最近、愚痴愚痴と愚痴ばかりをこぼしておりますが、
大概そういう時は、仕事がなんか行き詰まっているとか、
キャパオーバしている時ってこと。
そんなこんなで、日々デスクから離れられない生活を送ってるのですが、
土日も当然そんなです。
とはいいつつも、
土日休日の方が実は仕事はしやすくって、
なにしろ、お客からとか関係者からとかの横槍的な電話連絡等がほぼ無いからね。
特に複雑なまとめ事をするときなんかは休みの日にやるのが一番はかどるんですけどね。
それでも、窓の外に見える駐車場の車がほぼスッカラカンになっている様子を見ると切なくなるねぇ。
平たく言えば、ワガママか?
さてさて、
それはさておき。
アマゾンで偶然見かけて、思わず買った本が先日届いたんですね。
別に(相変わらず?)新しい本でもないんですけど、
「のらくろ幸福3部作」(本当にそんなタイトルだったのか?)
と括られた、のらくろのラストエピソードをまとめた3冊。
まぁ「のらくろ」って言って話の通じる人がどれほどいるのか分からないけど、
ほら、このブログってもう人が読む事を前提としていないから。
ただの愚痴日記だし…。
だいぶ前に
「「トキワ荘」無頼派 漫画家 森安なおや伝」
という本を買った時にも愚痴愚痴書いていましたけど、
知っている人は知ってるけど何の役にも立たない情報として、
その本に書かれていた
”森安直哉”
という人は、実は”のらくろ”の作者
”田河水泡”先生の弟子だった方。
とはいえ、個人的には森安先生の作品の方が叙情的で、優しい感じです。
田河水泡先生のマンガは割と過激で、その遺伝子は同じく弟子で
かの「サザエさん」の作者
”長谷川町子”先生の方が近い感じです。
さて、この「のらくろ」ですが、
作品シリーズ全容のについて知りたい方は、ググるなり都内のどこだかにある
のらくろ通りにでも遊びにって見てください。
実のところ僕もシリーズのすべてに目を通したわけではないのですが、
手元に数冊断片的にあるんですね。
大雑把に言えば、軍曹時代から大尉で退役するまでの話は手元にあるんです。
どうもその後、大陸に渡ってから帰国、
再び予備役召集で中隊長として前線に出る話があってから、
戦後の連隊解散で今回買った「幸せ3部作」につながるそうですので、
最初と途中が抜けているのね。
そのうち買うと思うけど。
で、今回のこの猛犬連隊解散後の話ですが、
初出から50年も経っておりますので、
(連載開始は昭和6年、最後期シリーズは昭和55年〜)
作者もそうとうお歳をめされた事もありましょうが、
なんともうら悲しい話になっておりました…。
中尉時代は豪勇部隊長などと呼ばれるほどの豪傑ぶりだったのですが、
退役後はただの無職の宿無しとして人生の再出発を目指して、
様々な職を転々とします。
それも職安に通いかつての部下や上司を頼って、選挙の手伝いやら保険の外交、旅館の番頭やら…。
何をやっても軍隊以外の世界を知らないのらくろには噛み合ない世界。
しかも世界観は時代に合わせて昭和40年ぐらいの設定になっていますから、
そのチグハグっぷりはとてつもないのです。
そして、その世界に描かれている町の治安の悪い事…。
スリにヤクザに詐欺師、強盗、タコ部屋とあの時代の暗い麺をなんのためらいも無く、
ストレートに描いていました。
かのヒーローがタコ部屋入りですからね。
当時読んでいた人からして見れば、おそらく相当のショックを受けるんじゃないかと思うほどの没落ぶりです。
この先も話が長いので花の写真でも入れておきましょかね(笑)。
さてさて、
ここで、この作品が描かれた時代背景を見返してみますと、
昭和55年頃と言えば、オイルショック後の割と世間は不景気な時期。
しかしながら、技術文化面では高度経済成長後の著しい発展による
価値観の変化が見られるころですね。
要は軍人が突如そんな時代へタイムスリップという感じです。
同じ頃、世間でのマンガのトレンドはというと、
週刊少年サンデーでは「うる星やつら」が人気絶頂期で、
週刊少年ジャンプでは「Dr.スランプ」が始まった頃です。
むりくり車ネタも押し込めば、アルファロメオは「Alfa6」などを出していたどん底時代。
そんな中、子供向けでもマンガ雑誌でもない
月刊「丸」で連載を受けた作者の心境はいったいどんなだったんだろうかと。
おっちょこちょいだけど、勇気と度胸は人一倍。
みなしごの野良犬から身一つで活躍を重ねての立身出世の物語など、
もはや受け入れられない時代にかつてのヒーローのその後の姿を描く事の意味ってなんだろうって。
現役時代、給料日には高級豚まんを山ほど食べての豪遊をして、
上官に叱られるエピーソドもありました。
それが、最後ページには黒のスーツに蝶ネクタイで、
肩をすぼめて手を前に重ねて見開きの画面の左隅にちょこんと佇んで、
「おなごりおしいけどこれが最後の場面です」
といわせた終わらせ方の何と寂しい事か。
士官学校を最優秀で卒業したにもかかわらず、
教養が無いと嘆いて、自殺未遂までさせている。
ふと思うに、
これはむしろ今平成のこの時代に良く似ているなと。
大企業でかつて「企業戦士」ともてはやされて、
中間管理職でバリバリやってきた定年間際のおじさんが、
突然の会社倒産でリストラされるというシチュエーションとそっくりだ。
最後に焼き鳥屋のおぎんちゃんと結婚して小さな喫茶店のマスターに収まるくだりは、
今でこそ「いいね」なんて言われる生活なのかもしれないけど、
1980年にそんなドロップアウト的な人生をヒーローの終着点としたのは、
こんな未来を見据えていたからなんだろうかと、
勘ぐってしまいます。
そういえばこの1年後に西武百貨店ではかの有名な
「おいしい生活」
なんてコピーを出してきていた頃ですね。
で、10年後にはバブル景気でグルメブームにジュリアナですよ。
さらにその後にバブル崩壊でそのまま今に至っているわけで…。
なんだか話がどこにむかっているのか分からなくなってきましたが、
読んでみていろいろと思わされる本でした。
たまには最近のマンガも読んだら?
ふと見上げたところにおわしたと部長に言われた気もします。
何か面白いのでもあればねぇ。