
間が空いてしまいましたが前回の
EpisodeⅠの続編としてADVAN-MR2のヒストリーEpisodeⅡを書きたいと思います。
MR2での車両製作が決定し、前年のチャンピオンでもあった山本選手の環境は当時のヨコハマタイヤのボス水野氏のバックアップにより一気にワークス体制化していった。
ベース車両はトヨタより新車が提供され、車両製作は当時グループA等でもアドバンのワークスマシンの作成を手掛けていた土屋エンジニアリングで行われる事となった。
※この際車両提供元であるトヨタとの間で外装についてはMR2のままとすること。という取り決めが交わされていたという事実がいかにもワークスマシンらしく興味深い。
当時の雑誌記事で山本選手はこうコメントしている。
「実のところ車作りに関して、私がどうこうしたってのはないんですよ。一切を
土屋エンジニアリングさんのほうにまかせてありますから、まぁ最初に「MR2でやって」って言ったぐらいで(笑)。
もちろん、土屋さんからは、どうしたらよいか、という質問が製作が進む段階で来ますから、それに関しての、自分の好みや、望む方向性に関しては答えましたが。「足は曲がりやすく、くせのないニュートラルな味つけに」とかね。」
また、土屋氏の提案により左右の重量配分を理想に近づけるため左ハンドルとする案も検討されたが山本選手の要望により実現まではされなかった。
こうして土屋氏をはじめとして、
持永さんを含む他3名の計4名×2カ月という短期間でADVAN-MR2は製作された。
それは87年の全日本戦(注1)に向けての秘密兵器投入(=デビューウィン)を宿命とされていたからでもあった。
注1:この頃の全日本戦はシリーズ戦ではないため正に一発勝負でチャンピオンが決定する時代であった。
<ADVAN-MR2製作当時のファーストスペック>
仕様 :ジムカーナDクラス仕様
チューナー :土屋エンジニアリング
エンジン型式 :4A-G
気筒容積 :1598cc(81×77)
最高出力 :200ps/8000rpm
圧縮比 :12.0:1
許容回転数 :8500RPM
カム :TRD (IN:288,EX:272)
クラッチ :ボーグ&ベック
エンジンマウント : 12CM前方へ移動しリジットマウント
シフトリンク :ピロボールリンク式
ステアリングシャフト:ワンオフ(ジョイント1点のみ)
ステアリングギア比 ロックtoロック 2回転
気化器 :クーゲルフィッシャー機械式インジェクション
点火方式 :ULTRA同時点火システム
プラグ :NGK BCP5EVX
プラグコード :ULTRA
サスペンション :F:ワンオフピロAアームリンク(ピボット位置変更)
R:等長・延長ピロロアームリンク+延長ピロコントロールアーム
ショックアブソーバ : カヤバSPLガス車高調整式減衰力4段可変式
ブレーキキャリパー:ノーマル
ブレーキローター :F:ノーマル(ただし、ソリッド化),R:ノーマル
ブレーキパッド :GAB
ホイール :アドバンARS(山本スペシャル)
F:6.5J-15
R:7.5J-15
タイヤ :アドバンスリック(山本スペシャル)
F:170/55R15
R:170/60R15
ボディ :ボンネット、バンパー、スポイラー、エンジンフード、トランクフード、ドアがカーボン
ガラス :フロント以外アクリル
安全燃料タンク :TRD5L
エキゾーストマフラー :ワンオフ前方排気(室内フロア取り回し)
サイレンサー :JMRC関東公認品
シート :EVA-IMSA-R
オイル :バルボリン・レーシング20/50マルチ
ロールバー :スチール4点式
MT :TRD4速クロス
ファイナル :4.625
サイドブレーキ :油圧式(フライオフタイプ)
車両重量 :620kg
※上記データは当時雑誌に一般公開されたデータを元に製作しているため実際の車両データとは
異なっている場合があります。
※以前「SuperD列伝」のコーナーで記載した
国政MR2のスペックとの比較も興味深いです。
Posted at 2012/12/23 13:46:02 | |
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