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超七郎のブログ一覧

2015年10月01日 イイね!

RGQって、私のことなんですか? ~4.誠二(2)~

 シールドの隙間から吹き込んでいた、ピンと張り詰めた早朝の空気。ひとしきりなぶられていた頬の皮膚も、心なしか張り詰めたようになっている。ヘルメットを脱ぐと、髪の毛の隙間にこもっていた湿った熱気がそよ風に吹き払われて、心地よい。
 俺のNSRは朝練のひと走りを終え、今は静かにたたずんでいる。
 プルタブを開けていないコーヒーの缶を頬に当てながら、盗み見るようにして美奈子先輩の姿を視界に入れる。ヘルメットを脱ぎ、ぷはぁっと息をつきながら、軽く髪を振り乱すようにしている。彼女のいつもの仕草だ。

 まともになんて、見られない。朝日の中でまっすぐにきらめく髪、常に優しげに細められている目、あまり高くはない鼻、いつもにこにこと微笑みをたたえている唇、ところどころをパッドに隠された、革ツナギの描いているライン。そのどれもが、俺にとってはまぶしすぎるのだ。
 ましてや今朝は、宮田のやつがいない。先輩と二人の朝練は初めてでは無いけれど、俺はなぜかいつにもまして緊張していた。何を話したらいいのか、まったく分からない。

 ようやく思いついたこと。先輩は俺の事、そして宮田の事を、どう思っているんだろう?
 この際宮田の事はどうでもいいか。いやよくはないか。これは、場合によってはどうでもよくなくなる可能性があるな。
 もんもんとしていると、生唾が口の中に溜まってきた。飲み込む音が聞こえてしまうのではないかと心配になって、缶コーヒーのプルタブを引いた。
 コーヒーと一緒に生唾をごくりと飲み下すと、なにやら覚悟が決まっていた。俺は先輩に呼びかけた。

「……美奈子先輩」
 覚悟の割に、口からでた声があまりにか細くて情けなくて、俺は一気に意気消沈してしまった。やっぱだめだ、俺は。俺も宮田のやつみたいに、なんでもずけずけとものを言えればいいのに……。
「あ、あれから、先輩の言ってたこと、ずっと、考えてたんですけど」
 いくじなしめ。俺は胸の中で、自分に向かって呪いの言葉をはいた。
「あの、突っ込み過ぎって話なんですけど……。突っ込まない方が速いってのが、やっぱいまいちよく分からなくて」
 結局、俺はいつもの走りについての話に逃げた。それでも先輩は、いつものように目を細めて微笑みながら、優しく答えてくれる。せっかく身振り手振りまで付けながら説明してくれているのに、やはり俺は、美奈子先輩のことをまともに見られなかった。
 そんなことをしたらすぐに真っ赤になって、俺の気持ちなんか簡単に見透かされてしまうに違いないんだ。……すでに十分、見透かされているんだけどな。

 逃げた先の走りについての話だったが、それはそれでいつのまにか熱が入っていた。そして俺は、先輩からもらったインスピレーションを実際の走りの中で検証したくて、居ても立ってもいられなくなっていた。
 もう一本、先輩の走りを後ろから見させてもらえば、何かが分かるような気がした。例えまた、例の下って上る直線で、ちぎられるのだとしても。

 ところが、美奈子先輩は、思わぬ提案をしてきた。
「えっと、私の後ろに、乗ってみますか?」
 Vガンマのタンデムシートに手を置いて、言った。
 ……マジか!?
Posted at 2015/10/02 09:31:06 | コメント(0) | トラックバック(0) | 創作物 | 趣味
2015年09月30日 イイね!

RGQって、私のことなんですか? ~3.美奈子(2)~

3.美奈子(2)

「美奈子先輩」
 ある日の早朝、例によって小涌園の駐車場で缶コーヒーを飲みながらひとっ走りのあとの休憩をしていると、誠二クンがぼそりと私を呼ぶ声がした。
 今朝は崇夫クンは来ていない。崇夫クンは、時々朝練をサボる。と言っても、別にいつが朝練の日と、決めているわけじゃないけど。誠二クンは、私がいる時はたいていいる。だから、こうして誠二クンと二人になることは、わりとよくある。
「あれから、先輩の突っ込みすぎって言葉の意味を、考えてたんですけど」
 足元のアスファルトを見つめながら、誠二クンがぼそぼそと言葉を紡ぎ出す。
「突っ込まない方が速いってのが、やっぱいまいち理解できないっていうか」
 言いながら、首をうなだれて自嘲気味に笑う。
 誠二クンはまじめなタイプだ。こつこつ練習して、着実に上手になってきている。一方、崇夫クンの方は、感覚派というか、持ち前のセンスで走ってるようなところがある。
 私は、誠二クンのようなタイプには、わりと弱い。朴訥で、でも情熱はちゃんと持ってる。並々ならぬものを、内に秘めながら、でもちゃんと持ってる。
「うーん、そうですねぇ。競り合ってるようなときには、コーナー入り口でブレーキをこらえて、こう、相手の頭を抑えるように走ることは、ありますけどね……」
 弱くなってるところを気取られないように、わざとメリハリをつけた身振りを交えながら話す。
「でもそれは、最速ラインとはずいぶん違ってるんですよ。どんなにがんばって減速を遅らせても、タイム的にはたかが知れてます。それよりも、無理したシワ寄せがコーナー出口にきて、アクセルを開けるタイミングが遅れる方が、よっぽどタイムには響くんですよ?」
 私の説明を一言一句聞き漏らすまいと熱心に耳を傾けながら、なるほど、などと口の中で相槌を打つ。そんな様子を見ていると、私はますます弱くなって、ついひいきしてあげたくなってしまう。
「ええと……。一つ種明かしすると、誠二クンと崇夫クンは、いつもそれをやってるから、私との差が開いていっちゃうんですよ……」
 思わず口をついて出た言葉に、誠二クンははっとしたように上体を起こした。
「そうか。それじゃ、俺たちがそれぞれ単独で先輩に挑めば……!」
「ふふ。でも、私と誠二クンは、よく二人で走ってるじゃないですか。ほら、今日だって」
 誠二クンは、そういえば、そうだったぁ、などとつぶやきながら、またがっくりと首をうなだれた。
「ふふ、まだまだ負けるわけには、ね。でも、今日みたいな日がチャンスであることには、違いないです。競り合いラインとは別の、最速ラインを身につけるチャンスです」
 誠二クンの目に、にわかにぎらりとした光が宿ったような気がした。
「先輩、もう一本、お願いできませんか……」
 もう。そんな目で見るなんて。誠二クンちょっとずるい。
「いい、ですけど……」
 私の返答に、誠二クンは弾かれたように立ち上がり、ヘルメットとグローブを身に着けるのももどかしげに、愛車のNSR250R-SPに跨ろうとする。
「あ、でも」
 別に、例の約束がどうこうとか、その相手がどっちだったらいいとか、そういうことではないけれど。
「もし誠二クンが望むなら、私の後ろに、乗ってみますか?」

Posted at 2015/09/30 02:27:51 | コメント(5) | トラックバック(0) | 創作物 | 趣味
2015年09月29日 イイね!

RGQって、私のことなんですか? ~2.美奈子(1)~

2.美奈子(1)

 私が両手で同時に投げた二本の缶コーヒーは、それぞれ放物線を描いたあと、愛車を降りた崇夫クンと誠二クンの、グローブを嵌めた手で受け止められた。
「ふふ。まだまだ、ですねぇ」
 私が声をかけると、崇夫クンはちょっと乱暴なしぐさでグローブを外しながら悪態をついたあと、美奈子先輩速すぎですよぉ、とぼやいた。誠二クンは、黙ってグローブを外し、ヘルメットを脱いだけど、憮然とした表情だった。もっとも、彼はいつもそんな風だけど。
「あんまり遅いから、ほら、冷めちゃってますよ?」
 言いながら、コーヒーを勧める。二人は改めて缶を両手で握りしめたり頬に当てたりして、その温度を確かめ、それからがっくりとうなだれた。
「なあんて、本当は、あらかじめ買ってあったのを、ずっと革つなぎの中に入れておいたんですけどね」
 種明かしをすると、二人ともぎょっとしたように、まじまじと手にした缶を見つめた。

「それにしてもですよ、先輩なんであんなに速いんですか」
 小涌園の駐車場の輪止めに腰掛けて、三人で缶コーヒーを飲みながら、崇夫クンがお決まりの問いかけを投げてよこす。私はそれに、お決まりの答えを返す。
「私は、直線番長なだけです」
「んなワケないじゃないですか。先輩が直線番長だったら、誰が曲線番長やるって言うんですか」
 崇夫クン、時々精悍な顔立ちに似合わず面白いことを言います。
「ホントなんですよ。直線を速く走れない人は、峠を速く走れません」
「そりゃあ、そうかもしれないですけど」
 彼は、まだ納得がいかない様子。
「ん~、しいて言うなら、二人とも、直線の最後でがんばり過ぎてるんですよね」
「突っ込みすぎって、ことですか」
 誠二クンが、ぼそっとつぶやくように言う。
「なんだぁ、分かってるじゃないですか」
 私が言うと、誠二クンは、いえ、全然、とかなんとか、ごにょごにょ言いながら顔を赤らめた。
「若いから、突っ込みたくなるのは分かるんですけどねぇ」
「若いったって、先輩だって俺らのイッコ上じゃないですか」
 崇夫クンがふてくされたように言う。ほら、そういうところがいかにも年下なんです。今の私のボケをスルーしてるようじゃ、見込みナシと言われても仕方ないですよ。それこそオトナのツッコミ力が問われる場面だったのに、ねぇ。
「まあ、それはそうなんですけどね。でも、がんばるのは、そこじゃないんですよ。とゆーかですね、がんばっちゃダメです」
「ええーっ、もう、ワケわかんないっすよ。先輩、ホントは俺らに速くなられちゃ困るから、そんなこと言ってんじゃないんですか」
「そんな、心外です」
 私は心底、二人にはうまくなってもらいたいと思っている。
「だってほら、あの約束が・・・・・・」
 言いかけて、崇夫クンは黙ってしまった。
「え、どの約束ですか」
 私はとぼけて知らない振りをした。
「いや、あのほら、もしも俺らのどちらかが、先輩を抜くことができたらって・・・・・・」
「できたら?」
「その時には・・・・・・」
「その時には?」
「もう、いいですよ」
 崇夫クンは怒って横を向いてしまった。ちょっと、意地悪しすぎちゃったかな。
「あ、まさか……」
 崇夫クンは、はっとした様子で顔を上げ、こっちを睨み付けるようにした。
「忘れちゃったんじゃないですよね!?」
 崇夫クンが詰め寄ってくる。誠二クンもヒトゴトならぬまなざしで私を見つめてくる。ああ、いっそもう二人とも、そのままキスしてくれたっていいのに。私はついそんなことを考えてしまう。
「忘れてませんよ」
 身をよじりたくなるのをぐっとこらえて、私は澄まして答える。二人は安堵のため息をつき、互いに牽制の視線を飛ばしあい始めた。
「でも、あなた達が突っ込み重視でいるうちは、私の唇は安泰ってわけなんですよねぇ」
 私は何だか複雑な心持ちがしたけれど、先輩らしく二人に笑って見せた。
Posted at 2015/09/29 00:38:19 | コメント(5) | トラックバック(0) | 創作物 | 趣味
2015年09月28日 イイね!

RGQって、私のことなんですか? ~1.誠二(1)~

<登場人物>
星川美奈子 19歳 RGV250Γ(白・青)
宮田崇夫  18歳 TZR250(白・赤)
鈴木誠二  18歳 NSR250R-SP(白・銀)

<舞台背景>
公共交通機関網の整備が行き届き、わざわざ自分で車を運転する人の数が減り続けている社会。温暖化が進み、冬季でも路面凍結はかなり標高の高い地域でしか起こらなくなっている。
どこか見覚えのある国の、どこか見覚えのある時代のお話であっても、それらは本作とは一切関係ありません。


1.誠二(1)

「よし、今日もいつものルートを1周、いくぜ?」
 宮田崇夫がそう言って、グローブを嵌めた右手でフルフェイスヘルメットのシールドを閉め、親指を立てた。俺もシールドを閉め、同じように親指を立てた。
 平日の午後9時を過ぎた箱根は、車通りもすっかり絶えて、軽く攻めるにはちょうど良い。俺のNSRと宮田のTZRの間では、美奈子先輩のRGVガンマが乾いたアイドリング音を響かせている。美奈子先輩がタンクに両手をついてうつむいている姿は、見慣れているはずなのになぜかいつも胸を衝かれる思いがする。本人は、ただ集中力を高めるための仕草です、なんて言っているが、俺には何かに祈りを捧げているかのような、そう、それは神聖な儀式のように思えた。

 美奈子先輩が、両手をゆっくりとタンクから離し、両のグリップに乗せた。そしておもむろにクラッチレバーを握る。美奈子先輩の左足のつま先がシフトペダルを蹴ると、カコッという音と共にギアが一速に落とされた。それを合図に、俺も宮田も、ほぼ同時にギアを一速に入れる。RGVガンマのエンジンが回転を上げ、排気音がそれにともない高まる。スタートの合図は、美奈子先輩のクラッチリリースだ。

 美奈子先輩のガンマは、軽くフロントを上げながら箱根小涌園の駐車場から飛び出して行き、直後、車体を右にバンクさせて国道1号線を芦ノ湖方面へと向かわせると、みるみるうちに速度を乗せていった。だが俺と宮田もほとんど遅れずに、美奈子先輩のテールランプを視界の近いところに捉えつつ追っていた。
 スタート時イン側にいた宮田が、俺の前に出ていた。だが、この程度の差はあってなきがごとしだ。実際、次のヘアピン気味に曲がる左コーナーで、ラインをクロスさせた俺がインを取り、宮田の前に出た。次のコーナーでは宮田が、そしてまた次のコーナーでは俺が前に出る。抜きつ抜かれつ。いつもの通り。そして、その頃には美奈子先輩のテールランプは、視界の遠いところへ離れている。これもまたいつもの通り。
 少し下るとガソリンスタンドのある直線に出る。そっからは伏せに伏せ、全力加速だ。千切れよワイヤー、とばかりにアクセル開けてるのに、美奈子先輩には全く追いつかないばかりか、差は広がっている。膝の下で喘いでいるNSRのエンジンに向け、胸中で呪いの言葉を吐く。くそ。もっと回れよ。
 長い直線の中間地点で、下り坂は上り坂に切り替わる。行く先を見上げると、ちょうど美奈子先輩が次のコーナーの向こうに消えて行くところだった。

 俺たちがいつも走るこのコースは、箱根小涌園からスタートして、国道一号線から芦ノ湖手前の県道75号入り口で右に折れ、そこから芦ノ湖を左手に見つつ箱根園を通り過ぎ、元箱根から千石原、早雲山、二の平を抜けて小沸園前に戻ってくるというものだった。俺も宮田も、このコースを一周する間に美奈子先輩の前に出ることを目標に定めてはいたが、当面のところ、どれだけ離されずについて行けるかというお話より先に進めるめどは立っていない。

 俺らが息を荒げて小沸園に戻ってくると、美奈子先輩はすでに涼しい顔で缶コーヒーを飲んでいた。俺らに缶コーヒー1本ずつを投げてよこすと、いつものにっこり笑顔で、
「うーん、まだまだ、ですねぇ」
と言った。

Posted at 2015/09/29 00:00:56 | コメント(0) | トラックバック(0) | 創作物 | 趣味
2015年09月09日 イイね!

ストリートトリプルRのプラグ交換の後のバッテリー交換

ストリートトリプルRのプラグ交換の後のバッテリー交換
お逝きになられていたバッテリー。
その交換のために注文したリチウムバッテリーはとても軽かった。
騙されたかと思うほど軽かった。
しかし取り付けてみるとセルは元気よく回り、エンジンはすぐにかかった。
良かったよかった。




互換品だから当たり前だろうが、サイズは同じ。




かかった。




よかった。




ちなみに交換したプラグはこれ。
イリジウムにこだわりはないが、モノタロウで値段的にいい感じだったので選んだ。

低回転域でのバラツキは無くなっているようだ。
雨は上がっているので、1年ぶりに少し乗って来ようかな?笑



Posted at 2015/09/09 18:34:32 | コメント(8) | トラックバック(0) | 日記

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「[整備] #SR400 トップブリッジ及びステム交換 https://minkara.carview.co.jp/userid/579192/car/3129258/6502682/note.aspx
何シテル?   08/14 09:28
Super7を手放した今、超七郎というHNを名乗るのは気がひけないでもないのですが。現在の愛車はMAZDA AXELA XDです。
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みん友が側車外した単車を譲ってくれることになり、現在コツコツと整備中。
ヤマハ YB-1 YB-1 Four (ヤマハ YB-1)
10年ほど放置していたものを整備し復活させた。
ホンダ ライブディオ Live Dio S (ホンダ ライブディオ)
数年前、みん友のつてで譲っていただいたものを修理、整備して乗れるようにした。

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