
いつものとおり長文です。
トラック、バスを含め車を運転することが好きな私ですが、こんな車を毎日運転しろと言われたらちょっとブルーになるかもしれないくらいに幕張のけん引の試験車両は運転しにくいです。古いということはさして問題ではないのですが(と言いつつ話題にはしますが)、兎に角扱いにくいのです。
・古い
キャブ正面上部には3つの緑のランプ(速度表示灯)がついています。1999年の法改正により廃止されましたので、少なくとも10年以上前の車両ということでしょう。メーター内の速度計には速度表示灯の点灯に連動した緑色のインジケーターが設置されていて、これも速度に応じて点灯します。外周道路の指定速度である40キロでは2つ点灯です。
下の写真は1枚目の写真と同じ車を壁越しに撮影したものです。昔の大型トラックには付いていたなつかしの3つの緑のランプがあるのがお分かりでしょうか。
・超カックンブレーキ
積載状態で適正な制動力を発揮できるように調整されているであろう車両を空荷で走らせるため、ブレーキが効き過ぎるというのは想像できるのですが・・・。
制動灯が点灯する時の「カチッ」という音が聞こえる程度のペダル操作では全くシューが当たらずどんどん惰性で進みます。それ自体はまあそういうもんかなという気もしますが、そこから恐る恐る踏み込むといきなり「ガツンッ!」と効きます。オンとオフしか無い感じで制動力の立ち上がりがあまりにも唐突なために円滑な操作が難しいです。
試験中にはピンポイントで車を止めたいシーンがいくつかあります。たとえば、
試験走行中に2回ある(幕張の場合)一時停止。
方向変換開始前のポジション取り(バック開始地点へのアプローチと停止)。
見通しの悪い交差点の手前での徐行、停止。
発着場に帰還したときの車両先端ポール合わせ。
などです。いずれのシーンも止まれずに行き過ぎてしまうのは望ましくありません。一時停止で止まれないのは言わずもがな、方向変換前のポジション取りも実は重要で、目標とするバック開始地点を行き過ぎてしまうとバック開始後のハンドル操作(タイミングや操作量)に大きく影響します。
・クラッチのミートポイントが浅い
幕張の試験車両のミートポイントは相当浅いです。クラッチストロークのほとんどが遊びで、繋がるのはかなり手前です。深すぎるのも困りものですが浅すぎるのもあまりいいものではありません。
体を正面に向けている前進時にはすぐに慣れてしまうのですが、窓から顔を出してバックする時など体をひねってクラッチ操作をする時はなかなか要領を得ず、方向変換ではハンドルをフルステアした状態でクラッチがドンと繋がってしまい、試験官も私も大きく左右に揺さぶられてしまいました。
・ミラーステーの剛性不足
これは方向変換、特に左バックでは非常にやっかいな問題です。トレーラー左タイヤの位置を確認するほか、私の場合はヘッドとトレーラーの角度を保ったままバックしたいときに左ミラーに映る景色(トレーラーの足とトレーラー右タイヤとの位置関係)を拠り所にしていますが、半クラッチで後退しているときに左ミラーがブルブルと振動してしまうため、像が見にくくて仕方がないのです。これは本当になんとかして欲しいところです。ミラーだけに頼っていてはダメだと思うのですが、ミラーに映る情報も大切な情報です。ちなみに、交差点左折時にはミラーが震えて困るようなことはありませんでしたので、超低速時の半クラッチ時に限られた問題でしょう。
ちなみに練習場にあった同型車種(いすゞフォワード)はもっと扱いやすい車でしたので、ただ単に個体差の問題だと思います。
おまけのおまけ
けん引一種合格時の試験官はフレンドリーな方でした。試験終了後、そのフレンドリーな試験官ともう一人の合格者(この方はけん引2種)(と名物おじさん?)と共に待合室でのちょっとした雑談がありました。
試験官の主な発言:
「あの車はねえ、ブレーキとかね、扱いにくいよねえ。あれはしょうがないよ。」
「方向変換はやっぱりはじめのポジション取りがすべてだね。あとは真っ直ぐバックできるか。それだけだね。」
「海上コンテナみたいなのはすげーよなー。あれで交差点を左折するのは俺は自信ないねえ。」
「この間テレビで見たけど新幹線を運ぶトレーラーとかすごいねー。あれはトレーラーの後ろのタイヤも左右に曲げられるんだよねー。運転手とは別の人間がリモコンで操作するんだねえ。」
「こういう仕事やってるとね、ああいう大きいのは乗りたくないねえ。」
この最後の言葉がとても印象的でした。そうなんだ・・・。「最も安全かつ確実な方法」による運転を至上命題とする試験場での運転方法を極めた者にとっては、公道でトレーラーを運転するなんてことはあまりにもリスクが大きいということなのでしょうか。
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けん引一種 | 日記
Posted at
2010/11/01 23:10:05