
ご無沙汰しております。
冬の間あまり乗れていなかったので、車イジりネタが特に無く、再び車関連のイタリア語。
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アバルト乗りのためのイタリア語
今回はイタリアの色(colore)について、アバルトのボディ色からイタリアネタを拾って解説します。
●どこより詳しいグリジオカンポボーロ

グリジオカンポボーロ(grigio campovolo)と言えばアバルトの標準色の薄いソリッドグレー。
灰色を表すイタリア語がグリージョ(grigio)です。
日本でのアバルト公式の呼び方がグリジオなのですが、発音はグリージョの方が近いです。
ワイン用の葡萄の品種、ピノ・グリージョも灰色がかった果実をつけるから名付けられたようです。
gioの綴りでジョと発音します。イタリア語ではアルファベットのJは無く、外来語にしか使わないです。
『ジョジョの奇妙な冒険』も第5部イタリア編の『黄金の風』ではgiogioになっています。
日本の事もJは使わずにジャッポーネ(Giappone)です。
ビアンコフジ(パールホワイト)のトリブートフェラーリ、695Tributo al Giapponeという限定車もありましたね。

灰色から話がそれましたが、残るカンポボーロの部分は飛行場を表しています。
空港という解説も時々見かけるのですが、カンポ(campo)は英語のフィールド(field)に相当する単語で、飛ぶ事を表すボーロ(volo)と組み合わせた言葉なので、単に飛行場というイメージの方が近いです。
空港に相当するイタリア語にはアエロポルト(aeroporto)があります。
日本オリジナルの呼び方だけど、グリジオって何故か語感が良いですね。
飛行場でブリの塩焼きを食べればブリ塩カンポボーロ、ラーメンは柚子塩カンポボーロになるのでしょうか。
次のフライトまで時間が無くてポテチしか食べられない方には海苔塩カンポボーロ。
冗談にしても、ちょっとやってみたいかも。
●モデナのサスペンス

黄色のジャッロモデナはシリーズ4のアバルト595の人気カラー。
ジャッロというのが黄色のことなのですが、サスペンスとかホラーのジャンルを指す意味合いも含まれています。
その昔、イタリアでサスペンス系の小説が流行った時に、そのジャンルの多くが背表紙に黄色を使っていたために、定着したとか。
日本の場合は個人的に、角川ホラー文庫みたいな黒い背表紙のイメージですが。
黄色い背表紙の影響で映画界でもジャッロはイタリア系のスリラーを指す言葉として使われています。
ランチアデルタにもジアッラ(gialla)という黄色い限定車があったそうです。
ジャッロは単純に黄色を表す名詞としての形です。
一方でジアッラは女性名詞のデルタ(=車なので女性名詞扱い)にかかる形容詞「黄色い」という扱いでネーミングされたものだと思われます。
●少数派な青とビアンキの色

アバルトではレアキャラな青。
初期の頃に出ていたアズーロレジェンダ(azzurro leggenda)や時々限定で出る濃い青のブルーポディオ、艶消しのブルーオパコ、最近のトリブート131のラリーブルー。
なかなか見かけない割にはバリエーションが多いですね。
イタリア語の青は大きな分類で3種類。
厳密な区分は無いものの…
濃青→ブルゥ(blu)
青→アッズーロ(azzurro)
淡青→チェレステ(celeste)
ざっくりこういったグラデーションになっております。
レジェンダ(leggenda)は英語に近いので想像がつくかと思いますが、「伝説」。
オパーコ(opaco)は「不透明な」や「光沢のない」といった艶消しを示す形容詞。
ポディオ(podio)は表彰台。
ラリーはイタリアでも英語のラリー(rally)を外来語としてそのまま使ってます。
そういえばMYS限定でジャッロラリーという黄色もあった様ですが、ジャッロモデナとの違いも気になります。
青以外でもレースに関する用語が色と組み合わされることが多いです。
レコルド(record):記録
ピスタ(pista):レーストラック
ガーラ(gara):競技、レース
チェレステは日本人の感覚だと水色っぽい色ですが、空を意味するチェーロ(cielo)から来ているので、イタリア人にとっては空色なのでしょう。
アバルトにチェレステは無いですが、自転車メーカーのビアンキ(Bianchi)のイメージカラーになっています。

ビアンキのクルマ(Automobile)部門がご存じアウトビアンキ(Autobianchi)
ビアンキは創業者の名前でイタリアで一般的な苗字ですが、白(bianco)の形容詞複数形でもあります。
例:vini bianchi 複数形の白ワイン(単数はvino bianco)
日本風にすると、ビアンキは白井さんで、アウトビアンキは白井発動機といった具合でしょうか。
それにしても白井社のコーポレートカラーが水色…というと不思議な感じがしますね。
●英語の色名をイタリア語にしてみる

アバルトの色とか仕様の名称って何故かイタリア語と英語が混在しているんです。
もっとイタリアかぶれを楽しみたい方のために英語名をイタリア語にしてみます。
・オレンジ レーシング→アランチャ コルサ(arancia corsa)
・アドレナリン グリーン→ヴェルデ アドレナリーナ(verde adrenalina)
案外、響きが良いような気がします。
●日本の国旗はビコローレ

よくイタリア国旗をトリコローレ(tricolore)と称しますが、これは単に3色であることを意味しているので、フランスやドイツ他、多くの国旗に当てはまります。
トリコローレはイタリア語読みなので、やはり大抵はイタリア国旗の事です。
ちなみに日本の国旗は2色なのでビコローレ(bicolore)
横浜の美味しいイタリアンレストランのトラットリアビコローレさんの由来もそこから来てると伺いました。
595のツートンカラーもビコローレって呼んでますね。
以上、ポンコツイタリア語講座の第二回でした。
もし間違いがあったらすみません…。
機会があれば今回とりあげなかった他の色もネタにしてみようかと。
124とか、フィアット500も含めるとカラーバリエーションが膨大でキリが無さそうです。