
先週末は所用があって、夜の大黒PAへ。
ひさびさにケイマンを出したので、最短距離で大黒PAではなく、第三京浜 → 釜利谷JCT → 湾岸線の
ちょっと遠回りコースを選択。
“やっぱケイマンは淀みなくEng廻るよなぁ” なんて思いつつ、ひさびさに “気持ちの良いスピード” で走行していると、床下から “ガッ・・・、ガガッ・・・” と結構な音量の異音が発生。色々と原因を確かめているうちに、どうやら “ある一定速度以上だと異音がするが、速度を落とすと鳴り止む” ことがわかった。
で、PCに持ち込んで調べてもらった結果・・・
アンダーパネル-1 posted by
(C)ginapoolholic
アンダーパネルの一部に削れが認められ、パネルを留めるボルトが数ヶ所脱落していた。それで、パネルが風力で捲れて地面にこすれ、異音が生じていたのであろう。うーん、下回りをHitした覚えもないし、それらしき傷跡もなかったんだけどな。
ちなみに、アンダーパネルのボルトはプラスチック製&特殊ピッチであり、時々脱落が見られるとのこと。ボルトは新しいものを取り付けてもらうことにし、削れていたパネルの交換も考えたが、今回は交換せず。というのも・・・
一般車にアンダーパネルの意味ってあるの??と疑問に思っていたから。
例えば、
ラディカルのようなクルマで “グラウンド・エフェクトがー” とか言うのであればわかるけれども・・・ケイマンのように床下10cm前後もあるクルマが、そこから多大なグラウンド・エフェクトを得ているとは、どうにも考えにくかった。でも、実際にアンダーパネルは装着されている。ポルシェが意味のないことをやるとも考えにくいし・・・なんでだ?
ということで、“一般乗用車におけるアンダーパネルの役割” を調べてみた。
調べ物をする時にまず覗いているwikipediaには “アンダーパネル” という項目はなく、代わりに “
ディフューザー” がHit。そこには・・・
『一般的な乗用車の場合、車体下面には様々な部品が露出しているため、
気流の通過の妨げとなる。レーシングカーや高性能スポーツカーは車体下面を平滑なアンダーパネルで覆い、床下の気流を高速かつ低圧な状態に保つようにしている。』
とのこと。わかったような、そうでもないような感じなので、もう少し突っ込んで検索をしていると “自動車における空力開発と取り組み動向” という論文がHit。わかりやすかったので、そこから引用させていただく。ちなみに著者はトヨタの車両技術開発部主査の方で、プリウス開発時のことを書いているように思う。
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【自動車における空力開発と取り組み動向】
前田和宏 日本風工学会誌 第36巻第3号(通号第128号) 平成23年7月
※前半は抜粋としたので、全文を読まれたい方はこちらへ →
全文
・最も重要な特性の一つであるCD値(Constant Drag:空気抵抗係数)は、燃費や最高速、加速性能に大きな影響を及ぼす。
・平均的な乗用車における全走行抵抗消費仕事の内、空気抵抗の占める割合は約10%~20%である。つまり、空気抵抗を10%低減すると、1%~2%の燃費低減が可能となる。
・自動車における空気抵抗低減の取り組みは、主として以下の観点、各部位について実施されている(図5)。
(1) ボデー整流と3面流れ整合:ルーフ・側面形状
(2) 床下整流:地上高さ管理と平滑化
(3) タイヤ周り整流:バンパ・ホイル形状
(4) 冷却流れ(通気)最適化:エンジンルーム流入・排出形状
・自動車の特徴的な条件としてボデーが地表面に近接しており、車体と地面の間の流れが少なく後方での上面・下面の流れが非対称となる。そこへ側面流れが合流するため、3面の流れの整合を取ることが重要となる(図3)。
アンダーパネル-3 posted by
(C)ginapoolholic
【床下整流】
基本的な考え方は、流れエネルギーを損失させず車両後方に流し圧力回復させることである。そのために、まず床下構造・部品の地上高管理、次にカバーによる平滑面の拡大を実施する(図8)。
アンダーパネル-4 posted by
(C)ginapoolholic
空力基準ラインを設定し、燃料タンク高さを上げ、リアサスペンション地上高を前方のタンクよりも高く配置し、スペアタイヤハウス面をさらに上げることで、車両後方へ切上がるラインを構成する。ホイールベース間の切り上げは約0.5°、リアフロアの切り上げは約7°とし、車両パッケージと両立の中で圧力回復を最大限に狙った。
次に、車両構造での平滑化の難しい部分を、カバーを設置して平滑化する。エンジンアンダーカバーは、エンジンルームからの流れ吹出しも抑制し、大きな効果を発揮している。リアフロアカバーには垂直フィンを追加することでさらに整流効果を高めている。
また、タイヤ前スポイラ(スパッツ)を設置、タイヤでの乱れを抑制し、床下流れの悪化を防いでいる。これらの床下部品は、CD低減と共に高速走行時の走行安定性にも効果を発揮している。
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上記はプリウスの例だけれども、プリウスのCD値(Constant Drag:空気抵抗係数)は0.25と、ケイマンのCD値0.29より良い値をマークしている。高性能を追求したスポーツカーの場合、タイヤのグリップ力を高めるために、ある程度
CD値を犠牲にすることもあるので、この値を一概に比較することはできないのだけれど、プリウスの空力はかなり研究されているといえる。燃費のためなんだろうね。
以上より、一般車におけるアンダーパネルの役割は “CD軽減と高速走行時の走行安定性” に寄与していることがわかった。
また、今回のアンダーパネルの削れは “気流を阻害するレベルにはない” と判断、交換せずに様子見しようと思う。元々、完全Flatのパネルじゃないしね。(汗)
ちなみにレーシングカーのグラウンド・エフェクトも調べてみたが、アンダーパネルのみで発生する負圧はそれほど大きくないようだ。それよりも下面は凹凸を無くすことで気流を高速で流し、ディフューザーで負圧を発生させる方が効率的なのかもしれない。
アンダーパネル-5 posted by
(C)ginapoolholic
仮にケイマンのも完全Flatにしたら一定の効果が得られそうに思うんだけれど・・・上面気流と下面気流のバランスが崩れて、逆に抵抗になっちゃうんだろうか? Flatにするとパネル事態の重さとか排熱の問題、整備性の問題もあるし・・・難しいもんだなぁ。(汗)
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porsche | 日記
Posted at
2014/03/06 11:23:23