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eka(えか)のブログ一覧

2025年10月25日 イイね!

プレリュードはなぜ響かなかったのか?

プレリュードはなぜ響かなかったのか?新型プレリュードの試乗(約30分)を終えたあと、私は深い静けさの中に立ち尽くした。
性能は優れている。乗り心地は上質で、ハンドリングも正確だ。
それなのに——心が動かない。
モータージャーナリストたちは一様に「完成度が高い」「大人の上質なクーペ」と称賛しているが、
なぜ私はその賛辞の輪に加われなかったのだろう。

理由のひとつは、日本的モータージャーナリズムの構造にある。
多くの評論が、車を「製品」としてではなく「企業文化の成果」として語る。
批評よりも調和、個性よりも共感が重んじられる。
したがって、車の“情緒的な未完成”や“人間的な粗さ”に価値を見出す言葉は、
そこにほとんど存在しない。
結果として、「技術的完成=良い車」という単線的評価が支配してしまうのだ。

だが、車が人を動かすのは、数字ではなく感情の共鳴である。
完璧に制御された静けさの中では、心の鼓動が届かない。
プレリュードは美しいが、あまりに整いすぎている。
ハンドルを握るたび、私は「この車に、人間の余白はあるのか」と自問した。

3年前に乗ったシビック Type R には、荒々しさと緊張があった。
わずかな不安と高揚が交錯するその瞬間こそ、「未完成の情緒」だった。
そこには、車と人間が互いの限界を探り合う関係性があった。



一方、プレリュードはドライバーを試さない。むしろ、安心の中に閉じ込める。
それは“優しさ”でありながら、同時に“沈黙”でもある。

ポルシェやBMWの思想は、人間の不完全さを尊重する。
少しの危うさを許容し、感性が介入できる“余白”を残している。
それが走りの歓びを生み、哲学を感じさせる。
対して、プレリュードは人間の感情を「制御すべき変数」として扱っているように思える。
それこそが、「響かなかった」本質的理由だ。

車は、合理の産物であると同時に、感性の容れ物でもある。
科学がどれほど進歩しても、感動は数値化できない。
完璧さを目指すあまり、人間が感じる“ゆらぎ”が失われたとき、
車は作品でなく「静かな機械」へと変わってしまう。

そして不思議なことに、N-ONEで帰路に就いたとき、私はほっとした。
完璧ではないが、心に寄り添う——そんな“共存の静けさ”がそこにあった。
プレリュードが示したのは、技術の到達点ではなく、
感性がどこまで生き残れるかという問いだったのかもしれない。
Posted at 2025/10/25 14:37:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年10月23日 イイね!

プレリュード試乗!でも感動がなかった!!!

プレリュード試乗!でも感動がなかった!!!

久々に“プレリュード”という名が現代に甦ったと聞き、学術的関心もあって授業の合間に試乗してみた。(笑)

外観は見事である。流線形のプロポーション、低く抑えられたノーズ、光を受けて繊細に表情を変える赤のボディ。デザイン的には、造形美と空力合理性の融合という点で非常に完成度が高い。まるで精密に設計されたプロダクト・アートのようだ。

しかし、ステアリングを握った瞬間に感じるはずの“身体性の共鳴”が、そこにはなかった。

走りは極めて滑らかで静か。制御のアルゴリズムが完璧であるがゆえに、すべてが予測可能で、感情曲線が平坦なまま終始してしまう。プレリュードという名に刻まれていた“情熱の残響”が、どこか電子の膜に吸収されてしまったような印象だ。当然 S+モードも試したが・・・

確かにこの車は優れている——合理的で、静粛で、知的である。
しかし、人間の感覚は論理だけでは満たされない。
わずかな揺らぎや、不完全さの中にこそ、生きた機械としての美が宿るのではないだろうか。

つまり、この新型プレリュードは“完成された作品”ではあるが、“未完成ゆえに心を惹く存在”ではない。

その意味で、多少の荒削りさを残しつつもドライバーの感情を揺さぶる——フェアレディZの方が、むしろ“買い”なのかもしれない。

走りとは、数値では測れぬ情緒の芸術である。

BMWやポルシェはそのあたりの事情をよく熟知している。つまりBMWからプレリュードはあり得ないと確信した一時間であった

Posted at 2025/10/23 11:51:52 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日記
2025年10月19日 イイね!

『The World in 2050』を読みながら考える日本の未来

『The World in 2050』を読みながら考える日本の未来静かな午後、コメダ珈琲の木の香りに包まれながら、Hamish McRaeの『The World in 2050』を読み進めた。
この書は、人口構造や技術革新、地政学の変化がどのように世界を再編していくかを描いた一冊だが、特に「Japan – The Elderly Pioneer(高齢化先進国・日本)」の章は深く考えさせられる。

日本はすでに「世界で最も高齢化した社会」であり、2050年には人口が9,000万人を割り込むと予測される。
地方は過疎化が進み、都市には高齢者が集中。労働力不足を埋めるためのテクノロジー依存が進む一方で、社会は次第に“内向き”になっていく。
McRaeは、こうした傾向を「秩序ある静寂(ordered calm)」と呼びながらも、それが国際的な孤立を生み出す可能性を示唆する。


自動車産業を筆頭に日本の製造業は今も高い競争力を誇るが、ソフトウェアやサービス分野では遅れが目立つ。
技術立国の伝統をどう再構築するか――その問いは、まさに次世代のモビリティやエネルギー政策にも直結する。

2050年の日本が「静かなる成熟国家」として新たな価値を世界に提示できるか。

ハンドルを握るたびに思う――未来は遠くの話ではなく、今日の選択の積み重ねなのだ。かつては " JAPAN AS NO.1"と呼ばれた日本の元気はもう a thing of the past 過去の遺産なのだろうか・・・

“Japan as Number One” comes from Ezra Vogel’s 1979 book Japan as Number One: Lessons for America, written at a time when Japan’s post-war economic miracle had made it the world’s second-largest economy. During the 1970s–1980s, Japan’s manufacturing efficiency, education system, and social cohesion were admired globally. It symbolised a model of capitalism that combined discipline, consensus, and innovation — particularly in the automobile and electronics industries.
Posted at 2025/10/19 08:33:44 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2025年10月17日 イイね!

給与階級別の変化にみる日本経済の「底上げ」現象

給与階級別の変化にみる日本経済の「底上げ」現象令和2年から令和6年にかけての給与階級別分布を分析すると、日本の所得構造に明確な変化が見られる

まず、100〜300万円以下の低所得層は減少し、特に100〜200万円層が大きく縮小した。これは、最低賃金の引き上げや非正規雇用から正規雇用への転換、さらには雇用安定政策などが一定の成果を上げた結果と考えられる。

一方で、400〜700万円の中間層および700万円以上の上位所得層は増加傾向を示した。中でも500〜600万円層の伸びが顕著であり、企業のベースアップや業績連動型給与の浸透が反映されているとみられる。これにより、所得分布の重心は明らかに右(高所得側)へとシフトしており、いわば「底上げ型」の所得構造への転換が進行している。

ただし、この上昇傾向の恩恵は一様ではない。IT・金融・専門職を中心とする高付加価値産業が平均値を押し上げている一方で、地域・業種間格差の拡大も指摘できる。したがって、マクロ的には賃金の上昇基調が見られるものの、ミクロ的には依然として再分配と所得安定の仕組みが問われる局面にある。

全体として、令和2年から6年にかけてのデータは、日本社会が「格差拡大型」から「底上げ型」へと緩やかに転換する過程にあることを示している。
この流れは、自動車業界を含む製造・流通分野にも波及し、購買行動や車種選択においても“ミドルアップ”の傾向を後押ししているといえよう。

■ 給与階級別比較(令和2年 vs 令和6年・計)
給与階級 令和2年(千人) 令和6年(千人) 増減(千人) 主な傾向
100万円以下 4,366 3,934 −432 非正規・パート層減少
100〜200万円 6,874 5,707 −1,167 ワーキングプア層大幅減
200〜300万円 7,722 6,767 −955 低中所得層減少
300〜400万円 8,600 8,258 −342 中間下層わずかに減
400〜500万円 7,260 7,870 +610 中間層増加
500〜600万円 5,162 6,059 +897 中堅層拡大(最大増)
600〜700万円 3,335 3,907 +572 中上層の底上げ
700〜800万円 2,298 2,710 +412 高所得層増加
800〜900万円 1,442 1,741 +299 緩やかに増加
900〜1,000万円 955 1,208 +253 上位層拡大
1,000〜1,500万円 1,775 2,306 +531 富裕層増加顕著(筆者はココ
名古屋市:約 2,331,264 人(ランキングで政令指定都市第3位)とほぼ同数(笑)。
1,500〜2,000万円 373 576 +203 上位安定増
2,000〜2,500万円 112 147 +35 ごく一部だが増加
2,500万円超 128 174 +46 超高所得層も増加
合計 50,401 51,366 +965 全体として拡大傾向

■ 分析まとめ
1️⃣ 低所得層(~300万円以下)

約2,500千人減少(−13.7%)

最低賃金上昇・雇用安定化・非正規→正規化などの効果が推察される。
→ 「底上げ」傾向が明確。

2️⃣ 中間層(400〜700万円)

約2,079千人増加。

企業の賃上げ・ベア・業績連動型給与の浸透。
→ 賃金中央値が上昇し、分布が右方向にシフト。

3️⃣ 高所得層(700万円以上)

すべての階級で増加。

特に1,000万円超層は +815千人(約30%増)。
→ 管理職・専門職・外資系・IT系の影響が大。
→ 格差の上端拡大も同時進行。

■ 総合的見解

分布全体は 「低所得層減少+中~高所得層増加」 という構造変化。

日本の所得ピラミッドがやや台形化しつつあり、“分厚い中間層+拡大する上位層” が特徴。

ただし、上位層拡大は一部職種・地域に偏っている可能性があり、格差是正と再分配政策 が今後の課題。
Posted at 2025/10/17 09:42:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年10月16日 イイね!

🚗 N-ONEからAQUAへ:価値の転換 ― 静けさの方へ

🚗 N-ONEからAQUAへ:価値の転換 ― 静けさの方へ「お金に縁がない人は“豊かな気分にしてくれるものにお金を使う”というのが持論です。」

お金に縁がある人とは、自分を本質的に豊かにしてくれるものにお金を使う人だと書いてある。



かつての私は、“気分の高揚”を求めて車を選んでいた。
エンジン音が胸の奥を震わせ、加速が感情を押し上げる。
それは確かに生きている実感をくれる瞬間だった。
だが、長い時間を経て、その高揚の裏にある“疲れ”にも気づいた。

そして今、私はお金があるからこそAQUAに向かう。
それは節約ではなく、豊かさの質を変えるための選択だ。

AQUA Zの静寂は、単なる静かさではない。
停止の瞬間、街の音が遠のき、思考が澄んでいく。
モーターの滑らかな立ち上がり、軽いステアリングフィール、
そしてドライバーの呼吸とシンクロするような走り。
その穏やかさの中に、“成熟の贅沢”が息づいている。

PRELUDEが“気分の豊かさ”を象徴するなら、
AQUAは“心の豊かさ”を教えてくれる車だ。
どちらも否定しない。
だが今の私は、静かに整えられた日常にこそ、
豊かさの本質が宿ると感じている。

N-ONEからAQUAへの移行は、
単なる車の買い替えではなく、
価値の座標を変える旅だった。
見栄ではなく静けさへ、
スピードではなく安定へ、
感情の爆発ではなく、心の平衡へ。

お金があるということは、
派手に使う自由ではなく、
静かな幸福を選べる自由を持つことだ。
Posted at 2025/10/16 10:24:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「「アクアZを見て、セリカを思い出した夜の話」 http://cvw.jp/b/3743672/48800601/
何シテル?   12/04 16:14
大学の教員('ω')ノです。 車歴(すべて新車); EvoⅠ→Golf GTI→ BMW MINI Cooper→BMW(E46)330i→BMW(E92...
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