THUNDER Racingのブログ一覧

半年ぶりに会う人がいた。
既に初老の域を通り越している。
笑顔の素敵な人だ。
「お元気でしたか？」
「お久しぶりですね」

普通は、年下の者が、このように声をかけるに違いない。
しかし、このような言葉を先にかけるのは私より３６才も年上の彼なのだ。

この人を含め、私の尊敬する人はみな年下の者にも丁寧だ。
年下であっても、１人の人間として認めてくれている。
格は全然違うのだが、そんなことは微塵も出さない。

私が理事会席上で不合理な報告があったときも、表情一つ変えずじっと目をつぶり聞いている。
反対意見が出ても、感情的な発言には目をつぶって聞いておられる。
（理事会では）若い私ですら、（この人はただ発案者が気に入らないだけなんだな）と思う時に、そっと見てみると、やはり表情一つ変えずじっと目をつぶり聞いている。
よい方向への発言があるときは片目を開け、もっともな発言にはしっかり目を開けて聞かれている。

いろいろな意見が噴出したとき、ざわざわと騒然としたとき、ぴしっと周りを鎮め、意見をまとめるのはもちろん彼である。
その言葉の中に、「私」を捨て、全体の利益を考えよ、というようなことが出てくる。

会が終わって、いつも話しをする。
私とは、堅い話もないので、気さくな話しをしてくれる。
一緒に２度ほど海外出張したときの話しや、仕事（会社経営や仕事）の話しや、その他多岐に渡って話題が豊富だ。
気に入ってもらってると思う。
私には、みんなに言えないことを言ってくれる。
たまに愚痴も聞くが、反論するときもある。
さすがに、私が反論するくらいだから、それ以上は言わない。
たまに、こうして私に隙を見せる。
子どもより年齢が若いから、気が楽なのであろう。
それと、試されているのかもしれない。
会話しながら、人生訓みたいなことがよく出てくるが、決して押しつけはない。
体験を語っておられる。
時代の空気も知っておられる。
冗談をよく言う。
人を大切にしてきた。

去年、天皇から勲章をもらわれたのを、やっとお祝いの会を開き、皆で祝った。
心から、「まことにおめでとうございます。」
くったくのない笑顔が素敵だった。