2014年12月06日
前回のブログでは、ブレーキの基本原理的な理屈をこねてみましたが
今回はもう少し構造的な理屈をこねてみますw
VRのブレーキスワップで思いつく物をざっと挙げてみると
エボキャリ流用
レグキャリ流用
GTO流用
他社製流用
社外キャリパー
この辺でしょうかね。
比較の対象になるポイントを考えてみると
・対向か片押しか
・ピストンサイズ
・ピストン数
・キャリパー構造
・キャリパー材質
・ローター径
・ローター厚み
・ローター構造
・ローター材質
・1ピースか2(3)ピースか
等が考えられます。結構ありますね。
・対向か片押しか
純正やエボキャリ、レグキャリなどが片押しタイプのキャリパーですね。
ピストンがローターの片面にしか存在しないタイプが片押しです。
対して、ローターの両側にピストンが存在するタイプが対向タイプ。
対向の方が効くと言われてますが、一つのローターに対してのピストンの面積の総和が同じで
あれば、ローターにパッドを押し付ける力は同じ。よって摩擦力も同じとなります。
が!
実際にはキャリパーサイズが似たサイズなら、大抵ピストン面積の和は対向の方が大きくなるので
対向の方がより大きい摩擦力を発生させることになります。
それ以外にも、形状の問題で片押しタイプはキャリパー自体の剛性を強くしにくいので、
大きな入力に対してキャリパーが変形してしまいパッドに伝える力の一部が逃げてしまったり
構造的にパッドの引っかかりが対向に比べて発生しやすくなります。
マスターシリンダーのピストンとキャリパーピストンの面積の差が大きく取れる事で、ペダルの移動量に対してピストンの移動量が小さくなる(パスカルの原理)ので、微妙なコントロールがしやすいという利点がある反面、あまりにピストン面積の差が大きすぎるとマスターシリンダーの容量が足りなくなる危険もあります。
・ピストンサイズ・ピストン数
基本的に上の項で書いた面積に対する特徴と同じです。
ピストン面積の和が大きくなればパッドを押し付ける力は面積に比例して大きくなり
ペダル移動量に対してのピストンの移動量が小さくなります。
・キャリパー構造
ここで言うキャリパー構造は対向タイプの構造のことです。
真ん中で別れた部品をボルトで締結するタイプと、キャリパー丸々単一構造(モノブロック)のものが
あり、強度的に優れるのはモノブロックですね。キャリパーの変形による逃げを減らすことで
制動力の向上、コントロール性の向上が望めますが、作るのが難しいのでコストがかかり価格が
どうしても高くなりがちです。
・キャリパー材質
ザックリ言ってしまえば鉄かアルミかと言うコトですが
どちらもコスト、重量、耐久性、剛性などで一長一短あります。
・ローター径
ローターの径が大きいほど、制動力は大きくなります。
熱容量も大きくなるなど、メリットは多いですがバネ下でしかも回転する部分の重量増はクルマの
運動性に大きな影響を与えます。
さらに一般的には大きなローターほど高価になるのでコストの問題も無視できないレベルです。
・ローター厚み
厚みの増加は体積の増加ですので熱容量が大きくなるメリットがありますが
重量も増加しますし、何よりキャリパーで限界は決められていますのでむやみに厚く出来るものではありませんね。
・ローター構造
冷却性を上げるベンチレーテッドや逆ベンチレーテッド、ソリッドなどの種類があります。
ベンチ、逆ベンチはローターの中に空気の通り道を作り空気の流れを作ることで冷却性を高めたものです。ベンチレーテッドはローター裏中央付近から空気を吸い込むのに対し、逆ベンチはローター表面側に空気の取り入れ口があります。
ベンチレーテッドでもフィンの形状がさまざまなものがあります。さらにローター表面にガス排出用の溝を設けたもの(スリットローター)、孔を開けたもの(ドリルドローター)や、両方を組み合わせたものなどもありますが、こちらも一長一短です。
・ローター材質
ローターには鋳鉄が使われますが一般的なのはねずみ鋳鉄、CV鋳鉄、ダクタイル鋳鉄などです。
特性はこれも強さ、耐ひずみ性、耐摩耗性、コストなどでメリットデメリットがあります。
・1ピースか2ピースか
これも構造に入れても良いんですが・・・・
ローターが一体物か、複数の部品で構成されているかです。中央のベルハウジングがアルミ製のものはローター重量を軽減出来ますし、フローティング構造のものは比較的熱ひずみを起こしにくく、ジャダーなどを低減出来るメリットがありますが、基本的に高価です。
ホントは図解とか入れればもっとわかりやすいんですけどね。
絵書くのメンドクセェwwwww
Posted at 2014/12/06 23:54:56 | |
理屈っぽいシリーズ | 日記
2014年12月06日
ということで、理屈っぽいシリーズをみんカラへ戻してきます。
【復活】とある記事は、過去にみんカラに置いていた記事ですので、
見た記憶のある人も多いかと思いますが、現在は考えが変わってたり
知識の補充等によって修正してる部分もあると思います。
まぁ、その辺は気にしない方向でお願いします。
では、以下本文ですw
皆さんすでに十分ご承知だと思いますが
ブレーキはクルマを減速・停止させるための機能部品です。
クルマの持っている運動エネルギーを摩擦で熱に変換することで減速します。
乱暴に計算する場合
エネルギー保存の法則から、運動エネルギーを熱エネルギーに変換することで
運動を止めるわけですから、
運動エネルギー=摩擦で発生した熱エネルギー
となります。
運動エネルギーは下の公式で求められます。
K=1/2×m×(v×v)
K:運動エネルギー
m:物体の質量
v:物体の速度
他の要因を完全無視してますけど、要はクルマの質量が倍になればブレーキの熱量も倍増、
速度だと二乗で増えるってことですねwww
ディスクブレーキの場合、ローターをパッドで挟み込んで摩擦力を増やす事で熱に変換します。
摩擦力は下の公式。
F=μ×P
F:摩擦力
μ:摩擦係数
P:荷重
知ってる人は別として、
ここでアレ?と思った人はスルドイ!上の公式には面積が関係していません。
つまり、見かけ上はパッドの大きさが摩擦力に関係無いと言うのです。
でも、実際は大きいパッドで制動力が向上した経験がある人も多いと思います。
実は、面同士の摩擦であっても実際は面でキレイに当たってるわけではなかったりします。
その他の色々な要因が複合して条件を複雑にしているので、上の公式で簡単に摩擦力が
計算できないんです。
もう少し詳しく知りたい人は「摩擦係数 トライポロジー」でググってみてくださいね。
上の公式には出てこないけど、ブレーキが過熱すると効きが悪くなるのは皆さんご存知ですよね。
これはパッドの材質が温度が上がる事で摩擦係数が低くなってしまうことがまず一つ。
パッドに含まれる金属成分が増えるほど、上記の現象は起こりにくくなります。
二つ目にガスの発生により、ローターとパッドの間にガスが入り込み、パッドを押し戻そうとする現象。
ドライアイスを平らな板の上に置くと、少しの力で滑ったりしますよね?あれと同じような原理です。
ドライアイスが溶けて二酸化炭素が発生し、板とドライアイスの間に存在することで摩擦係数を下げてしまうからです。
ローターのスリットやドリルドはこのガスを排出する目的でつけられています。
つまりは、ガスが発生するほどのハードブレーキをしないのであれば、効きは変わらないという
ことになりますね。まぁ、カッコイイということであれば否定はしませんがw
三つ目はヴェイパーロック(ベーパーロック)現象です。ブレーキ周りの熱がフルードに気泡を生じさせて、その気泡が原因でピストンまで圧がかからなくなってしまいます。
油圧によるブレーキシステムはパスカルの原理を応用して人間がペダルを踏む力を
増加させてパッドなりシューなりを押し付ける力にしています。
意外にキチンと理解している人が少ないのですが、
力「だけ」が増えるのではありません。
例えば力を倍にしようと思えば、動く量は半分になるのです。
これは油圧に限りません。テコの原理でも滑車の原理でも同じです。
何かを増やせば何かが減るのは、大本のエネルギー量が同じならそれを何にどれだけ
振り分けるかを変換して必要な成分を増幅するシステムを理解していれば
至極当たり前の事です。
ガソリン1ccを燃焼させる時に必要な酸素量を超えた酸素は必要ないし
100%ガソリンを酸素と反応させて得られる熱量は決まっているのです。
燃料パイプに何かを着けたからといって燃費が・・・・おっと、誰かが来たみたいだ。
話が脱線しましたね。
とにかく、油圧によるシステム内に気泡が発生すると、縮む事の出来る気体が収縮する事で
油に圧がかからなくなり、ピストンを押し出す力が失われてしまうため、
ブレーキの役割を果たせなくなってしまいます。
誤解してる人を結構見ますが、ぺ(PE)-パーロックではなくベ(BE)ーパーロックです。
英語のスペルだとVAPER LOCKですので、ヴェイのほうが正しい発音に近いですかね。
運動を熱に変換する部品ですが、熱がいつまでも残ってると良い影響を与えないことはおわかりいただけるかと。
続くwwww
Posted at 2014/12/06 22:08:24 | |
理屈っぽいシリーズ | 日記
2014年12月05日
こんばんは。お疲れ様です。
以前にみんカラの外へお引越しさせた「理屈っぽいシリーズ」ですが
こっちに戻してこようと思っております。
理由は・・・・ネタ切れ なんて事はな、ないんだからねっ!
まぁ、以前とはココを見てくれてる方の顔ぶれも変わってるようですし
向こうだと閲覧制限かけてるので一度あげてしばらくしたら見る人もいなくなりますしねww
単純なコピペではなく、一度見直して修正すべきところは修正したいと思ってます。
ま、いくつも自分の文章をあげる場をもった所で、エネルギー使うのは
どこか一箇所になってしまうということがよくわかりましたww
そんなワケですので、お暇な方はまた見てやってくださいな。
Posted at 2014/12/05 23:36:05 | |
理屈っぽいシリーズ | 日記
2013年04月10日
先日のねじについてですが
興味ある人があまり多くないようですので終了にします。反応してくれた方はゴメンナサイ。
でも、前から書いているようにこういうネタって反応してもらって初めて続けて書いていく
モチベーションにつながるんですよね(^ω^;
ただ、前回きむ兄氏がいくつかの疑問を書いてくれたので、
僕なりの回答を書いておきたいと思います。
正直、僕もめっちゃ物知りなわけではないので
実際は答えが違うこともあるかも知れませんw あくまでも僕の解釈ってことで。
・エキマニやタービン止めるボルト・ナットは焼き入れしてある。。。
でも、使い始めて2~3日で焼きなまし終了するのでは?
マニやタービンは排気の熱をがっつり受けますが、それでも使用状況次第じゃないでしょうか。
焼きなましは変態点±50℃程度でしばらく(対象物の体積による)加熱したあと、炉内で
徐々に冷却(↓30℃/時間程度)しますが、冷却速度はもっと速いと思われるので
焼きなましになるかどうかは微妙な所ではないでしょうかね。
じゃあ焼き入れなのか?と訊かれると返事に困りますが(^ω^;
・キャップスクリュー(内六角ボルト)はその形状ゆえにヘッドがなめやすいのに
10.8~11.8の高強度ボルトであるのはなぜ?
強度区分はねじの材質による所が大きいですよね。きむ兄氏の言う通り、キャップスクリューは
ボルトの呼び径に対して回す構造部分のサイズが小さいが故になめやすいんですが
逆に考えると頭の構造上、硬質な素材を使わないともっとなめやすいとも言えます。
六角穴がなめやすいからSCM材で作る→結果強度区分が高めになると僕は考えています。
用途で言えば、頭の省スペース化を図りたい時や後から工具で回しにくい時に
キャップスクリューを用いますが、その時は締め付けトルクは少なめで済むように設計している
と思います。
・高強度ボルトと普通のボルト、ピッチが同じ場合があるけれどトルク管理で調整するって事なのか?
機械設計で言えばそういう解釈だと僕は思っています。
製造機械設計と車両設計だと重視する所が若干変わってくる
(省スペースだったり、重量的な面で)ので、僕らは高強度使うより素直にねじ径大きくするほうが
多いのでコレに関しては正直よくわからない所もありますが・・・。
・同じ強度のボルトでも使う場所によって締め付けトルクが違ったりするのはなぜ?
締め付ける相手によるんじゃないでしょうか。間に挟むものや、めねじ切っている素材の
形状や強度によって変えているのではないかと。
極論で言えば、めねじの素材が鉄かアルミかで変える場合もありますよね。
きむ兄氏の言ってる例がどういう状況なのかわからないので、もしかしたら的外れな話かも知れませんw
・車のハブボルト、日産1.25、三菱・トヨタ1.5とかピッチが違うけれど締め付けトルクは同じなのはどして?
これは日産と三菱で設定してる軸力(締め付ける力的なもの)がそもそも違うとしか
考えられないですよね。
軸力はピッチで変化しますから、締め付けトルクが同じならピッチが違えば軸力は違います。
この辺はメーカーごとにその軸力を定めた経緯が異なるためなんではないでしょうか?
こんなんで良かったんでしょうか(^^;
Posted at 2013/04/10 14:28:11 | |
理屈っぽいシリーズ | 日記
2013年04月09日
かなり久々の理屈っぽいシリーズです。
続くかどうかわかんないので、とりあえず例の置き場じゃなくてこちらにあげますね。
機構部品として考えた場合、クルマに欠かせないものの一つと言える「ねじ」について考えてみましょう。
ねじと一言で言っても、その種類はとても多くて
ここで全部紹介するなんて事は絶対に不可能ですw
一応、クルマによく使われるものをメインとして紹介していきたいと思います。
まず、ねじとは何ぞや?というところから。
・2つ以上の個別の部品の締結に使うもので、回転運動によって締結力を生み出すもの
何かと何かをつなぎとめる為に使う部品であり、
つなぎとめる力はそれを回すことによって発生するという条件がつきます。これが無いとクリップ類も
ねじの一種になってしまいます。
・回転運動を直線運動に変換するもの
これは文字通りの意味ですね。原則として可逆的な使い方(直線運動を回転運動に変換)は
しません。というか、ボールねじを除けば大抵できません。ですので、直線運動側からの
荷重で位置がずれると具合が悪い用途に用いられることも多いです。
クルマのパンタジャッキが良い例ですね。
さて、ねじという名称は上記のものの総称として使われていますが、
その種類で名前は色々あります。
ぱっと思いつくだけでも
ボルト
スクリュー
ビス
ナット
とあります。
一応おさらいとして書きますが
円筒や円錐の外側に螺旋構造があるものを「おねじ」と呼び
穴の内側に螺旋構造があるものを「めねじ」と呼びます。まぁこの辺はほとんどの人が知ってますね。
ボルト、スクリュー、ビスはおねじの種類を指す名称であり
ナットはめねじを指す総称です。
ボルトとスクリューの違いは
ナットと一緒に使うものをボルトと呼び、おねじ単体で使用するものをスクリューと呼びます。
ボルトとスクリューの定義は若干あいまいな所もありますね。
同じおねじでも、ナットを使って締結できるし、相手部品にめねじを切ってねじこんで使う事も
可能です。これだと使い方の違いで同じねじの名称が変わってしまうことになります。
明確な定義が存在するのかは僕も知りませんが、個人的にはナットで締め付けできるねじなら
ボルトと呼ぶことが多いと思います。明らかにナットを使えない(例えばタッピング系)などは
スクリューと呼ぶ方が正しい気がします。
ただ、タッピング系は頭が六角や六角穴付きより、+-の溝の方が一般的なので
下に書いているようにタッピングビスと呼ぶ方が多いですね。
ビスは比較的小さいサイズのねじで、頭の回す部分がプラス溝やマイナス溝などのものを
指して使う名称です。
今回はここまでです。反応が多ければ続けますww
Posted at 2013/04/09 22:09:28 | |
理屈っぽいシリーズ | 日記