(* 写真はありません。)
第1 前文
すいません、本日「ヤ○セ屋さんのススメ」シリーズの#4~#6を上梓しました。そして、それに対してコメントを頂戴した方には私の本当の問題意識を汲んでいただけたと理解しておりますが、今読み返してみると、それにしてもちょっと分かりづらい部分もあったかと思いますので、改めて補足のブログを綴りたいと思います。
場合によっては、P乗りやF乗りの諸先輩方にお叱りを受けるかも知れませんが、どうせこれは私のブログですから、それを覚悟の上で敢えて綴ります。
第2 ブランドの価値
例えば、カイエンって、オンもオフも絶賛されていますよね。ポルシェが作るとさすがに凄い物ができるっていうことで。
で、トゥアレグのV8はざっくりと700万円くらい、カイエンSはざっくりと900万円くらいであり、200万円くらいの差額となっております。基本的な組成は同じなのに、この差額がなんなのかと言われれば、それこそVWとポルシェのブランドの価値の相違ということですよね。私、これはやむを得ないと思います。絶対的な価額のせいぜい2割から3割くらいがブランド代だと言われれば、それについて文句を言うつもりはありません。
でも、35GT-R(標準車)はざっと800万円、997ターボはざっと1900万円、この差額は1000万円以上ですよね。この差額は、どのように合理化されるべきでしょうか?
GT-R伝説は、日本人のDNAに刻まれている部分があります。でも、その伝説は確かにドメスティックなものであり、日本人以外から見れば、ポルシェは誰でも知っているけれど、GT-Rって知らない人がむしろ普通なのでしょう。そういう部分で、GT-R(日産)と911(ポルシェ)には絶対的な差はあります。だから、ブランドの価値にもある程度の差が設けられることも当然です。
でも、現在発売中のAUTOCARにも記事が掲載されておりますが、GT-Rの出現によって、さすがの997ターボも性能面で必ずしも盤石とはいえない状況になっているのも事実です。
私、車好きですから、ポルシェにせよフェラーリにせよそれらのブランドには勿論憧れや敬意を抱いておりますし、機械としての性能面でも素晴らしいものがあるのだろうと考えております。
でも、実力的に勝るとも劣らないGT-Rが、997ターボの半値以下であり、その差額がブランドの価値の違いだといわれても、どうもぴんと来ないのが正直なところです(勿論、現在のユーロ高の影響などもあるので、その差額の全てがブランド代に由来する差額というわけではないでしょうが)。
第3 顧客商売とは何か
それともう一つ。
大規模小売店舗が進出して、従前の商店街が壊滅したなど、色々と大規模店舗のネガな部分が語られることは多いです。でも、そのような大規模店舗であるからこそ、規模の論理で時にメーカーに対して絶大な影響力を行使でき、商品の売価を安くすることができる、不義理を働いたメーカーに対してはその商品を扱わないことにして、消費者サイドからNOを突きつけることができる、そんなことができるのも事実ですよね。
この図式に、例えばポルシェを購入するときの環境を置き換えてみるとどうなるか。登場人物は、メーカー(とPCJ)、小売店(PC店)、顧客の3者です。
確かに、車を買うっていうのは特別なことであり、特にポルシェのようなブランド車であれば、その特別な度合いが強まることは、それはそうなのでしょう。
でも、今、小売店は誰のほうを向いていますか?
「ポルシェって、値引きを要求するお客さんはまずいませんよ」
「うちは値引きはできないので、もし値引きを求めるのであれば別のお店に行って下さい」
「オプションを色々とつけると、1年や2年待つのは当たり前ですよ。待つことも楽しいと思っていただかなきゃ」
「予定より納期が遅れておりますが、メーカー都合でしょうがないんですよ」
こういう対応って、どうなんですか?
私も客商売ですが、こんな態度ならすぐに競業他者に客を取られ、飯が食えなくなってしまいます。私も、一度で良いからこんな台詞を客に言ってみたいものです。
そればかりでない。
RSだって、本国ではカタログモデルのようですが、日本では、幾ら「お布施」を積まれても台数限定の有り難い特別モデルだから売ってあげない、当該顧客がそれまでPCJにどれだけ貢献したかによってRSの割当てを決める。
このような現状が当たり前だとされている原因の一つには、PC店を組成する業者が、企業としてみれば中小企業が多いということがあるのではないでしょうか。つまり、その業者からすればPC店でなくなってしまうと生きていけなくなるので、その意味でメーカーには逆らえない、いきおい、顧客を軽視しがちになるということです(もっとも、これがPCJの政策だったのかも知れません)。
だから、ヤ○セのように群を抜いて規模の大きな輸入業者がポルシェを扱うようになり、顧客の視点に立ってメーカーに物申せるような体制になってくれると有り難いのにな~ということが、本当に私が述べたかったことです。
第4 まとめ
規模の大きい業者がポルシェを扱うことと、前半のブランドの価値論とは全く無関係な事柄ではありません。
要するに、1000万円はブランド代だと言われても、それが納得できるような丁寧な客あしらいをして貰えるならば、全体としてその高価な値付けにも納得できる可能性がある(それでも、ケチな私には難しそうですが)、ということです。
しかし、そのような丁寧な客あしらいが、PC店の如き中小企業の連合体には必ずしもできていないのではないかという疑問があるということです。
そして、もっと誤解を恐れずにいえば、顧客が小売店やメーカーを教育して、製品やサービスの質が改善されていくということは、珍しいことではないですよね。
「お客さまは神様です」という言葉は永遠の真理だと考えておりましたが、どうやらその真理が通用しない特別な環境が、どこぞには確実に存在している模様です。
まぁ、P乗りの先輩方から、嫌だったらポルシェを買うな、お前にはもうポルシェに乗る資格がないと言われてしまえばそれまでですが。
もしもいぢめられたら、ポルシェ界からは引きこもって(爆)、年末に出るであろう35のスペVに逝くしきゃなさそうですね。
Posted at 2008/05/16 14:42:45 | |
トラックバック(0) |
色々な車 | クルマ