北京モーターショーで思ったことの続きを忘れないうちに書いておこう。離れた場所から日本を見て心配になるのは、「技術のタコツボ化」という問題だ。個々の技術がばらばらに進んでしまっている。まとめ役がいて隣の部署と連携すれば、今までにない素晴らしい成果が得られるかもしれないのに。海外に行くと、あちこちに日本の部品サプライヤーの技術が用いられていることに改めて気付く。EVやハイブリッド車のバッテリー、燃費のいい新時代ターボエンジンのタービン……。部品サプライヤーはがんばっているのに、肝心の自動車メーカーの存在感は薄い。その理由は、大きな全体像を描けていないからではないだろうか。「こういう自動車、クルマ社会を築きたい」という大きな絵が政府にも自動車メーカーにもないから、それぞれの技術がばらばらに進んでしまう。カーナビが同じ運命を辿らないこと願う。つまり、カーナビメーカーがどんなに頑張ってイノベーションしても、それが社会の中で持つ意味がわからなかったらつまらない。ITSの話なんかは政治の分野になってしまうが、「カーナビでこういうクルマ社会を実現する」といったことを、カーナビのメーカーが発信してもいいのではないか。