
e-PowerのHVシステムは、シリーズハイブリッド。リチウムイオンバッテリーを搭載しています。しかし、バッテリー容量があきらかに少ないと思います。モーター能力には不満は無いのですが、バッテリー容量には不満です。2t近い車体を動かすとすぐに電流不足でエンジンが掛かってしまいます。特に長い登り坂では、エンジンは唸りっぱなし、燃費も思ったほど良くありません。やはり、このクラスはパラレルハイブリッドの方が相性が良いです。
これだけ充放電を繰り返していると、リチウムイオンバッテリーの状態が気になるところです。
そこでスキャンツールでデータモニターを覗いてみました。
HVバッテリー電圧が352Vあります。直流で蓄えています。補機バッテリーの充電は減圧して行います。
各セルごとのSOC値。メーター読みでは半分くらいを表示していたので、まずまず合っています。SOC値は、高くても80%くらいになるようHVバッテリーECUが制御します。リチウムイオンバッテリーはフル充電しません。バッテリーの劣化を防ぐためです。
インバータ入力が352V。HVバッテリーの電圧と同じです。名前は、インバータですが、おそらく直流352Vを、DCコンバータで750V程度に昇圧して、DC-ACインバータで交流に変換して、駆動モーターに供給してるものと思います。
交流モーターは、二つあります。エンジン直結モーターとミッション直結モーターです。
前者は、バッテリーSOCが低くなるとセルモーターとしてエンジンを始動し、HV-ECUがエンジン回転を決めます。EFI-ECUが命令を受けてエンジン回転制御をします。交流モーターが発電します。ミッション直結モーターに電流を流し駆動力を発生します。モーターECUで、モーター電流を制御します。減速時は、回生発電に変わり、バッテリーECUが充電制御します。HVバッテリーの充電量が所定値になると、充電を止め、エンジンをモータリングさせて余剰電流を消費させます。非常にに複雑な仕組みです。
モーターの状態を確認してみました。目標ジェネレータ回転と実ジェネレータ回転。ECUが決めてる回転数に追従しているかを読み取れます。
HVバッテリーを弄るのは危険なのでしませんが、様々な電装品を沢山つけたり改造したりした時は、補機バッテリーから電源供給をしています。12Vのバッテリーです。鉛電池で、希硫酸に鉛を漬け込んだアレです。製造直後は電解液を注入する事で科学反応で電気が発生します。
実際に運転すると充放電を繰り返しています。
電気を使うと、H₂SO₄(硫酸)とPb(鉛)が反応します。H₂SO₄はH₂O(水)とPbSO₄(硫酸鉛)に変わります。PbSO₄は、電気を通しにくい性質が有り結晶化して極板に張り付きます。サルフェーションと言う現象です。バッテリーの内部抵抗が増える現象です。バッテリー液の比重は、1.280。電気を使う事で、H₂Oが増え比重も低下します。
充電を開始すると、H₂OとPbSO₄は、元のH₂SO₄に戻ります。比重も増えますが、一部戻りきれずPbSO₄とH(水素)になります。この充放電の繰り返しで、電解液が減る事になります。
電解液のレベルが低下し、極板が露出すると要注意です。バッテリー内には水素が発生しているので大きな電流が流れると極板にアークが発生し、バッテリーが爆発する事があります。バッテリーの点検、特にバッテリー液の残量には気を使いましょう。
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2024/04/29 22:56:04