2010年03月23日
タイヤを新調したり、その他モロモロの理由でタイヤをメンテナンスする時に、ショップから”窒素ガスを充填しませんか?”って訊かれる時があります。
通販などでホイールとセットで購入した時はデフォで充填されている時もあります。
大体タイヤサイズにもよりますが、1本500円程度、一台で2000円~3000円程度の費用が発生します。
薦められる理由として・・・
乗り心地が良くなる
空気圧低下が少ない
温度による空気圧の変化が少ない
タイヤに掛かる負担を減らすことが出来る
などなど、様々な理由を掲げて充填を勧めてきますよね。
じゃぁ、これは本当なのか???
よく言われる話です。
今のデフレの時代、2000円や3000円って言えばちょっとした金額ですよね。
まず、そもそも空気ってなんじゃらほい?ってところから話を始めます。
基本的に窒素:酸素:その他モロモロの割合が・・・8:2:割合で示せないほどの割合となっています。
つまり、いまオイラ達人間が吸っている空気は”殆どが窒素”なのです。
その窒素を殆ど吐き出して、少数派の酸素の一部を取り入れて生きている訳なんです。
吐き出す中にも酸素は含まれて居ます、全てが一回の呼吸で体内に入るワケではありません。
不必要なものは吐き出しています。
で、タイヤに空気を充填する場合、基本的に通常の場合だとエアコンプレッサーで圧搾された圧縮空気を入れます。
つまり、元々タイヤの中に入っている成分の80%は”窒素”なんですよね。
ショップで言う所の”窒素ガス充填”は、専門のガス会社より販売されている”窒素ガスボンベ”を使用するか、専用の窒素ガス発生器を利用して造られた窒素ガスを充填するわけです。
しかも、残りの2割の為に・・・
ショップでの作業を見ていますと、タイヤをペッタンコにしてなるべく通常の空気を抜いてから充填していますので、上手に入れれば90%以上は”窒素ガス”になるでしょう、多分。
窒素ガスが充満した小部屋の中でタイヤ交換を行えば、そりゃ100%窒素になるんでしょうけど。
じゃあ、能書きはどういった理由で語られているのか?
それは本当なのか?
本当でもあり、嘘でもあります。
まず、乗り心地が良くなる・・・
理由として、窒素ガスは不活性ガスだから・・・
確かに窒素ガスは不活性ガスです。
でも、それと乗り心地の関係は本当に証明できるのでしょうか?
全く持って証明出来ません。
なぜなら、元々8割が窒素ガスだからです。
残り2割を窒素ガスに置き換えたところで、一般人が感じるほど乗り心地が変化するでしょうか?
車って、タイヤの中のガスが全ての乗り心地の責任を担っているのなら話は別です。
この”乗り心地が良くなった”の根拠は、窒素ガスを入れた→お金を払った→う~ん、変化したな~(って思わざるを得ない)・・・これです。
空気圧の低下が少なく、安定している・・・
よく言われるのが、ゴムに対するガスの透過性です。
純粋な窒素ガスと酸素を比べた場合、6倍程度窒素ガスの方が透過率が低いのは事実です。
これを持ち出して窒素ガスの優位性を話される訳ですが、ここでも”空気の8割は既に窒素ガス”なんですよ。
酸素の割合は2割程度。
しかも・・・タイヤのエア充填で”酸素ガス”を入れるなんて聞いた事ないぞ!
あんな所に酸素なんか充填してみろ、危なくって車運転できないよ。
そりゃね、純粋な窒素ガスを充填したタイヤと、純粋な酸素ガスを充填したタイヤを同じ条件で比べたら先に書いた”ゴムの透過性”の話でいいと思います。
それだけじゃないんですけどね。
あと、空気圧の自然低下が窒素ガスとその他のガスの透過性の問題なら、仮に250kPaの空気を張ったタイヤを考えてみましょう。
空気の8割が窒素、のこり2割が酸素を含めたその他大勢・・・
窒素以外の2割が”悪さ”をしているのなら、250kPa*0.8=200kPa程度になれば、極端に空気圧の低下は無くなる筈です、超簡単に考えれば。
こんな単純なものではないのですけど。
にもかかわらず、”空気圧=0=大気圧”になるまで、ほぼ一直線に低下は起こっています。
説明されている事が本当なら、二次曲線である一定の所からは殆ど変化が無くなる筈です。
つまり、透過性云々より、タイヤの空気圧の低下はその他の部分で起こっていると考えるのが妥当でしょう。
もちろん、ライナー層からのエア透過もありますけど。
タイヤに掛かる負担を減らすことが出来る・・・
これは多分、空気圧の低下が少ないが故に言われていることなんでしょうけど、窒素ガスを入れたからってタイヤへの負担が減るのなら、エコの観点からして既に大々的に行われて居るはずです。
まぁ、ショップで勧められる理由の全てがちゃんちゃらおかしい訳で・・・
唯一、ガスボンベの窒素ガスが通常の空気と比べて優れている所があります。
それは、ガス自体が”ドライ”であることです。
つまり水分を含んでいない訳です、ガス会社から買うボンベには。
この水分が存在しない事が、先に書いた”窒素ガスの優位性”の全てです。
水分の有る無しで考えれば、優位性の理由全てが説明できます。
特にガソリンスタンドで入れる圧縮空気・・・コンプレッサーから出ている空気ですが、物凄く水分やオイルミストを含んでいます。
コンプレッサーで空気を圧縮すると、この地球上で行う限り”必ず水分が発生”します。
当然シリンダーを上下させる訳ですので、車のエンジンと同じくシリンダーとピストンの間に潤滑油が存在します。
中にはオイルフリーなんてコンプレッサーもありますけど、プロ用は目ん玉飛び出るくらい高価ですし、あまり大きな物はありません。
主に素人向けの安モンコンプレッサーや歯医者さんや食品加工で使用するコンプレッサーだけです。
多かれ少なかれ、このオイルミストと水分は必ず圧縮空気に混じっています。
これを抜くためにミストセパレーターやエアドライヤーなどがあるのですが、一般のガソリンスタンドなどでエアドライヤーを入れている所なんてまず無いでしょう。
ミストセパレーターは、コンプレッサーを稼動させるには必ずと言っていい位必要な物ですので装着されていると思いますけど。
まぁ、何処とは言いませんけど、かなりアコギな商売をされているショップを何軒も知っています。
大体さ、窒素ガス充填しませんか?って勧めて、実際本当に純粋な窒素ガスを入れたかどうかなんて、エンジンオイルやガソリン以上に判断できませんよね。
もう、ショップを信じるしかないのですけど、そのショップ自体が”アコギな商売”をやっている所だったら・・・
ちなみに、レース等で使われるタイヤに窒素ガスが充填されているのは、先にも書いたように”ドライエア”と言う理由だからです。
Posted at 2010/03/23 21:57:52 |
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