アルファ155_温風が出ないトラブル①_診断編
目的
修理・故障・メンテナンス
作業
DIY
難易度
中級
作業時間
3時間以内
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一年前の出来事を備忘録として書き留めます。ちょうど秋口に差し掛かったころ、暖を取ろうとヒーターを稼働させたのですが、いつまでたっても温風が出ません。当時はおやおやどこかのリレーかヒューズの故障かなと余裕で構えてました。
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しかし、該当しそうなヒューズは問題なく、リレー診断機でテストしても異常がありません。
この場合、一般的に最も考えられる原因はサーモスタットの不具合ですが、2021年に交換したばかりでしたのでどうやらこれも違いそう。そうなるとセンサー不良かアクチュエーター不良か。厄介な案件っぽいとここで汗が出たのを記憶しています。
原因不明のまま、しばらくダウンを着込んで運転していました。しかし、朝方のフロントガラスの霜の融解に毎回Makitaのヒートガンを使う日々に危機感を抱き、解決に乗り出しました。
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部品図から検討した結果、ベント(写真20番)の開閉を掌るエアミックスアクチュエーター(以後、Air Mixing Motor :写真13番)が怪しいと考えました。これは冷気と暖気の混合比を調整する機能を担っています。
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このAir Mixing Motor の状態をエアコンパネルから診断する方法があります。
説明に移る前に、パネル・ボタンの名称を示します。写真の番号は以下の番号と対応します。
①キー — "EXT"
②ディスプレー — "TEMP"
③キー — "TEMP+"
④キー — "TEMP-"
⑤ディスプレー — "AIR"
⑥キー — "AIR+"
⑦キー — "AIR-"
⑧キー — "AUTO"
⑨キー — "FEF"
⑩キー — "ECON"
⑪キー — "VENT"
⑫キー — "RIC"
⑬キー — "BI-LEVEL"
⑭キー — "OFF"
⑮キー — "FLOOR"
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まず、第一ステップはコントロールユニットの点検です。
「イグニッションスイッチ」をRUN位置に回し、同時に「AUTO」スイッチを押します。
するとディスプレイに写真の表示が現れます。この時、「AUTO」(上側LED)、「ECON」、「OFF」、「DEF」および「BI-LEVEL」スイッチのLED照明が点灯しなければなりません。
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つぎに「RIC」スイッチ(写真で指さしているボタン)を押します。
写真のパネルのような表示が2つのディスプレイに現れ、「AUTO」(下側LED)、「RIC」、「VENT」および「FLOOR」スイッチのLED照明が点灯しなければならなりません。これらの動作が出来ない場合はコントロールユニットの不良ということになります。
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第2ステップはスイッチボードの点検です。先ほどの状態のまま、「AUTO」ボタンを押します。するとパネルが写真の通りになります。
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各スイッチを押してパネルに識別コードが正しく表示されるかを確認します。
※この時、「AUTO」スイッチを連続で押してはならない。このスイッチを押すとシステムが次のステップに移行してしまいます。
スイッチ 識別コード
EXT E
TEMP+ 6
TEMP- 5
AIR+ 2
AIR- 1
ECON 4
RIC d
OFF 7
DEF 9
VENT b
BI-LEVEL c
FLOOR A
ディスプレイの表示とパネルが異なる場合は、コントロールユニットを交換する必要があります。この子はここまでは大丈夫そう。
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続いて「AUTO」を押すと第3ステップ「センサの点検」に移ります。写真のとおり、パネルにバーが6本現れます。
なお、このテストは外気温と車内温度が10~30℃に安定している状態で行ってくれと指示がありますが、ひとまず外環境で実施しちゃいます。
◎「AIR-」スイッチを押すと、室内温度の指示値が上方のディスプレイに表示されます。表示されない場合は室内センサを点検します。
◎「AIR+」スイッチを押すと、外気温の指示値が上方のディスプレイに表示されます。表示されない場合は外気温センサを点検します。
◎「TEMP-」スイッチを押した後、「TEMP+」を押します。室内の上方と下方に送られるミックス・エア温度の指示値が上方のディスプレイに表示されます。表示されない場合は2つのセンサ(Lower/Upper mixed air temperature sensor)を点検します。
◎「OFF」スイッチを2秒以上押します。車両停止時に上方のディスプレイに数値0が表示されます。(30km/h以上の速度で走行時は数値1が表示される。)このように表示されない場合はスピード・センサのコネクタを点検します。
◎「RIC」スイッチを押すと、吹き出し口位置を示すコードが上方ディスプレイに表示されます。
◎「VENT」スイッチを押すと、レギュレータの機能に基づき上方ディスプレイ(TEMP)にコードが表示されます。コードが“00”または“FF”以外のコードが表示された場合は正常です。そうでなければレギュレータを点検する必要があります。
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続いて「AUTO」を押すと第4ステップ「アクチュエーターの点検」に移ります。パネルにバーが8本現れます。ひとまずこの点検項目をすべて記載します。
◎「AIR+」キーを何度も押します。
毎回押すたびに、電気ファンの速度が次第に速くなる音がしなければなりません。また、26の認識コードが「C」から「3F」まで順番に上方のディスプレイに表示されることを確認します。
表示されない場合は、メインのブロアファンとそのレギュレーターを点検します。
◎「AIR-」キーを何度か押します。
毎回押すたびに、電動ファンの速度が次第に遅くなる音がしなければなりません。また、26の認識コードが「3F」から「C」まで次々に上方のディスプレイに表示されることを確認します。
表示されない場合は、メインのブロアファンとそのレギュレーターを点検します。
◎「ECON」キーを数回押します。
この場合、コンプレッサークラッチのスイッチが作動した音が聞こえると同時に、上方ディスプレイに認識コードが表示されます。
表示されない場合は、コンプレッサーが正常に作動するかどうか点検します。
◎「TEMP-」キーを押します。
この場合、一連の識別コードが限界値「32」(最高冷房)が上方のディスプレイに表示されることを確認します。
表示されない場合は、Air Distribution MotorおよびAir Mixing Motorを点検します。
◎★「EXT」キーを押します。
この場合、一連の識別コードが限界値"7a"または"7b"(混合タップ開、ベント中間位置)までディスプレイに表示されることを確認します。
表示されない場合は、Air Distribution MotorおよびAir Mixing Motor を点検します。
◎「TEMP+」キーを押します。
この場合、一定の認識コードが必ず「C7」(段階的温度)が上方のディスプレイ(TEMP)に表示されることを確認します。
表示されない場合は、Air Distribution MotorおよびAir Mixing Motor を点検します。
◎「RIC」キーを押します。
この場合、車内ユニットが作動し、そのLEDが点灯することを確認します。
そうでない場合は、Air Recirculation Vent Control Motorを点検します。
◎「RIC」キーを再び押します。
この場合、外気導入が作動し、そのLEDが消えます。
そうでない場合は、Air Recirculation Vent Control Motorを点検します。
◎▲「DEF」、「VENT」、「BI-LEVEL」、「FLOOR」各キーを次々に押します。
それぞれのキーを押すたびに、その関連のLEDが上方のディスプレイに対応し、一定の認識コードが表示されているように、エア導入への位置がそれぞれ正しいことを確認します。
キー 識別コード
DEF d5
VENT 2b
BI-LEVEL 62
FLOOR 94
これらのコードが正しく表示されない場合は、Air Distribution Motorを点検します。
以上が自己診断になります。通常状態に戻すには”AUTO”ボタンを押します。
さて、問題はこの第4ステップの★で示した項目で発生しました。
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「限界値"7a"または"7b"」ではない記号が表示されています。この時点でAir Distribution MotorもしくはAir Mixing Motorが怪しいです。さらに、上記▲で示したテスト(Air Distribution Motor)はパスしたので、やはりAir Mixing Motorが筆頭の容疑者となりました。
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Air Mixing Motorは運転席右足横のカバーを外すと、鬼門のヒーターコック奥に取り付けられています。このヒーターコックとは棒を介してつながっており、モータの動きに応じてコックが閉開するようになっています。
Air Mixing Motor自体は3本のボルトで固定されており、コックとつながる棒や棒にかかるバネも簡単に外すことができます。
早速外しちゃいましょう。念のため、冷房設定状態にしておきます。
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狭くて姿勢がきつかったのですが、案外あっさり外せました。写真にある2つの穴のうち片方がベントを、もう片方はヒータコックを動かすものです。ここで、戻すときのために冷房設定時の穴の位置を記憶しておきます。
なお、ベントの自由位置は冷風100%の状態でした。Air Mixing Motorを外すとベントを手動で動かすことができます。試しに暖気してから動かしてみると・・・温風出ましたwwww
思いっきりベントを動かすと熱風が出ますが、結構力を入れなければならないので疲れます。また、運転しながら持ち上げるのは無理なので、適当な固い物体をかましておきます。するとほどよい生ぬるい温風を出せるようになりました。ひとまずこの状態でしのぎますww
※補足:Air Mixing Motorを配線に接続しておかないと、Air Distribution Motorが正しく動作しません。したがってつなげて適当にぶら下げていました。
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さて、Air Mixing Motorに何が起こったのでしょうか。早速ばらしておきましょう。殻は簡単に外せます。ギアに問題はありません。モーターを調べてみましょう。
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モーターを外し、試しに軸を回してみると・・・・ガリガリガリッ
テスター当てるとほとんど通電しませんww
モーターの異常で間違いないようです。おそらく、ブラシ周りの寿命でしょう。
モーター交換をしたいのですが、単体(12V 1 397 220 249)で手に入れるのは難しそうでした。
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したがって Bosch 0132801106を手に入れなければなりません。どうしよ~
次回、調達編です。
ありがとうございました。
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