川端由美のブログ一覧

ジュネーブショーでは、この不況下でクルマが売れなくなっていることに焦点を当てて取材してきました。なかでも、日本同様、自動車製造を基幹産業とするドイツの自動車メーカーに的を絞ってインタビューをとり、現在発売中の『カーグラフィック』に寄稿しています。アメリカ車メーカーや日本車メーカーに関する報道は多いのですが、ドイツ車メーカーについては思いのほか、情報が不足していたからです。

去年、逆風の中でも成長したアウディ、BMWグループの中で頑張りを見せるMINI、ドイツの巨人フォルクスワーゲン・グループ、GMからの経営分離が話題のオペル、そして自動車を発明したメルセデス・ベンツ・・・と、多くの自動車メーカーのトップがそれぞれのビジョンを語ってくださいました。

特に、GMヨーロッパのオペル担当副社長であるアラン・ヴィッサー氏には、状況が流動的で質問にお答えいただくのが難しい中、快くインタビューに応えていただいて感謝しようがありません。今回の不況が表面化した去年の秋以降、日本車メーカーのトップの多くがショーのプレスカンファレンスにも顔を出さないのに対して、彼の堂々とした対応は非常に対照的でした。

そして今回、ジュネーブが前評判に反して、例年の通り華やかさを保っていた理由のひとつは、ドイツ車メーカーをはじめとするヨーロッパ車メーカーが不況後のビジョンを語っていたからではないか、と思うのです。彼らは、日本車の快進撃の影響を受けた1980年代にひどい不況を経験しており、現状、限られた資金や人的資源の中からでも、不況後のブランド・イメージを維持したり、消費者を裏切らないクルマつくりを続けるために投資を続けています。

暗い話題が多いのは、日本車メーカーも、ドイツ車メーカーも同じなのですが、将来への夢を見せてくれるか否かが、異なるところだと思います。不況だからといって、なんでもかんでも縮小させて首をすくめているのではなく、不況後に狙いを定めた戦略を立てることで、10年後の明暗が分かれるのではないでしょうか。

こんな時代だからこそ、日本メーカーにも不況後のビジョンを語って欲しいと思っています。「私が話そう！」という日本車メーカー経営陣の方がいらしたら、ぜひ、お声がけください。いつでもインタビューにうかがいます!!