
その1の続きデス。ここからは けいおん!電車に迫っていきたいと思います。
けいおん!ファンの方、決して興奮なさらぬようお願いしますね。(笑)
ココ最近流行りつつあるのでしょうか、高速道路のSAやPAで色んなアニメキャラを描いた「痛車」が止まっているのをよく見かけるようになりました。
また、去年の10月末に座間市で行なった日産倶楽部(NISSAN CLUB)の座間オフでも何台か色んな痛車が止まっていました。その中でも みん友の
スギ Engineering Works氏のS14型シルビアに描く けいおん!仕様はコンテストでも賞を獲得するなど話題性の高い痛車の一つと言えるでしょう。
スギさんのお友達である ぺっぺさんのCT21S型ワゴンRの同仕様も座間オフで止まってました。
けいおん!の痛車はクルマだけではありません。
鉄道車輌でもありました。
京阪大津線(石山坂本 線)に走る600形613編成「K-ON! HO-KAGO TEA TIME TRAIN」です。
去年の12月3日より、けいおん!の映画が全国で上映され、その為のPRとして8月頃から運行されてました。
けいおん!電車の運行期間は当初12月31日までの予定でしたが、好評につき1月10日まで延長運行されました。
(ラッピング業者のスケジュールの折り合いがつかず仕方無しに10日まで延長した説もありかと...)
原作者の かきふらい(本名:飯島 茂)氏は京都の出身であり、舞台も京都(特に叡山電鉄沿線)と滋賀(豊郷町立豊郷小学校)なので、映画化も相まって両府県内をグループで占める京阪がタイアップしたのだと思います。
「痛車」ならぬ「痛電車」と世に言ってる人も居られるようですが、鉄道愛好家の ろなうどとしては「痛電車」という公称は一切認めず、あくまでも
「広告電車」として位置付けるものであると思ってます。
車輌解説 京阪600形電車
1984年に登場した車体長15m(連結面間)の併用軌道車輌で、元々300・260形の旧車体を流用、台車・制御機器の足回りを新製して大津線に導入された車体更新車です。
(京阪では、例えボロい車輌でも車体更新して形式改番を行なったとしても、書類上では「新製車扱い(代替新造)」としている。)
京津(けいしん)線内 三条~浜大津間の併用軌道区間及び急勾配急曲線区間に対応し、昇圧前は同区間を準急列車として浜大津まで運用していました。
1997年には京都市営地下鉄東西線乗入れ開業に伴い、大津線全線(京津線・石山坂本 線)も600Vから1500Vに昇圧した際、600形は全て石山坂本 線内の運用となり、主要機器も複電圧対応のもの(主制御機器やSIVなど)に交換、更にブレーキ制御を電気指令化(HRD-1 回生・発電制動対応 抑速制動付き)、そして主電動機(53→70kW)の換装などが行なわれ、2003年にはワンマン化改造を受け、石山坂本 線をメーンに今尚現役で走っています。
制御機器は抵抗制御の発展型、私鉄御用達の界磁チョッパ制御の派生である「界磁位相制御」を採用し、回生ブレーキを可能とする他、急勾配区間に対応する為に抑速ブレーキ(クルマで言う「エンジンブレーキ」みたいなもの)も備わり、平坦区間においては定速運転機能(クルマで言う「オートクルーズ(クルーズコントロール)」みたいなもの)も備わってます。
600形には2つの顔を持ち、上の画像右が1次車(601~608 2両4編成)で1984年に300形から改造されたものであり、左が2次車以降(609~620 2両6編成)の増備車で、260形から改造されました。
2次車以降の600形から前面窓が曲面ガラス(パノラミックウインドウ)になっているのが特徴です。
今回取上げる けいおん!電車は613編成(613-614)で3次増備車に当たり、1987年に改造された車輌です。
画像をクリックすれば拡大します。
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この日は、大津市内にある大津線の車庫である錦織(にしごおり)車庫内で行なわれた、けいおん!電車の撮影会がありまして、この車輌を求めに鉄道ファンのみならず、けいおん!ファンの方も懸命にカメラのシャッターを切っていました。
というより、鉄道ファンよりも けいおん!ファンの来場者率が高かったです...。
(何てったって、俺がキャラクターを撮ってる時に、けいおん!ファンの一人が「○○ちゃんってカワイイよねぇ~」って気持悪い声で話しかけられてきた程だから...)
ここでは ろなうど風マニアック的に、600形613編成けいおん!電車の全貌に迫っていきます。
まずは外観から
613号車
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614号車
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本線上を走る700形との2ショット
ここからマニアックの域デス!!
台車は住友金属製のFS-503Aで、車体支持は京阪で多く使われているインダイレクトマウントによるノースイングハンガータイプ。台車枠と枕梁の間に空気バネが乗っかり、ボルスタアンカで牽引力を伝達している構造です。
軸箱支持はペデスタル(軸箱守)支持による軸梁式です。
この台車は急曲線区間の多い大津線で威力を発揮する反面、惰性で走る際に起きる横揺れなどは力の逃げが無い為、高速域はよく揺れます。
主抵抗器
7ブロックに分けています。これで直列段及び並列段を抵抗器を介してモーターを回し速度調節しています。
主制御機器(奥)と断流器箱(手前)
東洋電機(TDK
※)製で、型式はACRF-H870-793Aです。
制御段数は直並列各7段(多分)、弱め界磁制御は無段階であり、複巻電動機を採用する為、分巻部分を半導体と三相交流電源を用いて励磁する抵抗制御の発展型であり、私鉄御用達の界磁チョッパ制御の派生でもある「界磁位相制御」であります。
(界磁チョッパ制御は半導体と直流電源を用いて励磁する)
また、この制御機器は急勾配区間を走行する為に抑速ブレーキも備わり、更に平坦区間においては定速運転機能も備わってます。
この制御器一つで8個の主電動機を制御します。(1C8M制御)
※ 東洋電機製造㈱の略称(Toyo Denkiseizo Kabushikigaisha)であり、記録媒体メーンの電機メーカーとは全くの無関係。こちらのTDKはTokyo Denki Kagaku(東京電気化学工業)を略したもの。
天井部分
左の筒みたいなのが避雷管で、右がバッテリ用のヒューズボックスです。
JR・私鉄も含め、採用例の少ない棒連結器です。
またの名を「永久連結器」とも言います。
切り離す時は、連結器丸ごと外さなければなりません。
補助電源(東洋電機製)
1500V昇圧の際に複電圧仕様の静止形インバータ(SIV Static InVerter)に交換されました。
車内の照明や空調装置などはコレで賄います。
タイフォン(右)と電子ホーンのスビーカー(左)です。
タイフォンはJRの公称で言えばAW-5形と同等品でしょう。
電子ホーンは併用区間に限り吹鳴(すいめい)されます。いい音色ですよ~
ここからは、けいおん!電車の車内に迫ります。
車内までラッピングするのは極めて珍しく、大手私鉄でも京阪だけだと思います。
まずは運転台仕切りより
車端部
600形の運転台
左は東洋電機製マスコンハンドルで、15km/h~70km/hまで5km/hごとに刻み、定速運転を可能にしています。またOFF位置より左に回せば抑速ブレーキが働くようになってます。
右はブレーキハンドル(正確に言えば「ブレーキ設定器」)で、電気指令式となってます。
画像ではブレーキハンドルのノブが装着されてない状態です。
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メーターパネル
左は電流計、中央は速度計で最高70km/hまで出します。
右は圧力計で、赤針は空気元ダメ(MR)、黒針はブレーキシリンダ(BC)の圧力を表示します。
画像をクリックすれば拡大します。
広告電車でもアニメ系、特に少女系アニメのフルラッピング電車は極めて珍しく、日本でも唯一ココだけだと思います。去年この けいおん!電車を撮りに、また乗りに行った時でも沿線には多くのファンがカメラを持って懸命に撮ってました。
ろなうどもアニメ系のフルラッピング車を一度は撮りたいと思い、年内一杯で終了するのを期に(結局は1月10日まで延長運行されたが)、去年の12月に2週続けて大津入りしました。
これにはスギさんの
このブログのコメントの返答が切欠で実現出来たのもその一つです。
その結果、けいおん!電車に触発されてか、自分も「けいおん!」に興味が沸き、最近ですがレンタルでDVDを借りて見ています。
スギさんは秋山 澪が好みですが、自分は社長令嬢の琴吹 紬がいいなぁ~
車庫内での撮影だけでは自分も納得がいかないので、その3では石山坂本 線の他の車輌も含め、走行シーンを中心に けいおん!電車を追いかけたいと思います。 お楽しみに!!
2012.1.22 AM1:30 車輌解説を中心に修正・追記