(前回よりのつづき)
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こういうときに人はどんな感情になるのだろうか?
普通なら
、「バンパーが割れた!しかもオイル漏れだ、もうダメだ、リタイヤか~↓↓」と、テンションが下がるのだろうが、そんなことで落ち込むわけがない。耐久レースならレース中でもチェッカーまでに何とかする。できることはやるのだ。
予選、決勝ヒート1、ヒート2までの時間を考えれば、まだまだ時間がある。まだレースが終わったわけではないのだ。やってみて、できなければ仕方ない。しかし、できるかもしれないのにあきらめるなんていう選択肢は自分らにはなかった。
既に、ピットの誰もが言わなくても動いている。自分のできうることをそれぞれがやる。
カッコイイ?
いやいや、なんてことはない
「悪あがき」だ。
この悪あがきは
「ミッション積み換えミッション」である。
早速、ミッションを外して準備する。1時間すぎたころであろうか、今日は農作業のはずの○ぐちさんがミッションを持って到着。予選を控えたJUNと、マナブさんや新婚ほやほやのこんたくと君がウマを架けたカプリコ号にわらわらとすがった。見かねた岡○(岡Pジャナイヨ)さんが作業の指示をしながら役割分担ができていった。岡○(岡Pデハナイ)さんは整備にも走りにも造詣が深い人だ。今回の「ミッション積み換えミッション」は彼の功績が大である。作業が迅速で、普通ならもっと手間取るミッションの上側のナットを経験値が豊富なのでサクッと脱着してもらった。予選に間に合うんじゃないか?という勢いで交換作業が進んだ。カプリ子がオイルポンプを用意してくれ、クラッチあわせなどしてミッション積み換えが完了した。同時進行で進んだ「バンパー修復ミッション」は、かけらや割れを監督とTもっちゃんがステー作っって直したり、ガムテとドリルでタイラップ留め。さらにアンダーカバーにバスバス穴開けて170km/h超の風に耐えられる状態に修復。クラッシュする前より強度が上がっているというオチまでついた。岡○さん始め、みんなのそれぞれの行動が、カプリコ号復活に導かれたと思います。本当にありがとうございました。
SS決勝&SB決勝ヒート1は、予選欠場のため
最後尾である。スターティンググリッドは41番である。しかし、グリッドがない(笑)。オフィシャルが30番くらいの車から並べていってるが、40番まで指示してコンクリートウォールの向こうに走っていく。カプリコ号は見捨てられた・・・・(笑)
0-400のコースで待っていたが、指示はなかったのでソロソロっと40番の後ろに近づく。遙か400m向こうの電光掲示板に
「30秒前」と出る。
(ありゃま、もうそんな時間ね?)
「5秒前」と出ても静かなもんです。いつもなら、爆音をとどろかす連中らに囲まれているのにね。SSはラジアルで自走ということもあり、静かなのは当たり前。スタートは、FRの有利さを活かして鬼ダッシュ!コントロールラインまでに10台抜いて、1コーナー侵入・・・。渋滞だ。みなさんモラルがいい。ちゃんとテールスライドしても影響のない範囲で走っている。そこへカプリコ号・・・・。無茶はしない。大会の主旨は尊重する。で、裏直で7,8台・・・。しかし周回を重ねると、パスする台数も限られてくる。10周でどれだけ近づけるかな?作戦は・・・・、とにかく前を走るクルマは抜く。それしかない。
結局、
SS決勝&SB決勝ヒート1は総合8位、クラス7位であった。
続く
決勝ヒート2(上位10台リバースグリッド)は15周。まだ時間がある。ガソリンは後で入れることにして食べて、起きたときに入れるよう携行缶を抱えて寝る。
監督に「時間やで」と起こされ、飛び起きてタイヤの選択とエア圧の確認をし、ピットを出る。今度は3番グリッドだ。コントロールラインにつき、
「1分前」のサインでみんなが退出してから気づいた。
(ガソリン、入れてない・・・・)ヒューぅぅ
スタートは決まった方である。前の2台はFFでパスする自信はあった。それより背後の
あのアルトだ。ミラーにぐんぐん迫るあのアルト。
AWDの白熊君だ!ミラーで見ててもど真ん中をぐんぐん近づいてくる。他車が重なって見える中で、ど真ん中を白熊だけが大きくなってくる。まるで3Dを見ているようだった。
注:白熊=TimelyアルトIDI
感心している場合ではない。
1コーナー進入でプリプリッ来た。こんなところで終わったらいけない。しかし白熊が・・・。
裏直真ん中でアウトから
あっさり抜かれてしまう。こうしてその後、テイクオフメカニカルコペン、も。ファク☆青コペ☆金プロ、D-5arumaniワークスに相次いで抜かれ1周目は5位で通過。
以降、1人旅である。5周目くらいまでは後方も気になり全開で走っていたが、どう考えても15周は燃料が持たない。7周目からエコランに入る。前よりもうしろとのタイム差が知りたい。ピットからのサインボードは周回数のみの表示。
ピット前を通過するたびに、
(後ろ後ろ、後ろとのタイム差を教えてくれ)と合図を送ったが、
笑顔で手を振り返されるだけであった・・・(笑)。
こうなりゃ目視しかない。後方にはJUNカプやGarage・れぽアルトが続いているはず。約2秒のアドバンテージでファイナルラップまで持つようエコラン作戦である。
15周目まで、絡むことなく1人旅であった。なんとかチェッカー。
コースから出たところで、監督がJUNカプはどこに止まってる?と聞く?12周目だったろうか、立体交差下の暗くなったところに止まっていた。
(一体どうしたらあんなとこまで飛ぶんだろう?)
少し遅れてJUNカプが帰ってくると、それはもうたくさんの土と埃ををかぶっている。とんでもない勢いでコースアウトしたのは明白だ。たぶんとっておきの左コーナーで勝負したんだろう。
聞くと、「テイクオフメカニカルコペンが来たので
いいとこ見せようとがんばった!」と言う。周回遅れがトップにイイトコ見せようって・・・・、やっぱこいつも
アカンヤツRacingに入れるわ(笑)
リザルトは、
「軽カー最速日本一決定戦」決勝ヒート1:7位、決勝ヒート2:5位、
総合で5位であった。
今回のトラブルは彼のちょっぴりとは言えない「いたずら」かもしれないが、
(ほんとはいたずらでも何でもないんだけどそういうことにしとこ笑)みんなが協力して乗り切ったことを彼も喜んでるんじゃないかと思う。カプリコ号を見守ってくれたから、ちゃんと最後まで走りきることができたのだと思う。
クールダウンの最中、見えるはずのないカプリコに(ありがとな、みんなの力で走りきったよ)と。
エボⅤさんがいないので、泣かせる言葉は出なかったが、カプリコ号を降り、見上げた空は明るくなっていた。
パレードランはカプリ子のドライブである。何も聞くまい。いや聞けまい。
こうして、一日が終了した。
あれから1年が経った・・・・。
(本当は9月だが、俺たちの中では今日が一年)
群れない一匹狼が、一緒にやりたいと言う。
俺だって同じさ。JUNだって同じさ。
カプチーノで、耐久を1-2-3フィニッシュで決めるはずだった・・・・。
今後、カプリコ号が走るのかどうかはわからない。
しかし、彼が生きてきたこと、やってきたこと、話した言葉、あの小憎らしい表情・・・・。
多くの人の心に刻み込まれている。彼を目標にしてきた者がいる。彼に世話になった者がいる。一緒に行動を共にし、バカを言い、走りに行き、整備をし・・・・。カプリコを知る人たちが、今なお語り、存在が大きかったことを感じる。
俺たちの中で、カプリコとカプリコ号はいつまでも走り続けている。