
クルマ雑誌等に掲載される試乗記で、よく「極上の乗り心地」といった表現を目にする。この言葉には、「同じセグメントとして」「スポーツカーという範疇においては」というような注釈がつくのは間違いないだろう。
例えば「極上の乗り心地」と評されるコンパクトカーがあったとしても、ベンツのSクラスレベルを想像する人はまずいないだろう。しかし、CセグメントとDセグメントのような近しい関係の場合、両者を比較してしまう人もいるかもしれない。
私の経験では、この隣接したセグメントの間においても、両者の乗り味には差があると感じる。Cはタウンユースなど普段の使い勝手を重視するのに対し、Dはより快適性を志向しているため、ボディ剛性や、サスペンションの構造等に違いが生じ、乗り心地に差が出る。よって、異なったセグメント間での比較は、フェアではないと思う。
評論家の方のレビューも、もちろん参考になるのだが、その言葉を額面通りに受け取ると、比較の本質を見失うことになる。Dセグメントの快適さに慣れた人が、「極上の乗り心地」と評されるCセグメントに乗り換えて、そのギャップに戸惑ってしまうことも想像に難くない。試乗レビューを読む我々も、「同じセグメント内で」という前提を常識として持っておきたい。それがクルマ選びで後悔しないための第一歩になる筈だ。
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2025/05/15 05:10:15