その3より続き
あの男。
レース野郎を普段より結びつけ、自身も楽しみながら、師匠でかカプを追う。
予選走行時はまずデカカプと絡んだ。
そして大幅に速度を落としてJUNカプに照準を合わせて、様子をうかがった。
アトウッドのJUNカプのラインは、ハチロクのレコードライン。
朝からのマシンチェックに、ライン取り、加速を確認し、20分の走行をフルに使うことなくピットに戻る。
そして、得たポジションがポールのデカカプに次ぐ2位。
しかし、2位を得た予選走行後もなんだか今日はテンションが上がらないようだ。
今回、エンジンをリセッティングした上、AWDではなくFFでレースに臨む。ハイパワーFFの挙動がふらふらするのではないかと懸念していたが、それほどでもなかった。
もちろんそんなことで不安になったりするような男ではない。駆動方式にかかわらず、クルマを前へ走らせることに長けている男だ。自分ではなかなか言わないが、2000年のハチロクレースで最終戦を走ればチャンピオンが取れた男でもある。レースに飲まれることがあるわけもない。
しかし
「白煙を吹いてないか?」と心配で、後ろばかりを見て走っていたらしい。
これは、ブローすることで、後続に迷惑をかけてはいけない、という配慮なのだ。サーキットにはいろんなクルマが来る。きちんと整備した車、大丈夫と思ったけれど走っているうちに調子が悪くなってしまう車、そしてオイル漏れ、水漏れ、エンジンブロー、タービンブローでコースを汚す車もある。自分が人に迷惑をかけてはいけない。だから、もしブローするならその予兆を知り、被害を最小限にしなければならない。走れるだけ走ってオイルをぶち撒く、なんてのは最低なことなのだ。だから、計器やフィーリング、そして目視確認で車の状態を常に知る。速く走らせながら、そのようなことを考えている。誰もができることではない。
決勝走行までの間、テンションが上がらないまでも、同じように「T.T.WORKS 制動屋カプチーノ」のTさんが、
「壊れるかもしれんだで、Nakajiと走れてよかったょ~。決勝も、もつかわからんだで~」
という声かけに、Nakajiも同じ思いだったようで、
「今日、もうアレで終わってもいいかと思って走りましたょ。もう充分、満足!」
と会話しておりました。
(予選走行で終わってもいい、だと? ウソコケ~)
2人とも、絶対にそんなこと思ってるはずがない(笑)
ちゃんと予選走行後にはパッドのチェック。
パッドは車名にあるようにIDI。
決勝走行前のチェックを欠かさない。

レースがスタートし、に続いて は若干の間をおいて1コーナーに飛び込む。
ま、つべこべ言わず車載映像を見てみよう。
スタートは、まずまずのスタート。
1周目は、「T.T.WORKS 制動屋カプチーノ」との距離を開けているが、これはタイヤが冷えているための様子見。また後ろには「T.T.W.なおカプ」を従えながら、の走行。ピットロードから見ていても、余裕の走りをしていた。7周もあるし、「T.T.WORKS 制動屋カプチーノ」はトラブルを抱えている。後半で十分追いつくだけの距離でのビハインドだ。
2周目。
1分54秒あたりからもう一度見てみよう。
ホームストレートから1コーナー侵入し、立ち上がって2コーナー。
2分13秒の路面に、
バナナの皮が落ちてる。
車載映像では、Aピラーの陰になり、「T.T.WORKS 制動屋カプチーノ」の挙動が見えないが、フルカウンターを当てている。
(ん?なになに?)
そしてラインをトレースして、アルトの右後輪が滑って、あのようなフロントを軸に左半回転。左コーナーで右にフルカウンターを当ててもテールスライドは収まらず、アルトはアウト側へ。すぐにステアリングを左に切り返してフルロックしてもなすすべはなし、リヤからコースアウト。スタートしてわずか1周と少し、2分数十秒でリタイヤとなった。
レースは7周。その間コースサイドで、考えただろう。
なぜスリップダウンしたのか?
タイヤが温まっていなかった? 否だ。それなら、今までの右コーナーでも挙動が出ていた筈だ。
やはり
バナナの皮?
たぶんそんなとこだろう。
レース終了後、牽引されて帰ってきたアルトはバンパーが取れた姿だが、思ったより軽傷だった。しかしバンパーはざっくり破断し、ICは1段潰れたという状況。
レース前に自分のアルトにバナナの皮がちょっぴりあって、どこからだ?と神経質なくらいにチェックして万全な体制で臨んだのに、路面に前車がバナナの皮を落としてそれを踏んでリタイヤするとは・・・・。
やりきれない、にちがいない。
しかし、そんなことはつゆ知らず、わらわらとコワイもの見たさに集まる。
「ドナイシタン?」
「オモッタヨリケイショウヤン!」
「エンジンダイジョウブデヨカッタネ!」
「キョウハツイテナカッタネ」
かけられる声も、まるで他人事のように感じたのかもしれない。
彼のいない表彰式のあと、積車にJUNカプを積み込んでから、ハチロクの走行を見て帰路につく。
来た道を通り、山陽道で帰る。
すると、携帯が鳴る。
あの男からだ。
「中国道、加西のサービスエリアでNakajiの残念会するから来て!」と。
(俺たち、山陽道を走ってるんですけど・・・・。)
「つべこべ言わんと、今日イイトコナシなんやから残念会にぎわして~な~」
(たしかにイイトコナシだ・・・・)
「えぇ、えぇ行きますよ。」
で、山陽道から播但有料を通って中国道へ。
そして加西のサービスエリアで、NakajiとT.T.W.軍団と合流。
(もっ3はまだ岡国にいたのね)
で、いつものようにNakajiの独壇場。
で、帰り際、
「Nakajiの残念会とTさんの祝勝会、楽しかったね~♪」
まぁ、この男。 最後にあげるとこ、上げます。
そう、岡国とは相性が悪かったTさん。
走るたびに、岡国ではトラブルに見舞われたTさん。
でも今回は、トラブルを抱えながらも優勝。
ステルスJUNを抑えて、ブースト1.5しかかからへん
でかカプで優勝。
やはり、この日一番かっこよかったのはTさんだったな。
さぁ、次のレースでは誰が栄冠を得るのだろうか?
次の岡国のレースは、12月23日。
耐久とスプリントがある。
多くのエントラントが集結するはずだ。
自分も観戦ではないだろう。
気持ちのよいバトルをするために、きちんと車を仕上げ、トラブルは直し、ベストラップを刻もう。
では、岡国で会いましょう。
P.S本文中
.バナナの皮とありますが、真実は
オイルかLLCです。
Posted at 2012/09/26 19:50:27 | |
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サーキット・ジムカーナ | 日記