
フェラーリほど無茶苦茶に高いオプション設定ではないので乗り出し1900万円弱になります。
私にそんな予算が到底用意できるはずもなく現実味がありませんが、いつか是非欲しいと思ってしまいました。
私の夢はGT3ですから買うとしてもその後になりますので、道のりはカナ~リ遠いです(*゚∀゚)b
430や599になるとこれを上回る悦びがあるのかな~と思うと逆に怖くなってしまいます。
フェラーリもマセラティもそうですが、アルファもランチャもフィアットもこれがイタリア車の味なんだな~と実感しました。
皆さんも機会があったら試乗してみてください。絶対欲しくなっちゃいますよって!