THUNDER Racingのブログ一覧

夏が来ると思い出す。



ガソリンスタンドでバイトしていた時のこと。



「いらっしゃい～♪」
（入ってくるクルマに聞こえなくても大きな声で言うのだ）

給油する場所とは違う場所にクルマを停めたお客様は、開口一番に、
「パンクや、修理して」

見ると、右後輪がベコンと凹んでいる。

「はい、わかりました。少々お時間いただきますので、あちらでお待ち下さい～♪」

そういってジャッキを架ける。
来られたお客様は、１ボックスに荷物満載。
１ｔ積載可能なところに、２ｔは積んでんじゃね？というくらい重いようだ。
もし夜なら、ライトは確実に信号を照らしてるんじゃね？
ハッキリ言って、上向いてますがな、上（笑）

まぁ、ジャッキはかかったので良しとするか。

さて、ジャッキアップしてインパクトレンチを用意し、
レバーをセットし緩める方向にセット。

バババババ････。

あり？

固いなぁ。



バババババババ、ズキューィン。


やっと取れた。






と思ったら、




ナットの中に明るい灰色のモノが詰まってる。
（うぎゃ、ハブボルトねじ切ってもうた･････）







３本でとまるから、いっか～♪
だまっとこ！



なんて事はなく、


お客様にハブボルトの折れた状態を見てもらい、逆ネジの説明もし、インパクトレンチの使用方法も緩む方向（つまり右回転にセットしていたこと）もお伝えをし、それでもこういう状況になった、ということを説明すると、
お客様は「それなら、しゃぁ～ないなぁ」とお許し下さいました。

さらに、お仕事でお使いになること、積載量が多いことなどを考えるとこのまま走ることもできますが、修理させていただくのが無難で、お預かりさせていただきたく思いますがよろしいでしょうか？
ということで、代車を用意させていただきました。

お客様のお時間を取り、大変申し訳ないことをしました。

しかし、普通なら１時間も足止めをくらい、荷物を乗せかえるという手間もあるのに、お客様３人は怒ることもなく、代車が来るまでの間、「飯食ってくるわ～」と行かれ、戻ってこられた頃に代車も到着し、テキパキと積み替えられて出発されていった。

お客様をお見送りした後、所長に
「今回のことはすみませんでした」と言うと、

「逆ネジなんがわかってたら、しゃぁ～ない。あれ、よくあるんよ。」
「気にせんでもええ」
と言われました。


部品が届いて打ち換えをし、お客様が来られると････

「おぃ、このクルマよかったぞ。今度はコレにする」とか、
もう１人の方は、
「また、コレ乗るんすか？」

（いやいや、この酷使したお車も味があっていいお車ですよ。）
とは、言えなかった。




夏が来ると思い出す。

３０年も前の、あの夏のことを。