ねじの話。

先日、某ショップの某キットの付属ボルトが・・・って話を書きましたが






























なんでユニクロボルトじゃダメなの？って方もおられるかも知れないので

ちょっとだけ突っ込んだ話を書きます。




ユニクロボルトと書いてますが


「ユニクロ」はボルトの表面処理の種類です。


「ユニクロメッキ」や「光沢クロメート」、「シロ」と呼ばれる

少し青みがかった光沢のある銀色の処理です。


ホームセンターでよく売られている銀色のボルトはほぼこのユニクロメッキです。


処理コストが安くて、キレイに見えるので安価なボルトによく使われますが

金属の保護と言うより、見た目的な意味合いの方が大きいと言えるくらい

耐食性はよくないです。



あ、ちなみにクルマの足回りのネジによく使われるくすんだ銀色（というより灰色）の処理は

ダクロダイズドと呼ばれるもので、耐食性が良く、とくに塩分に対して強いです。





耐食性の低いボルトをハブ固定に使うというのはなかなかにチャレンジングですね。



しかし、それ以上に引っかかるのは強度区分の問題です。



ボルトはその用途に応じて、強度の区分けがなされています。



その使用区分として

・一般・・・基準Ｔ系列（強度区分4.6～6.8）　一般の締め付けトルク

・電子部品・・・0.5Ｔ系列（強度区分ナシ）　ネジに軽金属やプラスティックを用いた時など

・車両／エンジン・・・1.8Ｔ系列（強度区分8.8～12.9）　特殊鋼を用いた強力な締結、ボルトに付加的な動荷重がかかる場合

・建築・・・2.4Ｔ系列（強度区分10.9～12.9）　特殊鋼を用いた強力な締結、ボルトに付加的な動荷重がかかる場合


となっています。それぞれの区分で適用される締め付けトルクが異なるという事ですね。



先のボルトに関しては強度区分の表示が無いことから、絶対とは言えませんが強度区分4.6以下のボルトではないかと思われます。

（強度区分に関してちょっと調べてみましたが、表示をしなきゃいけない義務ってのが
見つかりませんでした。特注ボルトだと、強度区分を入れる入れないの指示が
可能だったりしますし。この辺はもし詳しく知っておられる方がいたら御教授願いたいですね。）

ソケットで締めた時にボルト頭にソケット痕が残る事もそれを裏付ける現象と言えますね。（特殊鋼を用いた高強度ボルトは固いので、上記の痕が残りにくい）



ですので、件のボルトは基準Ｔ系列、純正のボルトは常識的に考えれば1.8Ｔ系列であると思われますね。


ハブを固定するボルトはM12でした。系列を踏まえて締め付けトルクを検索すると


M12　基準Ｔ系列　　42.5N・m

M12　1.8Ｔ系列　　　76.5N・m


と、倍近いトルク値の差があります。


実際にスイフトスポーツのそのボルトの締め付けトルクがいくつかは、整備解説書を

調べてみないとわかりませんが、もしかするともうワンランク上の2.4T系列の可能性も

無いとは言えませんね。


M12　2.4Ｔ系列だと100N・mとなりますので、さらに差が大きくなります。





というか、




そもそもトルクレンチで作業した事のある人は理解できると思いますが

ハブ固定のボルトの締め付けトルクが43N・mとか、かなり不安になります。




もちろん、ボルトの素性をキチンと確認したワケではありませんので

ワタシの壮大な思い違いという可能性もゼロではありません。



あくまでもワタシは自分の判断で、自分の友人にこのボルトはダメだとアドバイスをしただけですので。




実際にはこのボルトは、ショップの作業によって100N･m以上のトルクで締められていました。


むしろ


ワタシの思い違いであってほしいと願うくらいです・・・・（＾＾；