
題名:黒い雨
著者:井伏鱒二
出版社:新潮社 新潮文庫
あらすじ
第二次世界大戦から数年経った広島県小畠村に、閑間重松は妻シズ子と姪の矢須子と一緒に住んでいる。矢須子は年頃だが、原爆病患者との噂が立ち縁遠い。
或る日、矢須子に縁談が持ち上がったが、重松は矢須子が原爆病患者では無いと云う証明の為に、当時の日記をまとめ上がる事にした。実は、重松は原爆病患者で、家族三人が広島市内で被爆していた。重松は、当時の体験を「被爆日記」として、後世に残そうと清書を始める。
併し、矢須子は被爆した時の黒い雨が原因で、本当に原爆病が発病し、其の症状は重くなるばかりであった。
毎年、8月には戦争物の本を読む様にしている。今回読んだ井伏鱒二の「黒い雨」は、有名なので名前だけは聞いた事のある人も多いと思う。
内容は、主人公重松が清書している「被爆日記」の、昭和20年8月6日の広島原爆の日から、終戦日の8月15日の出来事が殆ど。やはり、原爆当時の悲惨さは、今自分の身に起こったら…と、身震いする。
僕が印象に残ったのは、被災地で小学生の男の子が、兄を見つけて助けを求めるシーン。男の子は、顔が火傷で膨れ上がってしまい、兄を呼んでも兄には判別出来ない。兄からの質問でやっと兄弟だと分かる。自分に子供が生まれてからは、特に此の様な子供の悲しい話は、胸が痛くなる。
ただ、戦後と戦中を行ったり来たりで、たまに他人の出来事の聞き書きが挿入される為、舞台の切り替わりが多く、話が混乱してしまう時があった。
本日は此れ切り。
Posted at 2009/08/28 23:05:17 | |
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