
さて、行ってきました、トライアル世界選手権inもてぎ。
まずは、天気が予想外に良かったので助かりました~!
天気予報では土曜日=雨、日曜日=雨のち晴だったにもかかわらず、結局土曜日の午前中にパラッときただけで、日曜日は朝からピーカンでした。
雨の中のトライアルも面白いのですが、やはり晴れてくれたほうが何かとラクです!
ということで、トライアルのレポートです~。
とはいっても、実は全然何がどうなったのか分からないのです!
それが私の怠慢なのか、ビールを飲んだくれて記憶がないからなのか、競技の性質によるものなのかをはっきりさせるために、まずはトライアルという競技の解説をば。
(とはいえ、シロートですので間違えていたらご指摘くださいませ!)
トライアルは、「セクション」とよばれる天然・人工の難所をいかに超絶美技で乗り越えていくかを競う競技です。
ゆえに、速さは関係なし。
一応、スタートからフィニッシュまでのタイム規定とセクショントライに使える時間指定はありますが。
でないと、セクションが風化して難易度が低くなるのを待つ作戦も出てくるかもしれませんからね♪
で、このセクションを越えていくわけですが、途中の足つき1回=1点(最大3点)、落車・バック・コースアウト・不通過=5点と加点されていきます。
要するに、一度も足をつかずにセクションをクリアすると「0点=クリーン」ということになりまして、各ライダーは「オールクリーン」を目指すわけです。
そうはいっても、そこは悪魔のようなコースマネージャーが設計したコース。
普通の人では歩いても越えられないような極悪セクションが待ち構えているわけです。
このセクション数、もてぎは「15」なのですが、これを2周しての総点数の少ないライダーがウィナーになります。
ちなみに、初日の優勝したボウは6点。
30もの極悪セクションを通過するのに6回しか足をつかなかったことになります。
鬼のようなテクニックです~!!
その逆で、もし私がチャレンジしたら全セクションリタイヤになるので5点×15セクション×2周=150点頂戴することになるわけです…
ただ、このセクションが高低差もある数百メートルの範囲にわたってちりばめられているのです。
なので、とても全セクションをフルで観戦するのはムリ。
一人のライダーを追いかけてセクション間を高速移動するか、1~2箇所のセクションに集中して、全ライダーの通過を見守るかのどちらかになります。
もちろん私は後者。
つまり、他のセクションで誰がどうだったのかさっぱりわからないわけです。
ということで、総合レポートはムリ…
決して飲みすぎていたわけではありませんよ~。
ただ順位だけお伝えしておくと、初日も二日目も優勝はスペインのトニ・ボウ、2位に藤波貴久、3位がアダム・ラガというものでした。
1日目はボウのぶっちぎりだったのですが、興奮したのは2日目。
1周目から珍しくボウが5点をくらったりして、序盤はワイルドカード出場の黒山健一が2位につけたりする意外な展開。
(いや、黒山さんの勇気と集中力には感服します~!)
その後は藤波がトップに立つと終盤までトップを堅持、しかし、背後にはひたひたとボウの足音が近づいてきます。
そして、ついに同点で迎えた最終15セクション!
同点とはいえクリーン数ではボウ22、藤波21と1セクション差で負けています。
つまり最終セクションでの藤波のクリーンは最低条件にも等しくなっています。
おまけにこの最終セクションがなかなか厄介。
最後の人口の滝を駆け上がり、その上の1mぐらいの巨大な岩の上を通過するのがワールドクラスのコース。
つまり、長さわずか2m程度の斜度60度ぐらいの滑る路面で加速して一気に更に1mはジャンプしないとクリアできないわけです。
藤波の前までにクリーンはわずか1人。
いつもよりも念入りにインスペクション(下見)を行う藤波とボウ。
最終前アタッカー、藤波。
最終アタッカー、ボウ。
役者は揃いました。
湧き上がる藤波コール!
そして、ついに藤波がセクションイン!!
中盤までを無難にこなして、ついに最終滝登り。
私は、場内が大歓声だったのか静まり返っていたのかまったく覚えていません。
そして、藤波がクラッチミート!!!
流れる水の中、しっかりとリアタイヤはグリップしているように見えます!!
そして、滝の頂上から岩へ向けてバイクが射出され、後輪一輪で頂上に着地!!!!
割れんばかりの大声援!!
吼える藤波!!
そして渾身のガッツポーズ!!!
完成と拍手が地鳴りのように織り交ぜになって、視界が歪むほどの興奮が襲ってきます。
本当にこの15セクションの藤波のアタックは鬼気迫るものがありました!!
これだけの周囲の期待と自分のモチベーションをプレッシャーにせずに結果に結びつけるところに、彼の精神力の強さを感じましたね~。
ひとしきり第興奮に包まれた会場ですが、しばらくすると潮が引くように静かになっていきます。
そうです。
ボウがセクションインの準備完了です。
そして、さざなみのようなざわめきが残る中、最終アタッカーのボウが静かにセクションイン。
滝登り前までをもちろんクリーンでこなし、最後の滝登りへのアタックです。
糸が張り詰めたような緊張感の中、ボウのアクセルを開ける音が響きます。
そして、あっさりクラッチミート。
まるでそれが自然であるかのように滝の斜面を登り始めたボウのマシンは、そのまま柔らかく岩へと着地!
もちろんクリーン!!
あっけないまでのセクションクリアに、観客からはどよめきが起こります。
1回でも足をついたら即優勝が消えてしまう状況で、彼の集中したアタックは感動ものでした!!
これがまさにワールドチャンピオンの精神力!
そして、この瞬間に藤波の同点2位が決定してしまいました。
会場は感嘆と残念さの入り混じった止まぬ拍手と歓声に包まれています。
健闘をたたえあうボウと藤波。
そして、彼らを取り囲むモンテッサホンダワークスのチームメンバー達。
まさか、最後の最後にこんなドラマが待っているとは思いませんでした。
とにかく、世界最高の技と世界最高の精神力を堪能することが出来た二日間でした~!!
2日目の表彰式で藤波が声を詰まらせていたのが印象的だったな~。
もらい泣きしそうになったもんな。
母国日本で勝ちたかったという気持ちが痛いほど伝わってきました。
そんな想いをこめて日本にきてくれるんだから、そりゃーファンも大興奮でしょう。
いや、本当に濃い二日間でした。
来年もまた来てくれれば必ず観にいきます!!
逆に、小さいながらもイベントを企画するようになったので気がついた点もいくつか。
それはまた別の機会に書かせていただきます~。