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2022年11月19日

ジャンゴ150を初期型ヴェスパGTS250IEと比較してみました

ジャンゴ150を初期型ヴェスパGTS250IEと比較してみました 現有のジャンゴ150の前は、初期型のヴェスパGTS250Ieに9年乗っていました。この2台を比較してみることにします。

乗って楽しく、甲乙つけがたい2台
ジャンゴ:・・・軽やかな取り回し、ゆったりした乗り味、150ccでも高速道利用ツーリングに耐えるパフォーマンス

ヴェスパ:・・・胸のすく思いがする抜群の加速感、スチール製モノコック構造と絶品シートがもたらすシュアな乗り味

見た目
レトロスペクティヴな造形という点で共通する2台ですので、これをどう見るかで評価が分かれると思います。クルマやバイクは、商品性を高めるために、合理性を追求するというより、情緒に訴える造形が与えられるのが常ですので、この2台はまさにその路線上にあり、旧態依然のエンジニアリングを「オシャレ系?」の皮衣で包み隠した悪く言えば「売らんかな」なデザインの典型とも言える車体だと思います。
まあ、最初のヴェスパが登場した1946年当時は、合理性の塊とも言える革命的デザインでしたし、リスペクトに値するものだったと考えますので、ヴェスパについては、その造形上のアイコンを引用しレガシーを引き継いでいるとの言い訳も立つとは思います。
一方ジャンゴについては、自社の往時のモデル(1950年代のS55型)をモチーフにしていると称していますが、どう見ても似ているとは言い難く、むしろヴェスパが定着させたスクーター造形のステレオタイプに倣っているだけとも言えるのではないでしょうか。
若い頃はこういうレトロ路線の意匠は耐え難く、よって、もし今が三十代なら決して手を出さない2台です。さりながら、そのデザインによる「手口」が鮮やか過ぎて、かつどうにもこうにも美しいので、そこまでやってくれるならむしろ面白いじゃないのという、いささか捻じれた思考に後押しされてそれぞれ買ってしまったのかなと思っています。

取り回し、走行安定性、ハンドリングなどの味付け
比較すると、ヴェスパが全長で5mm長く、シート高が20mm高く、車重は10キロ重いのですが(乾燥重量はジャンゴが129キロ、ヴェスパは初期型は現行型より軽く139キロ)、ジャンゴの方がその重量差以上にというか圧倒的に軽く感じ、老骨でも取り回しは極めて楽です。ヴェスパは決して重いバイクではないのですが、腰高感もありジャンゴ比では相当に重く感じます。
ジャンゴは、ボディシェルが鉄製であるヴェスパに対し樹脂製(比重が大きい鉄製フレームは下部に集中)なのと燃料タンクが足元のさらに下に位置しているのも低重心化に効いているようです。加えて、車体幅がヴェスパ比で45mmナローなので、これらの要素が相まって癖のない走行時の安定感やより気楽な取り回し感をもたらしているように思われます。
一方ヴェスパは腰高な感じがありますが、必ずしもこれが悪いとは言えず、ある種の安定感をもたらしているようにも感じます。タイヤの接地点を支点に見立てると、重心が高いということは、支点から重心までの距離が長くなるので、その結果慣性モーメントがより大きくなり安定性に寄与している感じです。綱渡りの曲芸師が手にした長い竿を使って安定を保つのやおしなべて重心が高いオフローダーが外乱に強いのと同じ理屈かと思われます。ただし、横風への耐性はジャンゴ比ですと(どちらも、リアボックスないしは大型のリアバックとフルサイズスクリーンを装着)相当に劣る感じで、横浜ベイブリッジ、レンボーブリッジ、東京ゲートブリッジ等を渡るのは、並の風速時でもできれば避けたい車体です。実際に経験していますが強風時だと命に関わるリスクがあります。
ハンドリングの味付けは、コーナリング時はヴェスパの方がクイックというか強めの倒れ込み傾向を感じます。これはジオメトリーの違いによるものなのでしょうか。一方ジャンゴは、鈍重ではないですが神経質なところが一切ないおっとりタイプ。スロットルレスポンスも穏やかなので、速度を一定に保ちどこまでも走って行くといったシチュエーションだと良さが滲み出ます。好みが分かれるところですね。

加速力、最高速と高速走行への適性、ブレーキ
ヴェスパのジャンゴ比で2倍近い出力(因みに国産鈍重250ccクラススクーター相手では無敵のパワーウェイトレシオ)は明確な加速力の差となって現れますが、非力なジャンゴでも一般道では交通の流れを苦もなくリードできますので何の不満もありません。よって加速力の差には直ぐ慣れ気にならなくなりました。
ただヴェスパ、単に速いだけでなく、スロットルレスポンスの造り込みみたいなものが、何というか名人芸的な感じがあり、具体的に言うと恐らくフューエルインジェクションのセッティングが巧みなようで、人間の感性に上手く響く加速を演出してくるのです。購入前にはピアッジオ製のクォーサーと呼ばれるこの水冷4サイクル単気筒250ccエンジンを共通して積むアプリリア製のスクーター、スカラベオにも試乗したのですが、ヴェスパの方がずっと気持ち良く吹け上がったのを覚えています。
最高速ももちろんヴェスパの方が上ですが、進路の保持性能等は、共通して履いているジャイロ効果が小さい12インチホイールなりの限度があり、どちらもせいぜい90キロぐらいが落ち着いて乗っていられる上限速度なので実質的には大きな差を感じません。なお、どちらも90キロぐらいまででしたら走行安定性への不安はほぼなく、合流時の加速力も8.5KWしかないジャンゴですら怖くない程度は確保されているため、高速道路を実用的に使えます(中・大型バイクに普段乗られている方だと怖いと思うかもしれませんが)。
ブレーキセッティングは両車共によく練り込まれている感じで、絶対的な制動力は知れてますが、握力の増加に対してリニアに反応してくれコントローラプルです。なおジャンゴには、国産に先立ち2016年のリリース当時からシングルチャンネル(フロント)ABSが標準装備されていました。また、レトロな見た目に反して前後共にディスクブレーキです。

シートの出来と乗り心地、タイヤ
シートの出来はヴェスパの圧勝。昔のプジョー製四輪車のシートを彷彿とさせる国産にはないムッチリとした柔らかさがあるので、素晴らしいと評価される事が多いジャンゴのシートですが、長距離を走ると必ず尻が痛くなります(国産スクーターよりはマシか?)。一方、ヴェスパのちょっと硬めというか張りがあり、タップリとしたサイズが与えられたシートでは、ロングツーリングでも尻が痛くなった記憶がありません。面圧分布とかが適切なのでしょうか、伊達に長くスクーター作ってないですヴェスパは。
乗り心地は、先のシートと相まってモノコック構造のヴェスパが圧倒的に有利と思いきやジャンゴも善戦。まあ、どちらも一般的なスクーターに共通する宿痾であるパワートレインの重量を抱えこんだリアのバネ下ゆえ、キツイ凸凹越えでは盛大にバタつきますが、それを除けばどちらもサスチューニングの良さが光ります。ただし、ジャンゴに初期装着されていたチェンシン製のタイヤは衝撃吸収性やグリップ力が不満だったためピレリのディアブロ・ロッソ・スクーターに交換しています。
ヴェスパは、ミシュランのシティ・グリップとの組み合わせで特段の不満はありませんでした。それにしても、12インチクラスのラジアルタイヤはこの先未来永劫に出てこないのでしょうか。装着されれば足回りの性能が一皮むけて底上げされるはずなのに。

積載能力
シート下の収容容量は両車共に国産スクーター比では小さめですが、ジャンゴはヴェスパよりはだいぶ余裕があり、XXLサイズのジェットヘル(CabergのUptown)を飲み込みさらに多少の余裕があります。なお、両車共に、日本ではコンビニブックと呼ばれる荷物掛けがフットレスト直上にビルトインされており、大きな荷物を足もとに置いて走る際に大いに役立ちます。またジャンゴでは、ゴールドウィン製の78リットルサイズのバックをリアシートに装着するなど荷物満載でキャンプに出かけることがありますが問題なく高速道走行をこなせます。

備考
本レビューは、ヴェスパを5000キロ(ただし9年かけて)と、ジャンゴを1500キロ(ただし2019年10月の購入以来3年かけて)走らせた経験によるものです。我ながら低走行過ぎ!
ジャンゴは、プジョーの二輪車部門プジョー・モトシクルが製造しているスクーターです。日本では2018年から販売が始まり2023年に製造終了(同年新型発表)となっています。因みにプジョーは世界最古のバイクメーカーでもあるそうです。
ジャンゴには、基本が共通の車体に50cc、125cc、150ccの4サイクル空冷単気筒SOHCエンジンを組み合わせたモデルがありました。
ジャンゴと言うネーミングは、ジャズギタリストの草分け、ジャンゴ・ラインハルト(フランス 1910〜1953)に因んだものです。彼の音楽とこのスクーターとの共通項は見出し難いのではありますが。

<凸凹のあるクルマ>
よろしければ・・・他に乗っているシトロエンのマルチパーパスなクルマC4ピカソの話しです。
https://minkara.carview.co.jp/userid/3475742/blog/46559052/
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