
電気自動車の航続距離を調べるために、またまたi-MiEVを借りる。
半分遊びだが、半分はデータ収集である(!)
今回データがほしかったのが、厳しい登坂路での電費。
それと、一充電で100km以上走ってみたかったのだ(笑)
というわけで、八ヶ岳高原ラインを走り清里の辺りまで行くことにした。
長野県内の某ディーラーでi-MiEVを借り、国道20号を東京方面に走る。
20号から小淵沢ICの方面に入り、さらに登っていき高原ラインに入る。
片道の距離はgoogle mapによると約50km。電欠したらシャレにならないので往復で100kmくらいになるようにしてみた。
八ヶ岳高原ラインを走ったことある方ならわかると思いますが、NAの軽で軽快に上ることなど不可能。
10%を超えるような勾配が延々と続く。EVにとってはかなり過酷な条件。
標高は1400m程にもなる。
こんなところにEV乗り入れる物好きも少ないと思う。
箱根あたりは走った事例がかなりあるようですが、さすがにここはi-MiEVで乗り入れたのは私が初めてか?(そう思っていたい)
すると、驚くことに、10%程度の勾配になると、45km/hくらいで登ってもバッテリーメーター1コマあたり2kmしか走らない!!
よくある5%くらいの勾配だと4~5kmは走るのに。
頂上付近に行くまでに一気に4コマくらい減ってしまい大いに焦る。
しかし、そういう勾配もどこまでも続くわけじゃない。日本中探しても、せいぜい10kmくらいしか急勾配は続かないと思う。
10kmでも5コマのバッテリーで大体の峠は登れる。
下りはさすがに回生ブレーキの効果あり、1コマあたり21km走った場面もあった。
そうは知っていても、急登坂で2kmごとにバッテリーが減るのは精神衛生上よくない。
やはり、もう少し大きな電池を積んでいる必要がある。
ガソリン車も10%以上の勾配を駆け上がるときの燃費は3~4km/Lくらいのもの。
特別EVの燃費が悪いわけではないが、i-MiEVの場合は1kWhをガソリン1Lだと考えると16L分しか電気を蓄えられないので、大いに不安になる。
普通の軽自動車って少なくとも30Lくらいタンク容量ありますからね。
今回の走行では全行程で約105km走り、バッテリーは12コマ消費。
平均電費は8.7km。1名乗車でエアコンはほとんど使っていません。
電費を元に満充電で走れる距離を計算すると139km。
一般道は上限60km/h程度でエコランの体制をとったが、40km/hでチンタラ走るようなエゴ運転はしていない。
終わってみれば、105km走って4コマもバッテリー残っていたので、もう少し攻めた計画でも良かったのかもしれない。
とはいっても、電欠したらイヤなので・・・(笑)
長野県にも急速充電スタンドができたので、途中で立ち寄り利用してみることにした。
アルバック社製の25kWタイプ。いわゆる中速充電器です。
普通の急速充電器は50kWのものが多いですが、電力設備容量が小さい施設の場合、
キュービクルの設置などににお金が掛かる上、基本料金も大幅に上がるので、それらに対応させたのが中速充電器です。
i-MiEVの場合、急速充電器だと0→80%回復は30分で完了しますが、
中速充電器の場合、電力容量だけ見たら倍かかりそうな気もしないでもないですが、
実際は、1.5倍の45分で完了する。
なぜか?
i-MiEVの場合、寿命を考慮して、受け入れ電流が100A(2C)程度に制限しているため、50kWの出力があっても、その7割の36kW程度しか受け付けない。
なので、25kWの充電器であってもあまり差が出ないのだ。
しかもSOC(電池の充電率)が70%あたりを超えると10kW程度しか受け付けなくなる。
すると、容量の差はもはやない。
日産のリーフはi-MiEVの1.5倍の電池を積むが、0-80%回復時間は30分。
充電電流が大きくても大丈夫な電池を積んでいるので、
電池が大きい割りに充電時間はi-MiEVと変わらないというわけです。
技術の話はともあれ、実際に利用してみたレポートに戻りましょう。
まずは、充電器の前にEVを止める。
充電はセルフサービスかと思いきや、充電器を見ると、「従業員に声をかけてください」と書いてある。
事務所に行き、利用したい旨を告げると、全て従業員の方がやってくれた。
消防法の関係とかで、従業員がやることになっているとおっしゃっていた。
しばらくは無料サービスらしい。
充電器差し込んだ時点で(うろ覚えだが)35%程度の充電率を充電器の液晶が指していた。
けっこう電池残量があるので残り時間は30分という表示。
ここで???が!
バッテリーメーターは充電器があるガソリンスタンドにつく少し手前で残り4コマになったばかり。
35%の充電率だと、5コマはなきゃおかしいはず。
車載のバッテリーメーターは電池の満充電から空充電の状態を全て表示しているわけではないことがわかる。
実際より少な目の電池容量を示すように意図的にしているのだろう。
電欠する人が出ないように。
そこで、充電器の表示を頼りに、電池容量の何%を利用しているかを推定してみた。
i-MiEVの電池は1セルあたり3.7V,50Ah(公称容量)なので、88セルで16280Whある。
充電器の液晶を何枚か写真に取り、充電電力量の変化と容量パーセントジの変化を調べてみた。
いくつかの差分をとって計算してみたら15700Whが通常利用されている計算になった。
割合にすると、電池公称容量の96%を普段利用しているようだ。
あまり宛になる推定方法ではないのでもう少し調査したいが、かなり広い範囲で電池を使用していると思う。
ただ、EVの電池でSOC範囲が90%以上に設定されていることなど考えにくいので、充電器の表示がどこの電力量を表示しているのかも詳しく調べる必要がある。
ちなみにハイブリッドカーの電池は20~30%のSOC範囲しか使用しません。
それに、バッテリーメーターの16コマを使い切ってもさらに約1~1.5コマ分の秘密の緊急使用領域があることがわかった。
車載のバッテリーメーターは電池SOCの0%から100%までを表示しているわけではない。
見た目上バッテリーが空になっても10km程度走れたというレポートがあるので、そのような緊急使用領域が設定されているのだろう。
もし、i-MiEV借りてバッテリーがゼロ表示になっても、あと5km程度で着けるなら助かる確率高いので覚えておくといいと思う(笑)
30分程度して充電器に戻ってみると、ちょうど充電が終了していた。完了予測時間はけっこう宛てになるんですね。
バッテリー冷却のためにエアコンが作動するので車体下から凝縮水が垂れてかなりぬれていた。
車載のバッテリーメータを確認すると16コマ中13コマになっていた(充電開始時は4コマ)。
1コマあたりの平均所要時間をざっくばらんに計算すると3.3分/コマ。
あと20kmで目的地!などという場合は10分充電してやればいい。
ちなみに、急速充電後に一旦充電プラグをはずしてもう1回つなぐと、普通充電に切り替わり、100%くらいまで充電することも可能らしい。
事業所等、他人が使うことがない場合ならそういった使い方もできるでしょうが、公共の場所でそれやられると迷惑極まりない。
もっとも、まだそれほどEVが走っていないので誰も迷惑しない?
今回お世話になったガソリンスタンドも一般客は私で3人目。
そのガソリンスタンドを経営する会社(フジドリームエアラインズなどを経営している会社)では
松本でEVレンタカー事業を今夏から展開しており、あとの2人はそのお客さんが充電しにきたもの。
部外者としては私が始めて(ちょっと嬉しい!)
ディーラーに戻り話をしていたら、4時間も借りていくお客さんはいないとのこと(笑)
ましてや100km以上走ってくるヘンな人などいないだろう・・・
今回は105km走破しましたが、もしそれ以上走ったという方いましたら是非とも連絡ください(笑)
これから挑戦してみようという方も、過去のレポートも参考に計画を立ててみてください。
最近になって、三菱ディーラーの貸し出しサービスは貸し出し時間が4時間から8時間に延長されました。
EVはゲーム感覚で航続距離を伸ばせるので中学生の頃、自転車で100km走破したときのような若い心がムクムクとわきあがってくるから不思議!
確かに300kmくらい走ってほしいというEVに対する夢もありますが、
現状の性能でいかにうまく使い倒すかというテクニックも大いに楽しめると思います。
「最近車が面白くない」という方は是非ともEVをお試しください。
車の出来が良くなりすぎたから最近の車はつまらないと感じるのかもしれません。