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とある日の夕方、奥さんは台所で夕食の準備を、僕はテーブルに座って本を読んでいた。何でもないいつもの風景である。


ただその日は、ステレオでフィッシュマンズのアルバム「男達の別れ」をかけていて、最後の「Long Season」が流れている時だった。
ずっと黙っていた奥さんが「その曲お願いだから消して」と言ってきた。


僕は、えっ？と思ってすぐに曲を消してわけを聞くと、どうやら「Long Season」の曲調がじぶんの負の感情に迫ってきて気持ちが落ち着かないというのだった。（ちなみに奥さんは普段フィッシュマンズを全く聴かないし知らない）


確かにフィッシュマンズの音楽は、ロックというよりも、どのジャンルにも属さない音楽であり、聴き方によってはスピリチュアルな音にも聞こえるし、聴く人をトランス状態に陥らせるような中毒性のある音楽と捉える事もできる。


この日かけていた「Long Season」はフロントマンの佐藤伸治が33歳で亡くなる3か月前のライブ音源という事もあって、彼のさまざまな苦悩？が曲を通して奥さんの感情を揺らしたのかどうかはわからないけれど、僕はあらためてフィッシュマンズの音楽の、あらゆる面での影響力の大きさを実感したわけであった。





ちなみにこのライブアルバム「男達の別れ」の「Long Season」の2分20秒にわたる佐藤伸治によるギターソロ（11:20～）は、僕の中で邦楽ロック5本の指に入るギターソロだと思っている。

良く晴れ渡る日曜日の早朝5時、僕は久しぶりにユーノスで走りに出た。


何年ぶりだろう。以前は日曜日の早朝によく走りに出ていたのだがここ数年はいろいろあって走りに行く元気がなかった。でも今日は天気が良いことだし唐突に行ってみようと思ったわけである。何故かはわからないけれど。





さわやかな朝。車も少なく気持ちがいい。





道の駅平成。いつもは「それっぽい」車が必ずいるのだが今日は僕以外いなかった。


美濃加茂から飛騨金山に抜ける適度なワインディングを丁寧なシフト操作を心がけて走る。僕はポール・フレール氏が好きだからヒール・アンド・トゥもしっかりやろうと試みる。回転がバシッと合ったら非常に気持ちが良い。しかし元来不器用な僕だからよく失敗もする（笑）。
ちなみに普段の通勤時はヒール・アンド・トゥはしない。なぜなら無駄にエンジンに負担をかけたくないから。ワインディングを走るとき限定である。


途中、自販機で缶コーヒー飲んで、約3時間走って9時すぎに帰宅した。
心地よい疲れは残ったけれど精神的にリフレッシュできた気がする。


やっぱり、たまには走りに行こう。