ふとしたことから再認識した遠い日の思い出・・・
人の優しさの有難み
何でも出来るようになった気でいた自分が如何に無力だったか
思い知らされた遠い日の出来事を思い出したので徒然なるままに・・・
今年で22年の付き合いになるわが愛車GPz900R Ninja
そのニンジャが私の愛車となって間もない最初の夏・・・
一人旅でTRGに出かけたのです。
この時、大学3年生。20歳
目的地は特に決まってはないけど四国を目指していました。
テントと寝袋があればどうにかなるさと行き当たりばったり
の気ままな一人旅
2回に渡る北海道ロングTRG(総走行距離8000km)
でちょっとしたトラブルは経験したこともあり、
初めての一人での長距離TRGでも特には不安を感じることは
ありませんでした。
淡路島では台風の直撃にあい、フェリーターミナルで一夜泊り
夜が明けてから、暴風雨の中いざ鳴門大橋へ~
バイクを横風に対して傾けなければ直進できないほどの
横風と雨の中、四国を目指す・・・
基本的に私は高いところを走る高速道路ってやつが苦手で・・・
その上暴風雨に横風って・・・(涙)
しかも橋と橋の連結部分の鉄板に乗るとバイクが一車線分くらい
横に流される・・・
2輪車転倒注意なんて標識を見ると生きた心地がしません(汗)
風に対抗してバイクをバンクさせた状態でなんとかまっすぐ走れる状態・・・
実は横風の強い橋を渡るのは今でも正直好きではありません・・・トラウマってやつですかね?
そしてなんとか恐怖の橋を乗り越え無事四国に入りました。
讃岐うどんを食しつつ、愛媛松山では北海道TRGで知り合ったお方を訪ね、
道後温泉でのんびり・・・
大学生ならではの貧乏ながらも優雅な時間が経過していました。
そして石鎚山という四国では有名な山まで一緒にTRGし、再会を約束して
別れてしばらくたった時に事件は起きたのです。
日もボチボチ暮れかけてきた峠道を今夜の宿はどうしようかな~と考えながら
鼻歌交じりで走っていると山が一瞬開けて、きれいな夕焼けスポットが現れました。
私は思わずバイクを止め、跨ったまま夕焼けの撮影に夢中になっていました。
そしてひと段落着いてバイクをスタンドに預けようとしたしたその時・・・
突然天と地がひっくり返りました・・・
私は何が起きたかわからず、バイクから振り落とされ林の中に・・・
次の瞬間は視界にはニンジャが下方に見える(汗)
えっ???一体どうなってるの????という状態で・・・
冷静に状況を分析すると、
私が林の崖下に転落し、一緒に転がったニンジャは崖に沿ってほぼ逆さま
の状態・・・
つまりはこんな状態・・・本来この状態で停車するはずが
気がつくと逆さまになり・・・私はその下方・・・10m位に放り出されました。
ニンジャの模型を触っていたら、色々部品が取れてきたので研二君仕様のZ2
で再現しています(汗)
おそらくスタンドを出しているつもりでバイクを傾けたけど出ていなくて、そのまま倒れたんだと思います。
幸いなことに体にダメージはなかったのですぐさまニンジャのところまで登り、
ニンジャを押し上げようとしました。
しかしながら乾燥重量260kg装備重量ほぼ300kgのバイクを
逆さまの状態から起こす腕力の持ち合わせはありません。
しかも触れば触るほどジリジリと落ちてきます。そしてタンクの給油口からは
ポタポタとガソリンが漏れてくる。
自分ひとりではどうにもならいことを認識。
ほぼ人の通らない山奥でこの有様・・・
しかももうすぐ日が暮れる・・・
まさしく絶望的状況でした。
とりあえず道まで登ってどうすればいいか・・・
と座り込んで考えていました。
もうすぐ日が暮れる。
交通量は極端に少ない。
麓まで歩くにしてもどれだけかかるか・・・
でもニンジャをこのままにして離れられない・・・
でも一人では起こせない・・・
四面楚歌ってのはこのことか~と
正直どうすればいいのかわかりませんでした。
この時代携帯電話なんてものはなく、連絡手段もない・・・
まさしく途方にくれていました(笑)
そんな時、道路の真ん中に座り込んでいた私が邪魔だったのか
クラクションを鳴らす1台の車・・・
おじさん こんなところでなにやってんだぁ~
一将天総 いや~バイクが倒れて・・・
おじさん バイクなんてどこにあるんだ?
一将天総 ここに・・・
絶望的逆さま状態で倒れるニンジャをおじさんに紹介(汗)
おじさん これは・・・俺たちだけじゃなんともならないなぁ~
一将天総 そうですよね~(やっぱりなんともならないなぁ~と心の声・・・)
しかしそのおじさんは再び車に乗り込んだと思うとおもむろに牽引ロープを引っ張り出してきました。
おじさん とりあえず俺の車とつなごう。そうすればこれ以上落ちないだろ~
一将天総 ???
おじさん 2人では無理だけど、そのうち誰かが通って助けてくれるって???
兄ちゃん元気出せよ・・・
山の中で日も暮れかけて、途方にくれていた私には涙が出るほどうれしいお言葉でした。
心細い心情を察してくれたのか、二人で世間話をしながら待つこと数十分・・・
わらわらとどうした?どうした?と集まってくれた8人の人・・・
(実は牽引ロープで車とバイクをつないでいたので物理的に通れなかったって事もあるのですが・・・)
8人がかりで私のニンジャは無事道路に戻されたのです。
もうなんとお礼を言っていいのかわからない。
人の優しさってこんなにも暖かいんだと
縁もゆかりもない見ず知らずの自分に対して泥だらけになって助けてくれた皆さん。
本当に感謝しています。
幸いにもニンジャは左側前後のウインカーを潰しただけで、そのほかは異常ありませんでした。
しばらく置いたらエンジンも無事掛かり事なきを得たのです。
この時は動揺からか・・・この場所に私のグローブを置き忘れてきています。
今でも石鎚山のどこかに私のグローブが~
帰りは素手で高速・・・
これ結構きついです(笑)
今でもこの時助けていただいたご恩は忘れていません。
ですが、どこのどなたなのか聞く間もなく、皆さんは
「気をつけていけよ」
と言葉を残し去っていかれました。
自分の無力さを思い知り、人の温かさに触れた瞬間。
この温かさ・・・
機会があるのならば誰かにおすそ分けしたいと思いながら日々
車やバイクを運転しています。
困った時はお互い様。
私も以前優しくしてもらったから・・・
助けることが出来る立場なら全力で~
って思っています。
でもなかなかそんな場面に遭遇しません。
困っていそうな人がいれば声をかけようとは思っているのですが・・・
まぁそんなにも困った人はいないに越したことはありませんけどね(笑)