蒸気エンジンの概観

蒸気エンジンの特徴
①自己始動できる
ピストンがどの位置にあっても、シリンダーに蒸気を入れれば自力で動き出す事ができます。また、クランクの位相が左右で９０度ずらしてあるため、片方のピストンが死点にある場合は他方のピストンが中間位置となり、クランクポジションに関係なく始動する事が出来ます。

②前進後退が自由自在
シリンダーに蒸気を入れる順序を入換えるだけで、クランクの回転方向を変える事が出来ます。（つまり自動車の様なバックギヤは必要ありません）

③ミッションが無い
コンロッドで直接駆動輪を回します。回転速度が遅いため、駆動輪の直径を大きくして車速を稼いでいます。また、静止状態からゆっくり動き出し、同時に最大トルクを発生させることが出来るのでミッションは必要ありません。

④クラッチが無い
走行中アクセルをｏｆｆにすると、強力なエンジンブレーキが掛かってしまいます。そのため、シリンダのバイパス弁を開いてシリンダ内部の空気抵抗を減じて惰性が利く様に工夫が凝らされています。

⑤電気的な制御が無い
アクセルやバルブタイミングの操作は、てこを使って人力で動かします。また、バイパス弁などの遠隔操作が必要なものは、制御用圧縮空気で動いています。電気が必要なのはヘッドライトだけ、まさに究極のマニュアル機械です！

エネルギー効率が悪くてこの世から消えてしまいましたが、この様に自動車エンジンより優れた機構を備えています。