
超マニアックなお話しです。ヒマな方、ウンチク好きな方だけ推奨のシリーズです。
<ブレーキパッド編>
<ブレーキロータ編>
<ブレーキフルード編>
<ブレーキホース編>
<ブレーキキャリパー編>
今回はキャリパー編その2です。知っても実益が少ない点は過去最高のトリビアです。
前回マルチピストンとヒートクラックに関係があると結びましたが、
まずはヒートクラックのできるメカニズムから。
円形のローターは熱が加わると径が大きくなる方向に熱膨張します。その際に発生する引っ張り応力はドーナツを引き裂くようなイメージになるので、必ず半径方向にクラックが入ります。
クラックの発生を加速させるのが熱疲労と鋳鉄の組織の変態です。
熱疲労は温度振幅によって発生して、ロータ全体温度として600℃付近でも800℃を超える最表面では鋳鉄の変態が始まり、硬く靭性のないマルテンサイトになります。
焼き入れされた硬く伸びが悪いところに疲労も重なって、早期にクラックが発生するというメカニズムです。
つまり諸悪の根源は、「最表面温度が高いことと温度振幅が多いこと」です。
前回のシングルピストンとマルチピストンの図です。
パッドの裏板も6mm程度の厚みがある鉄板なので低油圧の時は大差はでませんが、フェードして効きが弱くなった分をタイヤロックまで油圧でカバーしようと強く踏むと、高油圧で裏板もたわんでピストン直下のみ仕事量が増えます。
かなり誇張して描くと図①のような当たり方になって、同じ運動エネルギーを狭い面積で受けることになり、最高表面温度がより上がりやすくなる&温度振幅も激しくなります。
トップ画のようにヒートクラックは主に摺動面の真ん中あたりに多いのはコレが理由です。
①でもヒートクラックには良くない状態ですが、さらにそのまま使い続けるとパッドが中凹みの偏摩耗⇒両端接触になり、①と②を交互に繰り返すという、ヒートクラックに対しては最悪の状況になります。
画像はダイナモ試験のものですが、ピストンがあるはずの真ん中が当たっていないのが分かると思います。
対策としては主に3つです
①フェードしない温度までローター温度を下げる(サイズアップによる熱容量アップ、冷却性アップ)
②超高温でも効きが出るパッドにする(油圧に頼らない)
③ピストン数を増やしてパッドを均一に押す
冒頭に知っても実益が少ないと書いた理由はコレで、ヒートクラックに悩むガチ勢の方は
①はホイールサイズで限界、②は既に使ってる、③は選択肢が無いになってると思います。
レースの世界では決勝に使ったものは、次戦の練習走行までで毎戦使い捨てるので成り立つ構図ですね…
ポルシェタイカンなどはついにローターサイズが400mmオーバーの世界に突入していて、
対向6ポットではぜんぜん均一に押しきれないので、対向10ポットを採用しています。
ちなみにこちらはブレンボではなく、Made in Japanの曙ブレーキ製だったりします。
以上、知ってもマジで1文の得にもならないマニアックトリビアでした。
Posted at 2026/04/15 23:46:07 | |
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