CNBCを見ていると、少し気になるニュースが流れてきた。
“Premium auto sales down as consumers shift to mainstream models.”
高級車の販売比率が下がり、消費者が大衆ブランドへ移っているという。
米国におけるプレミアム車の販売比率は、2026年上半期で13.3%。前年の13.8%から低下し、2020年以来の低水準になった。
番組では、こんな例まで紹介されていた。
BMWからToyotaへ。
Mercedes-BenzからFordへ。
司会者が、少し冗談めかして尋ねた。
「自分はお金持ちだ、と見せつけたい人が減ったのでしょうか?」
たしかに、そういう変化もあるのかもしれない。
けれど、理由はもう少し現実的だ。
かつて高級車だけのものだった大型ディスプレイ、運転支援、上質な内装、シートヒーターといった装備が、いまでは大衆車にも普通に用意されている。
J.D. Powerによれば、中型高級SUVから乗り換えた人の32%が、次は大衆ブランドを選んだという。
乗り換え先の中型SUVは平均約5万1,500ドル。手放した高級車側は約7万600ドル。その差は約1万9,000ドル、日本円ならおよそ300万円である。
バッジのためだけに300万円。
そう考える人が増えたとしても、不思議ではない。
FordとGMは高収益のSUVやピックアップに支えられ、調整後利益を伸ばした。Toyotaも純利益と北米事業が大きく改善している。
一方で、BMWは中国販売が30%減り、自動車部門の利益率も5.4%から2.3%へ低下した。
高級車が売れなくなったというより、「高級である理由」を以前より厳しく問われる時代になったのだと思う。
9月、僕のところにはAQUA GR SPORTがやって来る。
分類すれば、どこまで行っても大衆車である。
けれど、補強されたボディ、専用の足回り、シート、ステアリング。そして小さな車を丁寧に走らせる楽しさがある。
そこに支払うお金は、バッジ代ではない。
では、65歳になったらCarreraに乗りたいという僕の計画は、時代に逆行しているのだろうか。
たぶん、そうではない。
Carreraに求めているのは、「Porscheに乗っている自分」ではなく、あの独特の着座位置と、後ろから押し出される感覚と、ステアリングの向こう側にあるものだからだ。
大衆車で十分、という話ではない。
高級車なら、値段の差だけではなく、体験の差を見せてほしいという話なのだ。
白いAQUA GR SPORTが納車される日、僕はそのままCarreraを試乗しに行く予定だ。
一日に二つのステアリングを握れば、きっと分かるだろう。
最後に残るのがバッジなのか。
それとも、バッジを外しても残る何かなのか。
☆ブランド:歴史、技術、販売店、所有体験まで含む総合的な価値
バッジ :車体に付くエンブレム、転じて「名前・ステータスだけ」の価値
Posted at 2026/08/08 07:59:25 | |
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