
冬靴→夏靴に履き替え真っただ中だと思います。
ちょっと遅いか?
でも毎年夏靴に履き替えた途端にメッチャ寒くなって・・・なんて話を良く耳にします。
タイヤの入れ替えを伴いませんので、基本素人が車載工具のみで交換する事が可能です。
で、夏靴→冬靴履き替えシーズンにも良く問題となる
”タイヤが勝手に走って行ってしまいました事件”。
一時は
”M菱ふそう”の
ハブ断裂問題で勝手に走って行く事件が多発しました。
この時はハブの強度不足が問題だった訳ですけど、昔から良くあるのが
”スタッドボルトの断裂”です。
つまりハブとホイールを繋いでいるあの
”ねじ”です。
欧州車などはナット留めでは無く
ボルト留めですので、ボルト自体の強度不足です。
ま、あまりこのボルトが断裂したって話は聞きませんけど、実際あるのかな?
基本的には決められた強度で設計してありますし、元々工業規格品ですので普通に使っていれば折れる事はあまり考えられません。
しかしながら、
やたらめったら馬鹿力で締め付けると、
スタッドボルト自体が伸びてきてそれが原因で折れてしまう事があります。
ま、締め付けが甘く、ナットが取れてしまってタイヤが勝手に走る・・・コレもあるのですけど、普通は
”締め付け過ぎ”となっています。
大体どれくらいのトルクで締め付けるかは、
車の取扱説明書に書いてありますし、色々問題がありますのでここでは具体的な数字については書きません。
で、素人でも玄人でも使わなければいけないのが
”トルクレンチ”です。
色んな種類がありますが、一般的な物は
”プリセット型”と呼ばれる、
予め締め付けトルクをセットしておきその値になると
”カチッ”と音のするものです。
他には目盛りを見ながらって云う物や、角度でトルクを測る物など様々です。
ま、プリセット型が使い易いのかな?なんて思います。
でですね、このプリセット型トルクレンチには
落とし穴があります。
よく車用品店やディーラーでの作業を観ていますと、トルクレンチを使って作業をされている事に関しては非常にいい事と思いますが、その使い方が・・・
例えばホイールの場合・・・
5穴、4穴など穴数に関係なく対角線上に少しずつトルクを増やして行って締め付けて行きます。
これは当然均一に締め付ける為の行程です。
最終的にトルクレンチを使い規定トルクで締め付ける訳ですが、ここが問題であり落とし穴なんです。
何度も何度もカチカチ言わせている・・・
プリセット型の場合、規定トルクになるとカチッと音がします。
ここで規定トルクに達している訳ですが、
何度もカチカチ言わせる事によってどんどん締め付けトルクは増えて行きます。
”カチカチ”と2回言わせて次のナットへ・・・これを繰り返し、最後にもう一度確認の意味も込めてすべてのナットでカチカチ言わせる。
さらにお客さんに立ち会って貰ってもう一度しっかり締めていますよって事を確認して貰う為にカチカチ言わせる・・・
都合コレだけで
ナット一個につき3回余計にトルクを掛けている事になります。
これは非常にマズいトルクレンチの使い方なのです。
大体1回余分にカチッと言わせると、力の掛け方にもよるのですが
2Nm~5Nm程度はオーバートルクとなています。
3回で大体10Nm~15Nmです。
ま、10Nm程度でスタッドが折れたり伸びたりする事は無いと思いますが、明らかにオーバートルクとなっています。
見ていると、ディーラー系のメカニックの方に多いようですね。
専門学校ではこう教えているのかな~なんて思います。
多分これはこれでそれなりの根拠があるのだと思いますが、見ていてどうも違和感がある。
最近は安全上の観点から規定トルクに達したらフリーになってしまうトルクレンチは無いと思うのですが、
機械式のトルクレンチの場合にはカチッと鳴ってから幾らでもトルクを掛ける事が出来ます。
この辺りを良く考えて作業を行わないと、トルクレンチを使っている意味が無くなります。
他に気になる点は、
勢い良くカチカチやっている人。
これはマジで危ないですよ、完全にオーバートルクとなり断裂の危険性が非常に高くなります。
ま、インパクトで締め付けるよりはいいと思いますが。
こう云う誤った使い方は、
トルクレンチ本体の精度云々よりももっと気をつけなければならない事項です。
幾ら高精度できちんと校正されたトルクレンチを使用しても、使う側がこんな使い方をしている様では何の意味もありません。
また消費者側もこんな作業を見せられて”きちんと規定トルクで締め付けましたよ”なんて言われて納得している様では駄目だと思いますよ。
トルク不足も怖いですが、過大なトルクで締め付けられている方がもっと怖いって事を良く知っておいてください。
あと、
トルクレンチでボルトナットを緩めている人が居ますけど・・・
まぁ、好きにして頂いたらいいのですが・・・
あえてコメントはしません、アホらしくて。
写真は今となっては非常に激レアな
スタビレーのデジタルトルクレンチ・700DRです。
デジタル表示が
”Nm”以外に様々な単位で表示出来る事が問題となり、
現在日本国内では販売が自粛されています。
SI単位系移行に伴う計量法に抵触するとの事です。
このデジタルトルクレンチ、規定トルクに達すると電子音とクリック音がします。
自由に設定できるアンダー・オーバートルク警告も出ますので、非常に使い易いです。
でも・・・値段が・・・
ま、計測器だから仕方が無いんですけどね。
Posted at 2011/04/10 16:53:40 |
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