
シンデレラ。
貧しい丁稚の娘が、王子様に見初められて結婚する玉の輿ストーリー。
ま、現実にはそんな虫のいい話は存在しない。
貧乏で丁稚のシンデレラが王子と結ばれたのは、決してただの偶然ではなく、
彼女が並々ならぬ発想力と計算高さを持っていたからであろう。
その根拠を以下に述べる。
童話では、魔法使いのおばあさんに魔法をかけてもらい、
シンデレラのボロ着は瞬く間に素敵なドレスへ早変わり。
ネズミとカボチャまで馬車になる始末。
意気揚々とシンデレラはパーティー会場へ向かい、王子とダンス、王子は恋に落ち、
シンデレラを追う。
男を追わせるという恋の必勝法を、弱冠にて嗜んでいるシンデレラには脱帽せざるを得ない。
12時を回ろうとしたその時、シンデレラが履いていたガラスの靴は脱げて、
しかし魔法の解けた自分の姿を見せるわけには行かないシンデレラは、そのまま王子の元から走り去る。
王子の手元には、片方のガラスの靴だけが残った。
12時を・・・過ぎても!!
おかしい。
ガラスの靴が、ドレスや馬車と同様に魔法の産物であるのなら、
12時を回った時点でガラスの靴も、元のボロ靴に戻るはずだろう?
何故戻らないのか?
それは、ガラスの靴がシンデレラの私物であるからだ。
疑問が2点出てくる。
・なぜシンデレラのような丁稚が、そんな洒落た靴を持っているのか?
・なぜ魔法で靴を用立てて貰わなかったのか?
シンデレラは若い娘である。
従って、当然成長期なので短期間で足のサイズは変わっていくだろう。
このことから考察するに、このガラスの靴は舞踏会の直前あたりで作られた、と仮定するのが妥当だ。
シンデレラは、舞踏会の噂を聞きつけたときから、既に王子様をゲットするために計画的に動いていたと考えたほうが良い。
つまりはこうだ。
シンデレラは舞踏会の噂を知り、急いでガラスの靴を作ってもらう。
なけなしの貯金をはたいたのか、靴屋に知り合いがいたのかは解らないが、
シンデレラは自分の足のサイズに合わせて、至極正確にガラスの靴を作ってもらった。
そして姉たちが舞踏会に行った後、自分もガラスの靴を履いて舞踏会に行くつもりだった。
魔女が現れなければ姉達のドレスを拝借して向かったであろう。
そして舞踏会で計画通り、王子の目に留まるように振舞う。
自分を十分に印象付けたら、詮索される前に王子の元を去る。
その時、ガラスの靴を王子の前で落としていくことが必須条件であった。
なにせ、王宮の舞踏会である。
集められるは貴族やゆかりの者たちばかり。
シンデレラのようなものが、本来は参加できる会ではない。
何か「自分がそこにいた」という証を残さなければ、後日、王子に見つけてもらうことは不可能である。
ガラスの靴が無ければ、王子はシンデレラを見つけられない。
パーティーの出席名簿にはおそらく無いような無名な娘が舞踏会に出席していた、
・・・という「事実」を、後で王子に気付かせる為に。
シンデレラは、去り際に王子の前で靴をわざと脱いで置いておく。
なにせ、シンデレラにしか履けないようなジャストフィットの靴である。
そこまでサイズの合う靴ならば、そうそう簡単に脱げるようなものではない。
彼女は、わざと脱いだのだ。
あとで王子に自分を見つけてもらうために。
そして後日、王子はガラスの靴を手掛かりにシンデレラを探すことになる。
国中の女性の中から、ガラスの靴にピッタリな足を持つ者を探している。
ここで、シンデレラの策略の最大のポイントが見えてくる。
「なぜガラス製か?」
そうなのだ。無色透明でなければならない訳があったのだ。
靴というものは、多少サイズが合っていなくても履けてしまうものである。
しかし靴が透明であれば話は別だ。
外から見て、サイズがピッタリと合っているかどうかが一目瞭然であるからだ。
シンデレラはこうなることを当初から見通していた。
なので、わざわざガラスで靴を作らせたのだ。
事実、後日になって魔法の解けたシンデレラは、
ボロ着のまま王子の女探しを見守っている。
丁稚なのだから山ほど仕事はあるはずなのに、それを反故にしてでも王子のそばで事の行く末を見ている。
見る必要があった。
王子の目に留めてもらい、今一度、ガラスの靴を履くチャンスが必要だからである。
しかし王子の発想もおかしい。
靴は一揃いのものなのだから、普通はもう片方のガラスの靴を持つ女性を探す方向へ思考が向くはずだ。
まだは、その靴を作らせた靴屋を探す、など。
もしかしたら、自らの卑しい計画を悟られまいと、
シンデレラの靴を作った靴屋はシンデレラの手によって既に・・・
そうなれば、確かに足のサイズから探すしか手が無くなる。
結果、シンデレラは王子と結ばれる。
しかしこの結果、決して偶然の産物ではない。
上記の理由から、シンデレラの計画的行動であることが証明できるのだから。
しかも王子の宮殿の前に、カボチャとネズミを残すという醜態。
シンデレラには、ほどほど呆れるばかりである。