先日、
岩手サンマリノ4h耐久にて、久々にカートを乗りまくりましたが・・・その際にはっきりと感じたのは『カートと4輪は全く別の乗り物である』ということ。個人的には、カートの練習を幾ら重ねても、4輪に対して『乗り方』の応用はほぼできないだろう・・・と思います。
カートはリアタイヤをインリフトさせることにより、曲がっていく・・・いわば『リアステア』の状態でコントロールしたほうが速い乗り物。ギアチェンジもなく限られたEgパワーに対して絶対的なグリップ力を持つスリックタイヤを履き、ラインをコントロールして『どれだけ失速をさせずにコーナーを駆け抜けられるか?』がタイムアップに重要な鍵となります。
それに対して、4輪は5~6速のミッションを持つため、Egパワーを有用に活かすことができます。そして、車体の大きさ/重さに比べると、ラジアルタイヤのグリップ力は低い。従って、カートのように『タイヤを横方向に使って乗る』のではなく『タイヤを縦方向に使って、V字コーナリングした方が速い』乗り物なのではないか・・・と感じます。要は『ブレーキングとトラクションのかけ方』がタイムアップに重要になる乗り物。
『えぇっ? そんなこと言ったって・・・カートやってる奴は、4輪に乗せたってすぐタイムをだせる奴が多いじゃん!』と思われた方も多いのではないかと思います。えぇ、まさにその通り! 実際、自分もそう思いますし、有名レーシングドライバーはカート出身者が多いですよね。
では何故、カーターはカート未経験者に対して、4輪を速く走らせるのに到達する時間が短くて済むのか?
それは『カートの運転技術』を4輪に応用できる・・・わけではなく、『失速させるポイント、失速させないポイントを見極める』という思考方法に由来してくるのではないでしょうか。自分がそれを強く感じたのは、先日のサンマリノGP4h耐久レースでの『アクアミネラーリ〜ミラボー攻略』でした。
サンマリノGP コースレイアウト posted by
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アクアミネラーリは複合コーナーになっているうえ、ミラボーまでコース中2番目に長いストレートを形成しています。従って、アクアミネラーリの立ち上がり方は裏ストレートのトップスピードにも関与、ラップタイムに影響してくるポイントになります。
にも関わらず、レース中に他の参加者さんが多くとっていたのは(↓)のライン。恐らくですが、コーナーを速く抜けようとするあまり、青点ポイントをクリッピングポイントとしてコーナリング。どん詰まりになった水色ポイントにて失速せざると得ない・・・というパターン。このラインではミラボーまでのトップスピードは望めません。
アクアミネラーリ攻略-3 posted by
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同じ事をやっていてはオーバーテイクできないので、自分は(↓)のオレンジポイントにてしっかり減速、そこでクルマの向きを変更。そして、クリッピングポイントを青点ポイントより若干奥に存在する赤点ポイントに変更、ミラボーまで直線的に立ち上がるラインを選択。
(↑)の青ラインとは異なり、(↓)の赤ラインではクルマの向きが既に出口を向いているため、クリッピングポイントではアクセルベタ踏みが可能です。それにより、ミラボーまでのトップスピードを高めにすることができ、オーバーテイクに持ち込むことが可能になるわけです。
アクアミネラーリ攻略-4 posted by
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クルマが好きな方であれば、CP(clipping point / 最内接点)という言葉は聞かれたことがあるだろうと思いますが、DP(dropping point / 速度最下点)という言葉はあまり馴染みがないのではないでしょうか。要は『コーナーのどこで一番スピードを落とすの?』という考え方です。
上記のようにDP(図のオレンジポイントと水色ポイント)を変化させることにより、その後のトップスピードの伸びで前のクルマに並びかけ、オーバーテイクに持ち込むことができます。4輪でも拮抗した戦闘レベルのクルマである場合は、有効な考え方、テクニックではないかと思います。
このアクアミネラーリの例はほんの一例にすぎませんが・・・これが『失速させるポイント、失速させないポイントを見極める』という思考方法です。カートは4輪ほどそれぞれのクルマに戦闘力に差がないため、このような事を行って何とかオーバーテイクを狙ったり、タイムアップするしかありません。
4輪とカート。乗り方が全く異なる2つの乗り物ですが、タイムアップを狙ううえで『不必要に失速をさせない』事は非常に重要と思います。しかし、カートに比べて4輪は、デフの効果があるからなのか・・・『どこで失速しているのか?』が非常にわかりにくい印象です。これでは『そのラインを選択する理由』があやふやになりがち。
カーターはこれまでの経験値を活かし『失速させるポイント、失速させないポイント』を見極め、ラインを選択してきます。技術ではなく、思考の問題。これが『カートやってる奴は、4輪に乗せたってすぐタイムをだせる奴が多いじゃん!』への答えになるのではないかと・・・思います。
あー、今回のテーマ・・・昨年12耐で初めてロドスタに乗せてもらったときから、ずっーと疑問に思っていた事だったのですが、ちょっとすっきりしたかも♪ 今後、4輪がもっと上手くなったら・・・また考えが変わる可能性もありますけどね。(^^;)
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Posted at
2011/09/04 11:41:04