2011年03月03日
クラッチを勢いよく繋いでピットロードに飛び出した1stドライバー。
あまり多くを語らなかったけれど、走り出すまでは緊張していたのだろうか?
初めてコースを走るとは思えない落ち着いた感じであった。もう1人、今日サーキットデビューの御仁がいたわけだが、こちらは走行の3時間以上前から緊張しているのが手に取るようにわかる。
このサーキット初デビューの2台のカプとともに、もう1台、銀色のチューンドカプがピットロードを後にする。また、仲間の白いインプも同じ走行枠だ。
R35やFD,EF,S13,14、CP9、AE86、NBなど、様々な車種が入り乱れての30分の走行。
とくに、レースクラスの予選を兼ねているから、タイムアタック車輌もいるので、サーキットデビューの2人はどう思うだろうか?
実は、私も2000年にこのような走行会を走って、Kスペにエントリーしたことがある。こういう普通車も混じっての走行会を経験することは悪くない。後ろから来る車を確認しながら走る癖も必要だ。自分と、自分の車は遅いのだ。でも、意外とついていける区間もある。ヘタすりゃ、普通車と抜きつ抜かれつのデッドヒート(?)になることもある。混戦で「間合い」を感じ、抜かれ方を覚え、ハザードを焚くタイムアタック待ちの車輌を安全にパスすることも覚える。
ピットロードから見えるのは最終コーナー侵入から立ち上がってホームストレートと、1コーナー侵入のブレーキング&進入だ。
ホームストレートでは、R35の圧倒的な加速に目を奪われがちだが、大きな車にマジって、ちっこい3台もなかなか健闘している。最終コーナーの進入を見ていると、物怖じすることなくアウトから、あるいはミドルからブレーキングで他車に接近し、テール・トゥー・ノーズで立ち上がってくる。
セントラルはゼロヨンも開催しているとおり、700mのホームストレートを持つ。だから、660ccのノーマルでは、あっという間に前車に詰めよった距離も、大きく開いてしまう。しかし、ホームストレートを通過している速度を見ていると、結構な速さで通過している。他車が150m看板過ぎでブレーキングを開始しているが、3台のカプは軽量な車(他車と比べて)なので、まだ加速している。おおよそ100m看板で減速しているのだろうか?3台のカプは、なかなかブレーキングをがんばっている。
30分の走行の中で、青カプが帰ってきた。
見るからに熱そうである。いつピットに戻ってきても構わないのだが、ピットインの練習もしていた方がよい。休憩するよりも、少しでも慣れる方がよい。すぐに再スタートである。
青カプ以外の2台のカプは、いっこうに帰ってくる気配がない。
ホームストレートを見ると、他車に混じってだんご状態で、しかもスリップについているではないか。見た目的にも速度が乗ってきている。
○モさんが、「アレ、帰ってこないかもね」と、振り返って自分に言う。
既に、自分もそう予感していた。
ノッてくると、ピットに入るタイミングを失い、「次の周、次の周」と言い聞かせながら、タイミングを失ってしまい、何周も何周も周回してしまう。正にそういう感じだろう。
ピットで通り過ぎ行く他車を見ながら、真っ直ぐ前を見たまま通り過ぎる1stドライバー。
(耐久に出るなら必ずピットを見る癖をつけなきゃならないが、今日はそこまでの指示はできないだろう)
最終を立ち上がってくるカプの姿勢が先ほどまでと違うのに気づいた。
「ピットに帰ってくるぞ」
自分はヘルメットとグローブを取り、瞬時に装着する。
帰ってきたドライバーと交代しながら、
「何かあるか?」
「コースの状況は?」
と聞くが、それどころではない。お疲れなのだ。
(耐久に出るなら、このわずかな時間に情報を伝えなければならない。コースの状態、車のコンデションなど、問題ないのか、あればどういう具合なのか。そして、ヘルメットをかぶっているので大声で伝達しなければならない)
まぁ、それも百も承知だ。
走ればコンでションはわかる。わからないようではダメだ。
コースに出て、速度はのっていないが、タイヤもブレーキも熱が入っている状態だからいきなり85%で1コーナーを進入する。弱アンダー傾向なのと、フラットに立ち上がるエンジン特性は乗りやすい。立ち上がって裏ストレートエンドのブレーキングは様子見で100m看板でブレーキング開始。強烈な減速Gとともに30mも余ってしまった。速度落ちすぎっ(汗)。
インフィールドに進入しても、まだ特性がつかめてないので探りながら走るも、なかなかいい感じじゃん♪
中速コーナーは多分良いだろう、という予感は的中だ。アクセルのオンオフのみで姿勢を変えることができる。そしてヘアピン。やはり2度目のフルブレーキングで余らせてしまう。低速コーナーは若干こじる感じで苦労する。これは、車速とコーナー侵入の姿勢がバラバラでギクシャクしていたからであり、致し方ない。(自分がヘタ)
さて、左コーナーを下り、立体交差下である。ここをどう攻略するかで、他車とは3車身以上の差を付けることができる。もちろん速度が乗るので、ここもセーブ気味だ。しかし、思ったよりノーズがイン側を向き、リヤも破綻する気配もなく、安定して脱出できる。1周目でこの感触は、全開走行でも十分踏めるはずだ。信頼できる車かどうかはここで決まった。雨の日でも、攻めていけるだろう。
最終コーナーはもっともRがきつい。ここは闇雲に突っ込むのではなく、きちんとブレーキングして早めにブーストをかけることで、直線の伸びが変わってくる。まだ、慣れないのか、ブレーキングで若干速度を落としすぎた。こうして1周目は色々なインフォメーションを感じながら85%から95%、そしてフルにあげていく。2周目を終え、タイムアタックをしようとしたところでチェッカーフラッグ(走行終了)。
たった3周しか走っていないのだが、集中していたのか息せき切っている。じわりと出る汗。
すぐにピットで今の走行状況での違和感のある点を整理する。
《シートポジション》
シートは、ペアドライバーが小柄なので、シートスライド機構を使って前に動かすが、交代した後シートを後部にスライドさせるのだが、もう1ノッチ後ろに行って欲しいが、行かないのである。で、ロックさせたつもりで走り出し、ブレーキングしたら「ガコン」と前に動いてしまった。やや窮屈なポジションもさることながら、シートレールの剛性が不足している(シングルロック?)。
《4点式シートベルト》
シートベルトは4点式なのだが、自分が思うには、5点式がベストである。特に長丁場を走る耐久に限らず、シートベルトのバックル位置が、どんどんおなかから胸の辺りまで上がってきて、ホールドしない。もちろん5点式をセットするに当たってはフロアに穴開け加工が必要なので、なかなか導入するケースが少ないだろうが、あるのと無いのとでは全然違います。シートにしっかり固定され、ボディと一体になるということは、ボディからのインフォメーションも身体で感じることができるし、ステアリングワークに集中できる。また、ベルトの素材も硬いアラミド繊維よりは柔らかいものの方が身体に負担も少なく減速及び加速Gやコーナーリングフォースにも耐えることができる。TAKATAのものが装着率高いのは、そのような観点からである。
《ブレーキシステム》
純正のブレーキキャリパーに、社外スリット入りベンチレーテッドディスクが装着されているが、これで十分である。ただ、パッドの選択は、もう2段くらい効かないものがよいと思う。
(もちろん好みの問題なので、一概にいいとも悪いとも言えないのが奥深いところだが)
《エンジン特性》
フラットなトルクを出しているが、特筆すべきは補記類である。3型タービンで、この超絶レスポンス!一瞬でフルブーストまでストレスなく立ち上がる。このタービンはいい。コーナー途中でもアクセルオンで姿勢変化にも使える。このエンジンと、タービンは財産である。
《サスペンションセッティング》
何も触らず、前回の走行のまま走らせたわけだが、3周じゃよくわからん(笑)
考えても仕方ないし、今回の目的は、1stドライバーが、少しでも多く走って、サーキットとカプに慣れること。自分が走るのは、オマケだからねぇ。
短い昼食時間にも、緊張していて何も食べられない青カプさんに、初走行の感想を聞いたりしていた。途中ピットに戻ってきた時に言っていたが、「アンダー気味って、狙ったところからどれくらいアンダーがでるの?と聞いて、せっかくだからダンパーセッティングを変えて見ようよ」と提案し、実際に変えてみた。
どうなるかは、2本目の走行時のお楽しみ。
2本目は、自分が先に走り、タイムアタックすることになった。
「3周でベストを出して帰ってきて」と○モさん。
(まだ特性掴みきってないのに、ムリやし・・・・)と思いながらも、早めにピットロードにカプを出す。
前にはR35にバリバリのEF9、EK9である。時間が来てコースインし、1コーナーまではついていく。1コーナーを立ち上がって裏ストレートに来る手前から嫌な予感が・・・。
この練習走行2本目はレース予選も兼ねるのだ。シビック勢はタイヤを温めるためにコース幅いっぱいを使って蛇行する。
抜こうとしても抜けない。
(イライラ)
ヘアピンをたちあがってようやくパスをする。
最終を立ち上がって前はクリアだが、あまり速度を上げすぎても追いついてしまう。このへんの間合いは、過去の経験でわかる。先ほどパスした連中らも、自分のカプがコーナー途中で絡むことは嫌なはずであるから、ずいぶん距離をあけるはずだ。こちらも先ほどの蛇行+くらいの速度で進行する。
裏ストレートエンドよりタイムアタックにうつる。
(いくぜ、○○○○!)←呼び捨てだ(笑)
1本目の走行から時間があまりたっていないのと、路面温度上昇と、このカプの特性から、タイムアタックは十分可能と見た。同じように考えたのかはわからないが後続より赤いR35がフル加速してくるのをミラーで確認した。2周目の裏ストレート中央部で難なくパスされるが、インフィールドでは差を開けられるほどではない。
R35が本気かどうかわからないから何とも言えないが、インフィールドではこちらに歩がある。
しかし直線では、赤いデカ尻が、あっけなく遠ざかっていく。
3周が過ぎ、1コーナー侵入でブレーキングに甘さがありありである。
裏ストレートエンドは登りということもあって、さらにトライしようと奥までブレーキングをがまんし、踏み加減を減らして進入。
フロント荷重が抜けきらず、「タイヤの縦グリップを使いすぎたか?」と思った時にリリースと共にアクセルを踏むと、キタキタキターッ♪このレスポンスだ。
前に進むのだ。
よしよし、リズムにノってきたぞぉ~♪
そうして4番ポストを右目に見ながら、アクセルオフして右コーナーへ姿勢を変える。すかさずアクセルオンで、ブースト系は瞬時に立ち上がる。ようし、いいぞぉ~。
立ち上がってヘアピン手前の緩い左コーナーのクリッピングに向かって・・・・。
ん?
んん?
ガンメタのS13が、ドカンと刺さって、跳ね返ってコース1/3を塞いでいるではないか。バンパーも飛んで、残り2/3のコース上に置いたかのように鎮座。
(あ~、これは赤旗かもなぁ)
まぁ、フラッグが出るまでは全開だ。こうして4周目のコントロールラインを通過した時点で赤旗。
ピットに戻って交代する。
降りた自分に○モさんが指でタイムを示しながら
「ノルマ達成やな」と声をかけてくれる。
そうなのだ、いきなりあいつのタイムを塗り替えるとも思えなかったので、自分が目標するタイムを決めていた。
確かに、それを聞いて、あの状況でそれならまだ伸び代はあるな、と思った。
○○○○君もまだまだこれから詰めていく予定だったのだから。
刺さったのは、当日参加のS13だったらしい。ぱっと見ガンメタツートンカラーのきれいなストリートカーだったが、もったいない。ドライバーにケガはないのは走行中確認できたが、精神的ショックは大きいだろう。
サーキットにはリスクはつきものである。へたすりゃ、命を落としかねない。自分はしっかりしていても、他車もある。また、整備が完全だ、といっても、何ら保障されることは何もない。
現に、この日の富士で走行会があり、1コーナーをノーブレーキで突っ込んで、崖下に転落して1人亡くなっている。原因は定かではないが、遊びに来て楽しんで帰ることができればいいのだが、命を落とすことだってあるのだ。そういう場所なのだ。
慎重に慎重を重ねていいくらいなのだ。
まして初めてならば、ビビリなくらいでいいのである。
タイムはもちろん大切だ。
何かをしたからタイムが上がる。そしてサーキットのRという物理限界に、車の限界を近づけ、自分の精神的限界にも近づける。
いろんな状況があり、一概にタイムが速ければいい、というわけではない。
タイムはあくまでも指標。
耐久を走るなら、一発の速さよりも安定した速さ。
車とコースの把握。駆け引きに没頭しながらも、ピットのタイミングや前後のライバルの動きを観察しつつ、冷静にレース状況を判断する。
走行会なのだが、走り出すとやはりストーリーができていく。
障害車輌がコース脇に動かされ、クリアになり、走行再会だ。
しかし、ものの10分少々でチェッカーが振られる。
帰ってきたカプたちを出迎える。
ペアドライバーは汗だくである。
(10分しか走行してないのに、かなり攻めたのか?)
エンジンをかけたまま、油温、水温などのチェックをする。
車室内はもわぁ~としている。
助手席を見たら窓も開いている。
何でこんなにぬくいの?
うゎっ。
ヒーターついてる・・・。
(そら熱いわ・・・)
周りから、責められたのも仕方ない(笑)
ふぅ~。○○○○君、クラッシュも、コースアウトもなかったぜ。
タイムはともかく、サーキット初走行にしてはがんばったんちゃうかな?
お前の大事なカプ、トラブルもなく、壊さず無事終了だ。
ここで今までの寝不足もあり、(プレッシャーもあったか?)
ごろんと寝そべり青空を見上げる。
もう春がそこまで来ているあたたかい午後の日差しだった。
その4に続く
(まだ続くのか?)(爆)
Posted at 2011/03/03 19:39:10 | |
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