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先月、スズキはフランスのパリモーターショウにＳ-Ｃｒｏｓｓと名付けたＣセグメントのＳＵＶコンセプトモデルを発表しましたが、あれは次期ＳＸ４なのでしょうか。　
さて、過去にスズキは様々なコンセプトカーをショウに出品していますが、雑誌でも取り上げられることもなくほとんどの方が存在すら知らない大昔のスズキ試作モデルを紹介してみたいと思います。



スズライトＳＦ試作車
昭和29年8月、ドイツのロイトLP400をお手本にしたスズライトＳＦ試作車を完成させ、後昭和30年10月、スズキ初の4輪車であるスズライトを発売しています。　


スズライトスポーツ３６０
昭和36年の第8回モーターショウ参考出品車



移動手段として必要最小限の条件を満たし且つ軽量で高速走行を可能とすることをコンセプトとした２シーターの車両を試作。　空気抵抗を減らすため、当時のスズライトではエンジンをフロントに配置していたのに対し、スズライトスポーツではリヤに搭載したことでフロントフードを低く抑えています。

大人４人乗車の必要性を重視し、後にボディデザインを４人乗りに変更。　モーターショウに出品されていたのはこの4人乗り仕様。　
後席乗員のヘッドクリアランスを確保するため、リヤウインドウの処理にクリフカットを採用していることが外観上の特徴です。　ちなみにクリフカットデザインを量産で採用したマツダキャロルは、このスズライトスポーツが出品された第８回モーターショウにてまずマツダ７００として参考出品され、翌年排気量を３６０ｃｃに変更しキャロルと名付けられデビューしています。



エンジンはボアｘストローク 64mm ｘ 58mmの２気筒２サイクル３６０ｃｃ。　最高速度１００km/h
スズキはこの車両を量産前提としていましたが、同時期に初代キャリィFBの開発量産化の早期玉成に集中したためスズライトスポーツの生産を断念したようです。



スズライトHAX７００
昭和37年の第9回モーターショウ参考出品車


この年、スズキは４サイクル７００ｃｃ、ＦＦの小型セダンＨＡＸを参考出品しています。
それまで２サイクル３６０ｃｃの軽自動車を細々と作っていたスズキがなぜ突然小型車をこのショウに出品したのか、それは、貿易自由化による外資参入を見据えて当時の通産省が提唱した新産業秩序なるものに関係します。　
国は自動車企業を合併させるなどして再編し、貿易自由化によって参入する外国資本に太刀打ちできるようにしようと考えていたようです。　この法案が国会で可決され、もし国に技術力なしと判断されればそのメーカーは後に自動車を作り続けることが難しくなってしまう。　そんな風に考えられては大変と、当時ラインナップに軽自動車しかなかったメーカーは急きょ小型車をショウに出品したと考えられます。　そうした背景を考えると、２サイクルを得意としていたスズキがなぜ敢えて４サイクルエンジンをこの車両に搭載し、しかもいきなり４ドア車を参考出品したのかなんとなく理由がわかってきます。



急遽試作されたにしてはよくまとまった乗用車然とした外観をしているね。　このＨＡＸはショウカーのみとして終わっていますが、翌昭和３８年と３９年の第１０回、第１１回モーターショウでは前年のＨＡＸと全く異なるボディ形状、エンジン形式のフロンテ８００を参考出品し、昭和４０年に量産に至っています。