
先日、ディーラーでオイル交換をしてもらっている間に、マークXに試乗させてもらいました。買う気は全くないのですが、いわゆる興味本位です。
試乗車は250Gのリラックスセレクション。やや混雑した市街地を中心とした20分程度の試乗です。
ということで、いつものとおりあまり参考にならないきわめて個人的な感想です。
前から見るとかなり幅広に感じるが威圧感はあまり無い。後ろから見ると、特徴的なような、そうでもないような・・・。
どこから見ても中級車以上高級車未満。それなりに立派でなければいけない、しかしクラウンを超えてはいけない。それがマークX。
運転席から見える景色は天地方向に薄い。特にルームミラーに映るリアウィンドウは上下が狭く、車庫入れはバックモニターがないと大いなる不安を感じる。
先代では気になったボンネットの膨らみが気にならなくなった。Aピラーの死角も特に気にならない。ワイパーアームはフルコンシールド(非作動時はボンネットフードに隠れるような位置まで下がっている。)で前方視界すっきり。トヨタはここにマークX(マークⅡ)以上とそれ未満との差がある。ほんの数センチだけワイパーを下げる(ボンネットを上げる)ことにかなりのコストがかかるのだろう。
薄いブルーのオプティトロンメーターは、まあ見やすいがこれを高級というのかわからない。車の性格に合っているような、合っていないような・・・。
6速オートマはウルトラスムース。街乗りでもどんどんシフトアップしていきすぐに4速に入る。いつロックアップしているのかと思うほど一つのギアの時間が短い。しかし、エンジン回転ばっかり上がってトルコンオイルをかき回すだけで前に進まないというような効率の悪さ感ほとんど無く、それなりの力感があるところが不思議。結局のところ精緻なロックアップを行っているのだろうか。恐るべしアイシン。こういうATを2リッタークラスにも是非搭載してもらいたい。
通常モードでおとなしく走る分には変速ショックはほとんど感じられない。というか、いつ変速したかなど気にしなければわからないレベル。マニュアルモードにすればまあそれなりのダイレクト感があり、歯車を介して直接繋がっているというある意味古典的な感覚に近い感覚が味わえる。
アクセルペダルはオルガン式。ちょっと重めだが長距離はこれくらいが疲れなくていいかもしれない。
ハンドルは軽すぎずしっとりとした感じ。重さでいえば以前に試乗したVWゴルフヴァリアントのほうが重い。しかし動きのスムースさはVWのほうが全然滑らか。しっかりした手応えがあるのに動きがスムースなVWのハンドルフィールは驚異的なのか。
ブレーキのフィールは特に印象なし。(不満に思うところがないという意味。)
乗り心地はけっこう良い(コロナ比)。あとで試乗コースをコロナで走ってみたが、マークXの方がよく足が動いて上屋の揺れが少ない。ただし滑らかさは以前に試乗したフォレスターの方がたぶん上。
【まとめ】
部分的に比べればもっといい車がほかにあると思うが、総合点はかなり高い。グレードにもよるが、少々装備が充実した2リッター級のミニバンを買える値段でV6の2.5リッターセダンが買えると思えばどう考えてもお買い得。これを買って後悔するのは高級外車を乗り継いだ人くらいでは無かろうか。わたしも一瞬欲しくなった。(が、2.5リッターは必要ないので選択肢には入りません。)
ところで、キャッチコピーに出てくる「男の真ん中」っていうのは・・・、何?
~余談~
それにしても多段ステップATがこれだけ滑らかになると、CVTと何が違うのかという気がしてくる。
滑らかな変速とあらゆる巡航速度でのエンジンの低回転化を目指していくと、多段ATかCVTかという解答に落ち着くのだろう。(ロックアップ解除による疑似多段化のようなわざわざ効率を下げるようなことは、もはやあり得ないと個人的に思う。(20世紀の設計であるうちのコロナの4ATだって3速と4速はロックアップの使い分けによって6速の”ような”振る舞いをする。)
そこにあるのはアプローチの違いだけで、商品としてできあがってきたものはさして違いが見られないという時代が来るのだろうか。今のところはステップATとCVTとではフィーリングに差があるように思える。
(お金持ちは別として)いま日本で庶民が買うことの出来るATは、トルコンによるトルクアップ効果を過剰に期待したルーズなもの。出来るだけ機械的な締結状態を保持するような制御のステップATは無い。じつに残念。モーターファンイラストレーテッドによると、このような今の日本の現状をいいとは思っていないエンジニアは少なからずいるそうだが、そういう思いはセールス担当の声(すなわちユーザーの要望)によってかき消されてしまうのだとか。
いや、もとい。今日本で庶民が買う事の出来るオートマチックはほとんどCVTのみ。機械としてはそれほど効率のよくないものを制御でなんとかいい結果が得られるようにしている。まあ結果として燃費がよければいいんでしょというスタンス。それも一つのやり方だろうが、その制御がドライバーの意思や期待と乖離することもままあるというのが現状。さらには、その違和感を少なく見せるためにCVTをわざわざ多段ATのように振舞うような制御までしているものもある。
機械としての効率を追求すれば出来るだけロックアップを維持する制御の多段ステップATに行き着くと思うのだが。内部抵抗を無視できないほど段数を増やすのは本末転倒な気がするが、トルコンに頼りすぎた制御はもう時代遅れではないだろうか。そうなるとせめて5段か6段がほしくなる。MTもそういう流れだったと思うし、欧州勢はATもそういう流れに見える。
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しろうと試乗記 | クルマ
Posted at
2011/06/26 00:07:46