
Shi-Baを購入するためには鶴ヶ島市まで足を延ばさねばならないのかもしれないと覚悟を決めつつあるグル万です。
さて、先週末のトライアル世界選手権@もてぎの私的総括をば。
トライアル世界選手権には、上から「ワールド」「ジュニア」「ユース」の3つのクラスがあり、それぞれで減点数によって順位が決まります。
トライアルは「セクション」と呼ばれる岩やら丸太やら崖やら池やらを組み合わせた「障害」をいかに足をつかずに超えてゆくかが勝負です。
ちなみに、欧州で開催されるインドアトライアルでは、ドラム缶やら土管やら巨大タイヤやら巨大U字溝やらが組み合わされます。
ライダーはもちろん一度も足をつかずにクリアする(これを「クリーン」と呼びます)ことを目指しますが、足付き1回で1点、2回で2点、3回以降は3点の減点になります。
また、落車や後退、コースロープを車体がまたぐ、マーカーの外の通過等のときには5点減点となります。
今回はユース、ジュニアはスペイン人・イギリス人・フランス人が表彰台を分け合いましたが、圧巻はワールドクラス。
なんと、1日目・2日目ともにスペイン選手が表彰台を独占することになりました!!
最強マシンMontesa HondaのRTL280を得て4年連続チャンピオンを狙う絶対王者のToni Bou。
金色のGAS GASに乗りながら高い実力を誇るAdam Raga。
ここ数年で安定して実力を発揮するようになったJeroni Fajardo。
表彰式では、彼らの背後の3本のフラッグポールの全てに掲げられたスペイン国旗がが誇らしげにはためいていましたとも。
ところで。
2004年度の世界チャンピオンは我らがFujigasこと藤波貴久選手でして、ここ数年もBouに伍してシリーズを戦うほどの実力の持ち主です。
また、Fujigasは日本GPをとても大切にしており、もてぎでの優勝を常に切望していることでも知られています。
で、コトは土曜日の第15セクションで起こりました。
セクション前半を1点の減点でクリアしてきたFujigasは、セクション最後の難関の滝登りも気合でクリア、会場は拍手と歓声に包まれます。
ところが、オブザーバーの立てた指は2本。
つまり、セクション後半でもう一度足を付いていたという判定でした。
これにFujigasは猛抗議。
セクションのゴール地点から動かないままオブザーバーに食ってかかります。
さらに、その場を撮影していたメディアを発見するとビデオ判定までも要求。
観客からは「足、着いてないぞー!!」「1点1点!!!」のヤジが飛びます。
結局、5分にわたる猛抗議の甲斐あって、減点は1に修正され、Fujigasは腹立たしさをぶつけるようにウィリーで次のセクションに向かいました。
私は、この時点でFujigasは失格で良いのではないかと思うのです。
日本人が日本グランプリにきて日本語で抗議して受け入れられてしまうオカシサ。
ビデオ判定なんてルールはないはずなのに、強引に判定させる図々しさ。
トップとはかなり点差が離れているにもかかわらず、競技の進行を止めてまで抗議を続ける理不尽さ。
確かに、気持ちはよくわかります。
「ここでの1点が最終的に勝負を左右する1点になるかもしれない」と思ったのでしょう。
自分のライディングに絶対の自信があるからの猛抗議だったのでしょう。
1番走者のストレスもあったのかもしれません。
でも、それでもこの抗議はナシだと思うのです。
じゃ、最終的には全セクションをビデオで撮り続けて、究極は、ブーツなどに電極仕込んでおいて足付いたらブザーが鳴るようにしておけば良くなってしまいます。
現に、フェンシングなんてそうしてますでしょう?
そこを、トライアルは人間が判定するから面白いのです!
足着いてるのに誤魔化し方がうまい人、着いてないのに減点されてしまう人。
それだってテクニックですし、それだってスポーツです。
だいたい、それで減点が1減って何が嬉しんでしょう?
それでさすがFujigasって思う人はいるのでしょうか?
そもそも、日本語しか分からないオブザーバーとスペイン語しか話せないライダーとがいて、なぜ競技が成り立つと思っているのでしょう?
オブザーバーは絶対で、選手は絶対的にオブザーバーに敬意を払っているからこそ成り立っているのだと思います。
それが競技をする人のマナーです。
観客も観客です。
ヤジられるオブザーバーの方の気持ちを考えたことがあるのでしょうか。
ワザと間違えてるとでも思っているのでしょうかね?
こういうシーンはスポーツではあまり見たくないものです。
これと対照的だったのがメジャーリーグの「誤判定」問題です。
タイガース完全試合達成の最終アウトをセーフとしたジョイス審判員は、ビデオで誤審を知るとすぐガララーガ投手のもとに行き「すまない。大記録を奪ってしまった」と謝罪しました。
対してガララーガも、「誤審は試合の一部。人間は完全ではない」と謝罪を受け入れました。
更に、翌日の試合でタイガースのリーランド監督は、球審に回ったジョイス審判員のもとに先発メンバー表を持っていく役をガララーガに任せます。
審判団との握手、涙をぬぐいメンバー表を確認するジョイス審判員、その肩をぽんとたたくガララーガ。
そして、スタンドのブーイングは拍手に変わったそうです。
リーランド監督のコメントが泣かせますね。
「タイガース・ファンは品位を見せてくれた。誇りに思う」、と。
スポーツのなんたるかを忘れた人間に参加する資格はないと思います。
「プロ意識の表れだから仕方ない」とおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、個人的には「プロだからこそスポーツマンシップにのっとるべき」なのだと思います。
更に言えば、プロには、「そのスポーツの地位を高めて後進を育て、スポーツを通して皆を幸せにする」という使命と責任があるはずです。
例えば、コーナーに2台並んで入って接触して以来口も利かない、なんてのはダサすぎると思うのです。
行動レベルでいえば小学校低学年程度ですよ。
逆に、個人的に本物のプロライダーだと思わせてくれるのはYAMAHAの黒山健一選手の方ですかね。
とにかく観客を楽しませることについては天下一品!
実際に観戦していただければその凄さを感じていただけると思いますよぅ!
ということで、いろいろと考えさせられるトライアル観戦となりました。
あ、ちなみに、Bouはこの15セクション、余裕のスーパークリーンでクリアしていきました♪
「クリーンってこうじゃなくっちゃね♪」と言いたげなガッツポーズがカッコよかった~。
では、最後にインドアトライアルの動画をどうぞ!!