今回は一見すると自動車とは無関係な話題に見えるかもしれませんが、私
たちの「学び」や「知性」と深く関係する、最新の教育に関する記事を読み、ハンドルを握る者としても考えさせられました。
2025年8月18日付の日本経済新聞に掲載された「知性と学びの危機に目を」という記事は、日本の中高生の学力、特に読解力や数学力がOECDの国際学力調査(PISA)で低下していることに警鐘を鳴らすものでした。
📉 PISAで見えた危機:「学ぶ力」の後退
PISA(Programme for International Student Assessment)は、15歳を対象に3年ごとに行われる学力調査で、日本はかつて上位を維持していましたが、近年その順位が大きく後退しています。
数学的リテラシー:2012年→2022年で大きく低下
読解力:2018年から急激に低下
この背景には、勉強時間の減少、スマホやゲームなどのデジタル依存、そして**「思考力・表現力」を重視する授業へのシフト**により、基礎的な知識の蓄積や反復訓練が疎かになっていることが指摘されています。
クルマの整備と「知性」の共通点
ここで思い出していただきたいのが、自動車整備やカスタムのプロセスです。
車の構造理解
故障時の原因分析
整備書・パーツリストの読解力
作業の段取りと手順の論理性
これらはまさに「数学的思考力」「読解力」「問題解決能力」の複合体であり、車をいじることは知性の運用そのものだと私は思います。
仮に今の若者が基本的な数学や読解の能力を落としていけば、「ECUマップの読み取り」や「トルク計算」すら難しくなるでしょう。知性の土台なくして、真のメカ愛は育ちません。
減る学習時間と“時間をかけること”の価値
記事によれば、日本の高校生のうち「1日1時間以上、学校の宿題以外に勉強する」割合はOECD平均を大きく下回っており、学習に費やす時間の不足が学力低下の一因とされています。
これはまさに、「時間をかけて身につける」ことの価値が忘れられつつあるという社会全体の問題です。
車の世界でも同じことが言えます。例えば、旧車のレストアやキャブセッティングは、一晩で出来ることではありません。時間をかけて試行錯誤しながら理解し、知識と感覚を磨くものです。
私自身の思考訓練:第二言語と社会文化理論
実は私も、この夏の休暇中はJames P. LantolfとSteven L. Thorneによる名著
『Sociocultural Theory and the Genesis of Second Language Development』 を精読し、毎日“思考訓練”を行っています。
Vygotsky理論を応用したこの一冊は、**「学びとは社会的な営みであり、他者との対話によって知性は育まれる」**という考え方を中心に展開されており、まさに今の教育課題や、学びの本質を再考するのにぴったりの内容です。
そしてこの視点は、車いじりや整備といった趣味の世界にも通じます。人との交流、現場での会話、師匠とのやりとり――それらを通じて私たちは深く理解し、学んでいるのです。
まとめ:車を通じた学びの可能性
教育現場での危機は、実は私たち大人や趣味の世界にもつながっているということを、この記事から感じました。
私たちが車を愛し、いじり、学ぶ過程こそが、「思考力」「読解力」「創造性」を育む立派な知的活動です。そして、それを次の世代にどう伝えていくか――そこに本当の“教育”の可能性があるのではないでしょうか。
知性と学びの灯を絶やさずに、次の世代へ。
その思いを、私はこれからも“みんカラ”を通じて発信していきます。
Posted at 2025/08/18 11:28:25 | |
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