
懲りずにマツダですww
6月28日、ちょっとよく分からないニュースが…
マツダ、ロータリーの航続距離延長は中止 PHEVとHEVへ
清水 直茂 日経クロステック
2021.06.28
※以下、記事から抜粋
マツダがロータリーエンジンを利用した航続距離延長装置(レンジエクステンダー)の開発を中止し、プラグインハイブリッド車(PHEV)とハイブリッド車(HEV)の開発に力を注ぐ方針に切り替えたことが分かった。電池容量を小さくし、車両価格を抑えることを重視したとみられる。
マツダは18年にロータリーエンジンを使った「マルチ電動化技術」を公表した。当時はレンジエクステンダーEVとPHEV、HEVの3種類を開発するとしていたが、そのうちレンジエクステンダーEVの投入をやめて、PHEVとHEVに注力する。ロータリーエンジンを使ったHEVについては、25年までに投入する計画である。
※以上、引用終了
ロータリーエンジン・レンジエクステンダーの開発中止⁉
えっ!と驚いたのは私だけではないと思います。
6月17日にマツダが行った「中期 技術・商品方針説明会」の中で、ロータリーエンジン搭載のSKYACTIVマルチソリューションの車台を発表していました。

スケーラブルアーキテクチャーsmall_rotary_engine_multiple_electrification_technology

配布資料にはSKYACTIV TECHNOLOGY PHASE 2つまり、スカイアクティブ技術の第二段階として「REマルチ電動化技術」も位置付けられています。

たった10日で方針変更?
そんなはずはないだろうと思っていましたら、、、、
マツダ MX-30 ロータリーレンジエクステンダーは中止になっていない…日経報道はなぜ中止としたか
中尾真二 Response
2021年7月2日(金)
※以下、記事から抜粋
事実関係をマツダにも確認したので、その情報を整理したい。
6月17日にマツダは電動化に関する製品計画などの記者発表を行っている。そこでは、ピュアEV、PHEV、HEV(ハイブリッド)モデルポートフォリオの計画を明らかにした。
EV3モデル、PHEV5モデル、HEV5モデル、計13モデルを2030年までに市場投入するというものだ。PHEV5モデルのひとつは、22年発売予定の「MX-30ロータリーREX」だった。他にもHEV5モデルのラインナップのどれかがロータリーエンジンを利用したものが含まれる可能性があることを確認した。ハイブリッドの方式はエンジン出力を駆動力に利用しないシリーズハイブリッドとなる。
確認したところ、マツダとしてはこの計画に変更はないとのことだ。つまり22年発売予定のMX-30 ロータリーREXもいまのところ変更はない。これは先の計画ではPHEV5モデルのひとつとなる。詳細未定ながら、ロータリーエンジンを搭載したシリーズハイブリッドのプランも計画は残っている。
マツダは先の電動化計画では、「ロータリーエンジンの出力を駆動力に使うタイプのハイブリッド」について言及がない。マツダ広報も前述の13台の計画にはロータリーエンジンを搭載したストロングハイブリッドモデルは含んでいないとしている。
※以上、引用終了
結論としては
1.RE(ロータリーエンジン)マルチ電動化技術は開発中止していない
2.2022年発売予定のMX-30プラグインハイブリッドはロータリー・ハイブリッドであり、その他にもロータリーPHEV・HEVが出る可能性がある。
3.ハイブリッドの方式はエンジン出力を駆動力に利用しないシリーズハイブリッドとなる
4.ロータリーエンジンの出力を駆動力に使うタイプのハイブリッドの計画は無い
では、なぜ先の日経クロステックは「ロータリー・レンジエクステンダーの開発中止」と報道したのだろう?
ここで、少しハイブリッドのシステムについて復習しておく必要がある。
ハイブリッドのシステムには3つの種類がある。
1.パラレルハイブリッド
主にエンジンが駆動力になり、発進・加速時などにモーターが駆動力をアシストする方式。いわゆるマイルドハイブリッド。エンジン主体であるため燃費の削減効果はあまり大きくないが、機構が比較的簡単で軽量。
2.シリーズハイブリッド
駆動力としてはモーターのみ。エンジンはモーター・走行用バッテリーへの電力を供給するための発電機としてのみ使用する。日産のe-powerが代表的。エンジンのエネルギーを電気に変換するので変換効率が良くないとエネルギーのロスが増える。
3.スプリットハイブリッド
発進時の駆動力はモーター、巡行時など負荷の少ない時はエンジンが主な駆動力となり、下り坂など無負荷の時は回生により発電を行う。ハイブリッドの代名詞であるトヨタのTHSⅡ。モーターとエンジンの良いとこ取りだが、機構が複雑で重量・コストが問題。
今回のニュースで問題になった「レンジエクステンダー」とはいったい何なのか?
レンジエクステンダーはCARBカリフォルニア州大気資源局により、2012年3月に無公害車(zero-emission vehicle)のカテゴリーの一つとして認定さされ下記のように定義されている。
1.外部充電による走行距離が75mile(120.7km)以上であること。
2.補助動力装置による走行距離が外部充電による走行距離以下であること。
3.補助動力装置はバッテリーの電力が低下するまで作動してはならない。
4.極超低公害車(SULEV)とエバポ排出ゼロ基準に適合していること。
つまり「レンジエクステンダー」はハイブリッド車ではない⁉
上記はアメリカカリフォルニア州の例だが、多くの国で法的にレンジエクステンダー電気自動車とプラグインハイブリッドは別のカテゴリーに分類されてます。
レンジエクステンダーはあくまでもEV=電気自動車であり、万一の電欠に備えて発電装置を搭載したゼロエミッションビークルでなくてはなりません。
また、日産e-powerに代表されるシリーズハイブリッドとレンジエクステンダーは、外部給電装置を除けば、エンジンで発電しバッテリーに充電してモーターで駆動するという仕組みは同じです。
違いは、レンジエクステンダーEVは①外部給電装置がある②バッテリーだけで120km以上走行できる③エンジンで発電して走行できる距離はバッテリー走行距離よりも短い。の3点です。
マツダが開発しているのは「ロータリー・ハイブリッド」であって「ロータリー・レンジエクステンダー」ではありません。
もともとはレンジエクステンダーも研究していたのかもしれませんが、バッテリー走行とエンジン発電走行のバランスをとった結果、エンジン発電走行の方が多くなり、レンジエクステンダーEVではなくプラグインハイブリッドになったということでしょう。
MX-30を例にとると、EVの航続距離は約250km。レンジエクステンダーEVはエンジン発電走行がEV航続距離より短くなければいけないため、トータルの航続距離は約500km以下でなければいけません。
航続距離約500kmというのは、日本国内であればなんとか足りるかもしれませんが、長距離移動の多い欧米では少なすぎます。
それならば、バッテリーの容量を増やせばいいのですが、マツダは生産時の環境負荷に配慮して大容量バッテリーは積まず、容量の小さな35.5kWhしか搭載していません。
そのためレンジエクステンダーEVの航続距離の限界が約500kmとなってしまい、それを超えるにはレンジエクステンダーEVを諦めなければならなくなったということでしょう。
私たち日本のユーザーにとっては、レンジエクステンダーEVでもプラグインハイブリッドでも、どちらに分類されても関係ないのですが、欧米の法的規制では何かと問題が出てくるのかもしれません。
まあ、ひとまずロータリーエンジンの開発は中止になっていないということで一安心ですが、一つ残念な事が…
「マツダは先の電動化計画では、「ロータリーエンジンの出力を駆動力に使うタイプのハイブリッド」について言及がない。マツダ広報も前述の13台の計画にはロータリーエンジンを搭載したストロングハイブリッドモデルは含んでいないとしている。」
RX-VISIONは無いのね(T_T)