• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

eka(えか)のブログ一覧

2025年12月12日 イイね!

ゼミ室に、ロードスターと86と、エボⅠが現れた午後

ゼミ室に、ロードスターと86と、エボⅠが現れた午後

午後のゼミ室は、いつもと同じように少し乾いた空気が流れていた。
ホワイトボードには未完成の議論の痕跡が残り、窓の外では季節が静かに進んでいる。そんな、どこにでもある大学の一室で、思いがけずクルマの話が始まった。

4年生のゼミ生が二人。
一人はロードスターに乗っていると言い、もう一人は86だと言った。

私はその瞬間、彼らの言葉の「重さ」が、少しだけ普通と違うことに気づいた。
単なる車名ではない。
それは、選択の結果であり、時間をともに過ごしてきた相棒の名前だった。

「ロードスターは、やっぱり軽さですよね」
「86は、踏み込んだときのあの感じが……」
「そういえば、先生の初めの愛車はなんだったんですか?」

私はうなずきながら、少し考えたあと、静かに言った。

「私の最初の愛車は、ランエボだったんだ」

すると、空気が変わった。
二人の表情が、ほんの一瞬でこちらに引き寄せられる。

エボ!!
まだ“伝説”になる前のランサー。
余計な装飾はなく、速く走るためだけに存在していた、少し無愛想なクルマ!!


「須藤京一(エボⅢ)のですか?」

いや、色は同じブラックだけど、私のはエボⅠ……

そう、彼らはちゃんと知っていた。
私が若い頃、深夜の道路や漫画のページの中で感じていた、あの感覚を。

不思議なことに、世代の差はほとんど感じなかった。
FRと4WDの違い。
軽さとトラクション。
速さとは何か、運転するとはどういうことか。

そのどれもが、言葉にしなくても通じていた。

クルマは、単なる移動手段ではない。
それは、ある時代の若者が、世界とどう向き合っていたかの記録だ。
ロードスターも、86も、エボⅠも、それぞれ違う方法で「走ることの意味」を問いかけてくる。

ゼミ室でそんな話をするとは思っていなかった。
けれど、たぶんこういう瞬間のために、クルマは存在しているのだと思う。

世代を超えて、静かに、しかし確かにつながるもの。
その午後、私はそれをロードスターと86とエボⅠから、もう一度教えてもらった。

*広告塔の篠塚健次郎氏は昨年逝去。ひろ子夫人は「この3週間、篠塚建次郎は頑張って頑張って、サハラ砂漠と闘ってきたのだと思います。そして今朝、(パリ・ダカールラリーのラストランとなる)ラックローズにゴールしました。本当によく走り続けました。どうぞ皆様も篠塚を褒めてやってください。長く応援していただきありがとうございました。」と遺した。
Posted at 2025/12/12 18:57:31 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年12月11日 イイね!

「関越道のどこかで、冬が始まる音を聞いた。」Vol.3

「関越道のどこかで、冬が始まる音を聞いた。」Vol.3苗場の標識が視界を過ぎると、
周囲の空気は一段と冷たくなり、
エンジンの音が少しだけ硬く響くようになった。
山に近づくというのは、
風景が変わるよりもまず音が変わることなんだと、
そのときふと思った。

テープが終わり、
カーステから「ガチャ」と鈍い音がして、
自動的にA面が巻き戻り始めた。
あの、フィルムが走るような特有の音。
今となっては、それだけで
ひどく懐かしい気配をまとっている。

アクセルを緩めると、
前方の右カーブを抜けたところで
さっきのスキーバスが再び姿を見せた。
雪道に備えて速度を落としているのだろう。
その大きな背中を、
僕の小さなカローラⅡがゆっくりと追い詰めていく。

追い越し車線に出ると、
バスの窓越しに、
あの横顔がもう一度現れた。
白いセーターの肩が少しだけ揺れて、
彼女が何か小さなノートに字を書いているのが見えた。

たぶん、スキー旅行のメモか、
あるいは日記のようなものだろう。
でも、そんな想像すら、
意外なほど自然に僕の中へ入り込んできた。

“人は二度同じ人を見たとき、
それを偶然だと思うのをやめる。”
そんな言葉が、どこかの小説にあったような気がする。

スキーバスを抜きながら、
僕はハンドルを握り直した。
彼女はこちらを見ていなかった。
当たり前だ。
僕はただ、通り過ぎるひとりの男でしかない。

けれど、その数秒のあいだ、
時間だけが妙に伸びて、
ほんの刹那、
世界は静かで、透明で、
そしてかすかに期待めいたものを孕んでいた。

追い越しを終え、
ミラーにバスのシルエットを残したまま、
僕は再びユーミンの再生ボタンを押した。

A面は最初からまた始まった。
冬の入り口の音が、
もう一度、車内に満たされていく。

苗場まで 54km。
雪は、まだ降り出さない。
Posted at 2025/12/11 08:36:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年12月09日 イイね!

新築マンション年収の10倍――地方に広がる“億ション化”の衝撃と、クルマ社会のこれから

新築マンション年収の10倍――地方に広がる“億ション化”の衝撃と、クルマ社会のこれから本日、日本経済新聞に掲載されていたこの記事は、静かにしかし確実に、日本の暮らし方が変わりつつあることを示していた。

「新築マンションを買うために必要な年収倍率が、全国平均で10.38倍」


かつて「7倍が限界」と言われていた指標は、もはや別世界の数字へと上り詰めている。

■ 地方で増える“億ション”。なぜか?

記事によれば、全国24都道府県で年収倍率が上昇し、特に札幌・福岡・金沢といった地方都市で価格の上昇が際立つ。
背景には次の構造がある。

● ① 富裕層・移住者の流入

テレワーク普及により、
「都市の給料のまま地方で生活」
という新しいライフスタイルが増えた。

● ② 投資マネーの流入

マンションが金融商品として扱われ、
“資産価値の高い都市部の駅近” が買われ続けている。

● ③ 建材・人件費の高騰

建設コストの上昇が、地方の住宅価格にも波及している。

その結果、

「地方なのに、億ション」
という逆転現象が生まれている。

■ 片働き世帯では“手が届かない現実”

記事にもある通り、
片働きでは住宅取得が極めて困難
というデータがはっきり出ている。

たとえば東京は年収17倍。
年収600万では1億円のマンションに当然手は届かない。

住宅はもはや「収入の延長線上にある消費」ではなく、
“資産階層によってアクセスが分断される領域”
になりつつある。

■ クルマ社会への影響はどうか?

みんカラ的には、ここが一番面白い視点だ。

● 1)住宅にお金を取られ、クルマ予算は縮小?

マンション価格が跳ね上がれば、
車両本体に回せる予算は確実に圧迫される。

その結果として…

・軽自動車の需要増
・コンパクトHV(AQUAなど)の再評価
・維持費の低い中古市場の活性化

が加速する可能性が高い。

● 2)駅近マンション → 車不要層の増加

億ションの多くは「駅直結・駅至近」で、
そこに住む層は
“クルマを持たないライフスタイル”
を選ぶ傾向が強い。

この流れは、実は都市部の自動車市場の縮小につながっていく。

● 3)地方戸建 × クルマ2台生活の価値はむしろ上がる

一方、駅近マンションが高騰しすぎると、
“郊外の戸建+クルマ”の価値が相対的に上がる。

郊外に住む理由が
「住宅価格」から「生活の自由度」へ
シフトしていくということだ。

■ では、この“億ション化”は何を意味するのか?

この記事が示しているのは、

住まい方の分岐点が訪れている
という大きな歴史的変化だ。

資産としての住宅と、
生活の移動手段としてのクルマ。

この二つは、これからますます
“どちらに優先順位を置くか”
という選択を迫ってくる。

■ 最後に――家もクルマも、一本道ではない

記事を読みながら、こんな比喩が浮かんだ。

マンション価格というのは、急に現れた長い上り坂のようだ。
これまでと同じギアでは登れない。
でも、ギアを変えれば進めるし、道を変えることだってできる。

家をどう選び、
どこに住み、
どんなクルマと暮らすのか。

それらはもはや「世代の常識」ではなく、
個々が選び取る“ライフデザイン”の話になっている。

人生のルートは一つではない。
そして、どのルートを選んでも――
自分が心地よく走れる速度を保てれば、それでいい。
Posted at 2025/12/09 10:05:37 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日記
2025年12月08日 イイね!

70歳のカーブをどう曲がるか――未来のクルマと僕らの話

70歳のカーブをどう曲がるか――未来のクルマと僕らの話本日の日本経済新聞に「70歳定年 日本は耐えられるか」という記事が載っていた。
数字を静かに突きつけてくるグラフを眺めながら、
これは“誰かの問題”ではなく、私たち自身のハンドル操作の話なのだと感じた。

世界の先進国はすでに、67歳以上を定年・年金支給の基準にしている。
日本も例外ではなく、2024年に生まれた子どもたちは、ほぼ70歳まで働く時代に生きることになる。
出生率の急落は日本だけではなく世界的な現象であり、
「長く生きること」と「働き続けること」を社会全体で前提にせざるを得ない。

■ 70歳まで働く社会に必要な“再設計”

記事では、次の二つが特に重要だと示唆されていた。

● 健康寿命の延伸

70歳まで働くなら、心身の“整備”は今以上に欠かせない。
言うなれば、エンジンオイルとタイヤの寿命をしっかり管理するように、
人間のメンテナンスも社会インフラとして仕組み化すべきだという話だ。

● 学び直しの必修化

これからは「定年」ではなく「再スタート」が前提となる。
仕事も学びも“マルチレーンの高速道路”のように、
途中でゆるやかにレーンチェンジできる社会が求められている。

■ クルマの世界はどう変わるのか

みんカラ的に外せないのはここだ。

● 1)収入の継続 → 車選びのパターンが変わる

70歳まで現役だと、
60歳で一気にコンパクトカーへ…という従来の流れは変わり、
長く働くからこそ“もう一度、本当に乗りたい車”を選ぶという現象が起きる。

● 2)EV・HVの主戦場はむしろシニアへ

電動化は若者より、
時間的余裕と購買力を持つ高齢層の方から進む可能性が高い。

AQUAのようなコンパクトHVは、
「都市 × 高齢 × 実用」という強いニーズにフィットし、
N-ONEのような軽快さは、むしろ第二の青春車になる。

● 3)運転支援は“贅沢品”から“強制装備”へ

70歳定年を現実にするなら、
レベル2〜3の運転支援はもはや社会のライフラインだ。

安全に職場へ、家へ、そして趣味のドライブへ。
そのすべてを支える技術が、これから急速に標準化されていく。

■ 最後に――長いワインディングロードを走るということ

記事を読みながら、ふとこんなイメージが浮かんだ。

70歳のカーブは、人生の後半で現れる少し長めのコーナーのようだ。
霧が出ることも、グリップが薄くなる瞬間もある。
それでもアクセルの加減を知り、
ハンドルの重さを受け止められるなら、
人は案外、思っている以上に走り続けられる。

クルマも人生も、
大切なのはスピードより、どれだけ心地よく走れるかなのかもしれない。
Posted at 2025/12/08 12:52:44 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2025年12月08日 イイね!

「AQUA に 992 をつけた日――多田さんの“911の言葉”が胸に残る」

「AQUA に 992 をつけた日――多田さんの“911の言葉”が胸に残る」

「多田さんが 911 GTS の横で、あの柔らかな笑顔を浮かべていた理由が、
最近すこし分かってきた気がする。

あの日、多田さんはふとこんなことを言った。

『エンジニアから直接話を聞いてからの試乗でしたので、ポルシェの言わんとしていることもすぐにわかりました。
この走りは、まさに私がよく知っている911そのものです。』

その言葉には、ただの評価ではなく、
長い年月を共にしてきた“相棒を見るまなざし”のようなものがあった。

さらに話は続いた。

『このクルマについていろいろ話していて、あらためて思い出しましたが、
確かに911はこの重配だからこそのメリットが多いんです。
なによりもまず、鬼のような制動感です。
サーキットで一番怖いのはブレーキングですが、
ブレーキングでの圧倒的な安定感と安心感では、911は唯一無二です。
それから加速するときのトラクション感ですね。』

その言葉を聞いたとき、
GTSのドアの向こう側にある“技術と経験が積もった世界”が、
静かに立ち上がってくるようだった。

そして先日、僕は自分のAQUAに“992”の番号をつけた。

『AQUAに992ですか?』
多田さんが笑いながら言う姿が、なぜか頭に浮かんだ。

僕は心の中で答えた。
『いや、これは遊び心じゃなくて、
日常の中にほんの少しだけあの世界の匂いを混ぜたかったんです。』

すると多田さんが、遠くの峠の風の向こうで
そっと頷いたような気がした。

AQUAはもちろんGTSではない。
でも、数字ひとつでクルマに宿る物語の色が変わることがある。

多田さんがGTSの走りに“よく知っている911”を感じたように、
僕もAQUAと遠いどこかの道路の記憶で、
そっと結ばれた気がしたのだ。」

Posted at 2025/12/08 07:43:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「ゼミ室に、ロードスターと86と、エボⅠが現れた午後 http://cvw.jp/b/3743672/48814157/
何シテル?   12/12 18:57
大学の教員('ω')ノです。 車歴(すべて新車); EvoⅠ→Golf GTI→ BMW MINI Cooper→BMW(E46)330i→BMW(E92...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/12 >>

 123 45 6
7 8 910 11 1213
14151617181920
21222324252627
28293031   

リンク・クリップ

みんカラID(移行:Yahoo IDのため) 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/08/16 08:08:44
 

愛車一覧

ホンダ N-ONE ホンダ N-ONE
ホンダ N-ONEに乗っています。 プラチナホワイトパール&ブラック アームレスト エク ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation