前も書いたような気もしつつ書いてない気もしつつ
相変わらず別に専門家でもないので信憑性は…
車高調入れると減衰についで簡単に調整出来るプリロード。
pre load
プリのロードね。
プレって読む人もいるみたいだけど、一応発音記号上はプリの方が近いみたいよ、っと。
直訳して、あらかじめかけられた負荷。
つまり何もしてない状態で、あらかじめバネに負荷をかけておく事。
通常、プリロードはいわゆる皿を回して調整する。
全長調整式車高調でない物の場合、プリロードを変更する=車高を調整する事だ。
だから、ある意味難しく考える必要もなくて、車高側で足のセッティングを出すと考えれば良い。
特殊な条件化にならない限り、プリロードは成り行きになるのだ。
それでも車高かえずに、あえてプリロードをかけたい、というのであれば柔らかめのバネを用意してプリロードをかける事になる。バネレートを柔らかくする代わりにプリロードをかけて車高を維持するってわけだ。
まとめると、普通のセッティング方針であるバネレートを優先するなら車高かプリロードを変える必要があって、そこで車高を優先するならプリロードは成り行きになるし、プリロードを優先するなら車高が成り行きになる。
プリロードをどうしても優先してセッティングするなら、バネレートか車高のどちらかを変える必要がある。
まぁでも優先順位的にプリロードが一番最後になるのが普通だよね。
何故プリロードを変えると車高が変わるのか。
10kg/mmのバネが仮にあるとして。
ここに300kg(均等バランスの1200kgの車が一つの足にかかった力として)の力がかかるとする。
そうするとバネは300/10=30mm縮む。
ストラット車とした場合車高は30mm下がるわけだ。リバンプストロークが30mmとも言う。
これがプリロード0の状態で組まれたバネの場合。
ここにプリロードをかけるとする。例えばバネに10mmのプリロードをかける。
10mmプリロードをかけると、バネにはあらかじめ10*10=100kgの力を与えておく事になる。
ここに300kgの力をかけるとする。
そうすると、あらかじめ100kgの力がバネにはかかっているので、300kg-100kg=200kgの力がバネにかかる事になる(何故そうなるかは説明しないけど)
200kgの力がかかるのでバネは20mm縮むわけだ。
ストラット車として考えると車高は20mmしか下がらない。つまりプリロードを掛けてない時に対して10mm車高が上がるというわけ。リバンプが20mmともいう。
ここで、100kgしか力がかかってなかった場合はバネは全く縮まない。
プリロードを30mmかけて300kgにした場合は上記例の車だと自重じゃ全く縮まなくなるというわけ。
このような感じで、プリロードをかけると、プリロード内の力に対してバネは何も反応しなくなる。
全長調整式車高調の場合は話がちょっと変わる。
プリロードでも車高を変えられるけど、ショック全長を変える事で車高を変える事が出来るからだ。
プリロードを10mmかけたとする。そうすると10mm車高が上がるわけだけど、そもそもダンパーの長さ自体を10mm縮めてしまえば車高は10mm下がる。
プリロードを10mmかけても車高は維持出来る、というわけだ。
ただし、リバンプストロークは通常の場合と同じく20mmしかない。
変えられるのは車高だけだ。
プリロードが実際どう効いてくるのか。
まず、バネの特性。
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参考
適当に検索して出てきたところより引用。
「全たわみの約30~70%の間は計算値とよく合うが、30%以下では弱くなり、70%以上では強くなる傾向を示す」
もちろん製品で若干数値は違うだろうし、これが均一である事を売りにしてる製品もあるけど。
バネの縮み始めは表記レートより柔らかく、縮みきったあたりで硬くなる。
プリロードをかける事はあらかじめ縮めておく事になるわけだから、その柔らかくなる領域を減らす事でもある。
そういうと乗り心地とかが悪化するんじゃないか、車の反応がよくなるんじゃないかという想像になるだけど、それはちょっとだけ違う。
普通、車重がかかった時点で車重によるプリロードがかかっているので、この柔らかい領域は使わないのだ。
だから平地を普通に走ってる限りは乗り心地が悪化する事はないし、操縦特性が変化する事もない。
でも、常に車重分まるまるの力がかかってるわけではないのだ。
平地じゃなく悪路や大きめの段差を踏んだり、大きくピッチやロールをした時に、この領域が使われる事になる。
大きくストロークした時、プリロードが少ない場合はバネが柔らかい領域なので縮み方向の時に多く縮む。
乗り心地で言えば柔らかくなって感じるし、操縦性で言えば反応が鈍くなる方向だ。
もっと極端な事を言えば、タイヤが浮いてしまったような時の事を考えれば良い。
プリロードがない場合はタイヤが接地した時に柔らかめのバネレートから始まり、しなやかに着地するが、プリロードがあった場合はタイヤが設置した瞬間はプリロード分の力がかかるまでバネは縮まず突っ張っている。つまり接地した瞬間はドンっと衝撃が来る事になるわけだ。
先の例でいえば10mmプリかけてあれば100kg分の力は縮まずボディに一気に来る事になる。
プリロードが無ければ100kg分の力はダンパーの減衰力分でゆっくりとボディに伝わるのだ。
そういうわけで、おそらく世の中的には車高調いれるとプリロードは出来る限り少なくしたい、みたいな話になっているのではないかと推測。
じゃあプリロードが全て悪かというと、そういうわけでもない。
プリロードが無いと、リバンプ領域がうまく使えない、と考える事が出来るからだ。
プリロードがほぼ0だとした場合、リバンプ領域のほぼ伸びきるところではバネの力は弱い。
その時は車体側から来る力をほとんどタイヤに伝えておらず、バネ下重量分だけしかタイヤに荷重がかからないのだ。
リバンプして足は伸びるんだけど、仕事としてはあまりしてない、実質リバンプ領域が無駄になってるような状態になるわけだ。
プリロードをかけておけば、ダンパーが伸びきるような領域でもバネは仕事をしっかりするのでタイヤを地面に押さえつけてくれる。リバンプ領域を有効に使えるというわけ。
純正ではレートの低いバネを使うので、たくさんのプリロードをかけてる。
ただ、ダンパーストロークも十分長いのでリバンプストロークが大きくとれるし、タイヤが地面から離れるような事はほとんどなく、問題にならないハズ。
車高調を入れて、ストロークが短くなった足の時に、リバンプストロークをどう考えるかでプリロードをどうするかが決まる。
でも、実際のところ全長調整式でなければプリロードの調整というのは難しいので、そこまで深く考える必要はないかな、という感じ。
全長調整式であっても、プリロードはたくさんかける必要はなく、かと言って0にしろという話でもなく、リバンプ側をどう使うかで変えれば良い。
例えばロールを減らすためにリバンプ側を無効化するならプリロードを減らせばよいし、路面凹凸に対応しするためにプリロードをかけてリバンプ側を有効活用しようという手もあるし、その辺は路面やスタイルに合わせればいいかな、と。