
タイトル写真は山口県秋吉台の春の風物詩「山焼き」の今年の様子です。
秋吉台の植生維持の為に野焼きをして一面黒焦げの焼け野原にするのは有名ですが、今年は雨や雪で延期が続き3回目にしてやっとの実施です。

とは言え当日天気予報は曇りで朝方はひどい濃霧で見晴らしが良い秋吉台も何も見えない有様で当然とても高い湿度で今回も中止だろうなと諦めていましたが、7時過ぎになって山焼きを予定通り実施するとのアナウンス、展望公園の方に行ってみると大分少ないですが人は集まってました。

開始時間の9時に近づくとカメラマンや観光客にテレビ中継など混んできました、霧も少しは晴れて行き多くの人たちが見守る中で点火されましたが最初だけ煙は上がるも全く燃え広がず果せるかな山焼きは中止となりました。

終盤になってせめて人が集まった展望公園の前だけでも燃やそうと数カ所から火をつけていましたがちょっとした焚火になるだけでどうにもなりませんでした、主催者側曰く「これほど迄に燃えない事は見たことが無い、自然相手だから仕方ない」と言っておりある意味レアな体験でした。
今回も中止となりましたがまたやり直すのかは今も所不明だそうです。
さて、MCされた2024モデル(22.7kwh)アウトランダーのバッテリーについてメモ、先日の三菱松江店にてアウトランダーのバッテリーを見て思ったところ、GNアウトランダー2022モデル(20kwh)は日産系のバッテリーを使用しており歴代アウトランダーPHEVの中でも変わった立ち位置なので今一度バッテリーについて調べてみました。
前述に述べた通りGNアウトランダー(20kwh)は日産のサクラやリーフなどで使用されているAESCジャパンのパウチ式のバッテリーセルを96セル搭載しています、単セル当たり56.3Ah、3.65Vで約205.49whが96個あり約20kwhです。
(↑はリーフ用のバッテリーで8セルの組電池です、20kwhアウトは12セル組電池を8セットみたいです)
サクラ(ekクロスEV)は同バッテリーを96セルで20kwh、MC前アウトと同等のものを積んでいます。
リーフは40kwhモデルで96セル20kwhのバッテリーを二つ並列接続の192セル、60kwhk
リーフe+は96セル20kwhのバッテリーを三つ並列接続で276セルと言った具合らしいです(62kwhモデルは288セル)。
まるでミニ四駆のようですがEVの基本型はバッテリーとモーターなので当然でしょう。
1080kgのサクラと同等の20kwhのバッテリーで2050kgのアウトを走らせるのは大変だと容易に分かります、同じ容量のバッテリーでも当然の如くアウトはサクラ以上にモーターに電流流さないと同等の加速は得られませんが、それが電費の悪さとバッテリーは発熱につながっています。
アウトランダー2024モデルは「内部抵抗30%低減、バッテリー冷却性能50%上昇」と三菱が宣伝していますしメーカー側も当然認識していたデメリットなのでしょう、なので今回のMCで改善したと強調する要素の一つとして態々取り上げられているのだと思われます、しかしエンジン車に乗っている人にとっては何が違うのか分からないアピールポイントでしょうに。

先代アウトランダー(12kwh)から現行GNアウトランダー(22.7kw)までを適当にまとめてみました。
初代アウトランダーPHEVのLEV40からアイミーブのLEV50に至るまで三菱の電動車はGSユアサ系(旧リチウムエナジージャパン)のバッテリーを使っていました。
2024アウトはどのバッテリーを使っているのか公式発表が無いので憶測ですが、GSユアサの角型バッテリーを採用したとの事で、容量とセル数的に64Ah-3.7vの96セルで約22.73kwhとなるLEV65-8なるものを使っていると思われます。
バッテリー配置も当然変わっており冷却方式も従来のパウチ式はセル間に冷却板を挟み冷媒から熱伝導で冷やしていましたが新型は角型バッテリーの底に冷媒を通すものに変っているそうです、本当にどれほど効果が上がっているのかは気になる所ですが、試すことはないでしょう。

(GSユアサのPHEV用バッテリーLEV65)
三菱は先代アウトからアイミーブなどに旧リチウムエナジージャパンを採用していたので2024アウトランダーは三菱らしくのPHEVに戻ったと言う事でしょうか。
日産のリーフやサクラに使われているAESCのパウチ式バッテリーを採用した2022アウトランダーはバッテリーパックがヒラメのような形をしていますが2024アウトは従来と同じく角型セルなのでバッテリーパックを再設計し直したのでしょう、何れにせよ体積が増えているせいかバッテリーが膨れた為かMCで車高を5mmかさ上げしています。
また車両重量がMC前2010kg→MC後2070kgと60kgの重量増加となっています、AESCの単セル0.941kgに対してLEV65は単セル1.37kgと重くなり96個分で約50kgの増加となり単純に考えるとバッテリー分の重量が増えたのかな。
バッテリーのエネルギー密度はMCで容量が増えたので当然よくなったのかなと思ってましたが、なんとMC前228wh/kgに対しMC後172wh/kgと約25%も低下しています、これが前述の60kg分の重量増加の理由でしょう、とは言えAhが56.3→65と15%増加し放電能力は向上、これが重くなっても加速性能の向上につながっているのでしょう。
(左の緑のバッテリーが先代アウト12kwhに使われていたLEV40、右がアウト22.7kwhに使われていると思われるLEV65、大きさがほぼ同じで容量は約1.62倍です。)
MC前アウトの日産供給のバッテリーに比べMC後アウトのユアサバッテリーは三菱がPHEVに求める走りを示した性能だと思われます、エネルギー密度より充放電能力を重視した性能で、WLTC燃費も向上しているのは減速での回生能力上昇及び回生範囲の増加によるものでしょう。
今回のアウトのMCはバッテリーを変えただけでモーターもエンジンもそのまま据え置きです、そして重量は増えています、それでいて加速は良くなったのは放電性能の上昇で最大電流の容量と時間が少し増えた為です、急速充電能力の向上も同じ理由です(でも6月の充電量金の改定で宝の持ち腐れになるでしょうが)。
新エンジンの開発は莫大な労力が掛かるのでバッテリーを交換するのと比べると簡単な事なんでしょうが恰もビッグマイナーチェンジと謳う所が三菱のリソースの無さを表しています、てかいい加減に新しいエンジンに載せ替えたらどうよ。
北米GNアウトは日産の新しいエンジンでPHEVより大馬力で元気に走るようだし。
(2005年発売の初代アウトランダー24Lモデルより使われている4B12エンジン、20年選手ですね)
エネルギー密度が劣るが充放電性能が向上したバッテリーを採用したデメリットとして勝手に想像します。
①エンジン走行の燃費悪化
簡単に予想できるのは高速巡行燃費の悪化です、平坦な高速道路で回生の場面が無くエンジン直結で走行するとき、バッテリー容量増加の恩恵をあまり受けられませんが60kg程度なので微々たる差でしょう。
②電欠時の馬力低下
どれだけ大容量のバッテリーでも空になったらただの重りです、22.7kwhのバッテリーを使い切ってからの加速はMC前と同じく98kw4B12エンジンの据え置きで60kgの重量増加なのでその分だけ悪化していると思われます。
まあ、バッテリーが使えなければエンジンとモーターそのままで単純に重くなっただけですから。
とは言え普通の乗り方なら発電が追い付かなくなり電欠する事なんて無いでしょう、平地を走るだけならまず電欠になる事は無いのでご心配なく。
7人乗りを打ち出すあたり、所詮アウトランダーは街乗りを主としたファミリーカーなので三菱も割り切った性能にしているのだと思います。
アウトはショボイエンジンと小さいバッテリーを組合わせて一時的にEVのようなパワフルな走りが出来るよう見せかけているハリボテのような仕組みの車ですので、いろいろな所に走りに行く人でアウトの購入を考えている人は作りを理解しないと後悔する可能性が大きいので注意してくださいね。
大馬力のエンジン車やBEVと同じく運転してたら化けの皮が剥がれて必ず馬力不足で驚く場面に遭遇すると思います。
いずれにせよ2022アウトランダーは日産系のバッテリーを積んだ車で三菱EV・PHEVシリーズの中でもなかなか変わった存在になるような気がします。
今後の三菱と日産の関係がどうなるかは分かりません。