
さて、前回ブログにて『じなの黄旗無視によるペナルティ → 目標としていた総合10位には届かない結果となった』という
涙の報告をしたわけですが・・・そうガッカリしただけのレースでもなかったんですよ。
今年のJ's Racing、ここでは終わらなかった。チームとして『強くなったなぁ〜!』と感じられる一面もあるのです。
ペナルティストップが終了、再び走り出した時点で、ゴールまでの残り時間は・・・およそ4時間。順位は10位から36位まで落下。自分が順位を下げる原因となっておいてこう書くのも何なのですが・・・ペナルティが確定した瞬間、J'sの『シングルフィニッシュへの夢』は絶たれたわけです。
その現実を突きつけられた瞬間、ドライバー陣は気持ちが大幅に落ち込んでしまいました。
まぁそれだけ、J'sドライバー陣の『シングルフィニッシュへの期待』は大きかったですし、その為に様々な準備をしたと言っても過言ではありませんでしたから、ドライバー陣が自暴自棄な雰囲気になってしまったのは・・・良く理解ができます。
ただ、そんな雰囲気の中、しばさんと監督、T森さんから言われたのは・・・
『何、落ち込んでるの?レースはまだ終わっていないでしょ?』と。
そう、サポーター陣のほうが明らかに冷静でした。確かに当初の目標であったシングルフィニッシュは難しいかもしれませんが、去年の順位(総合16位)を超える可能性は・・・全くないわけではなかったのです。
『やるか、去年越え!』
ただ、いくら12hrも時間がある耐久レースとはいえ・・・レース後半では、ある程度順位が固まってきます。そこから順位を上げていくのは、レース序盤に比べると至難の業。
ということで・・・
『自分が可能な限り、順位を持ちなおす』ことで、ペナルティストップに対する『自分なりの落とし前』をつけさせていただこうと。
都合が良い考え方かもしれませんが・・・あの時、自分が『チームのためにできること』はそれしかありませんでした。そして、そうやって自分の気持ちを切り替えることができたわけです。
そうと決まれば、やるしかありません。
2012 idlers 夏の12耐 photo by くらたさん-1 posted by
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自分のペナルティストップを代行してくれ、それにより40番台後半まで落ち込んでいてもおかしくないところを、36番まで回復してくれたyoyoさん。そこから13も順位をUPして帰ってきてくれたみずぴーさん。そして、sr-4さんは25位から17位までUP、去年の結果である『総合16位』はもう目前。
そう、自分にたすきが戻ってきたときには、各ドライバーのお陰で『17番』まで改善してくれていたのです。
『何とか去年より上の順位でFinishしたい!』と思いつつ、自分が乗り込んだ12スティント。この時点での残り時間はおよそ80分。ドライバーは1人60分までしか乗車できないルールがあるので、J'sは12スティントではFinishまで到達できず、どうしても13スティント目が必要な状況。そして、どう贔屓目に見ても・・・残り時間に対して、十分なガソリン量ではありませんでした。
ここで・・・J'sは、チームとして『どちらかの作戦』を選択しなくてはならない状況に。
ひとつは『Revを上げて12スティント目を攻め、12→13スティント目に給油する』作戦。もうひとつは『Revを下げて燃費走行でFinishまで持たせる』作戦。
給油した方が『気持ちよく攻めきれる』が、給油ストップで『必ず止まっていなくてはならない5分間』は2ラップに相当する時間で・・・かなり痛い。そして、仮にSCが途中で入ってくれば・・・この作戦はオジャン。反対に『Revを下げて燃費走行』はうまく順位を保てるかもしれない・・・が、Finish直前にガス欠ストップのリスクがつきまとうのです。
一長一短。どちらの作戦を選択するにしても・・・相当迷う状況。
とりあえず・・・コースに出た自分は、6000rpmにRevを設定。チームからの連絡を待ちつつ、周回を重ねていた。そんななか、背後から♯70 KTNSさんのNAロードスターがチラチラと。
♯70 KTNSさんは、その時点の総合順位で自分たちのひとつ下に位置していたチーム。そして、同じロードスター、同じNAでのエントラントとして・・・負けたくないチーム。同ラップなので、是が非でも、抜かせるわけにはいかない相手。
不安を感じたその直後に、ピットからの連絡。
監督:どう? 燃料、最後までいけそう?
じな:後ろから♯70 KTNSが迫ってる! 燃料セーブしたら、負けちゃうよっ!
監督:わかった。ちょっと、こっちで相談する。
クルマの動きを見ていると、KTNSさんは燃料に余裕がありそう。コーナー出口での加速が、うちより明らかに鋭い。先に行こうとするKTNSさんの鼻先を露骨にブロックしつつ(KTNSさん、ゴメンなさい!(^^;))、可能な限りブレーキを遅らせ、ボトムスピードを下げないように努める。
あーぁ、今頃ピットでは侃々諤々で皆やりあってるんだろうな・・・なんて思いつつ、自分はKTNSロードスターの動きを見張る。
ピットでJ's首脳陣が導き出す答えは・・・おそらく『Finishまで給油なしのstay』。監督、みずぴーさん、しばさんの性格を考えると・・・おそらくそうなるだろう、と。ここでゴネたら『何のために
春の3耐アンカーをやらせたと思ってる?』と怒られるに違いないわけで。
となると、自分は・・・可能な限り燃料をセーブしつつ、KTNSロードスターの猛攻を凌がねばなりません。6000rpmの縛りを解除すれば、彼らを引き離すことも可能でしょうが・・・様々な制約の中で、ベストの結果を出すのが耐久レース。ここで自分に甘えるわけにはいかないのです。
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KTNSさんを何とかブロックしつつ、走行を続けると・・・前方に周回遅れの群れ。速度差があるクルマの間をかいくぐりながら・・・一台のミニをKTNSさんとの間に挟み、そのまま逃げ切る。これは、昨年
スーパーアングリチームとのバトルで習った方法。
その集団を先に抜け、コーナーを幾つかクリアしたときには・・・背後にKTNSロードスターはもう見えなくなっていました。
『あぁ、何とか凌いだよ・・・。』と、ほっと一息ついた瞬間、ピットから再度連絡あり。
監督:何とか・・・最後まで、その燃料だけで走りきってくれない?(半泣き)
じな:わぁーーたよw。たぶん、そういうと思ったしwww。
予想した通りの指示。インカムがなくたって、皆が考えていることは何となくわかる。これってもしかして『チームの絆』というものなのかな?
あぁ、KTNSロードスターとのバトルで調子に乗ってRevを緩めなくて良かった。後日聞いたところによると・・・監督、みずぴーさん、しばさんは喧嘩一歩手前までやりあっていたらしい・・・です。レース中、その光景も何となく頭に浮かんで・・・思わず、ヘルメット下で一人苦笑い。
その後も淡々と走行。夕暮れに差し掛かっているため、もう暑くはなく、自分の気力、体力ともに、ほぼ低下もなし。春の3耐では先に燃料を使いすぎて、最後はジリ貧な状況に。今回は早めの燃料セーブ、ベストラップから10-15秒落ちをキープ、ラスト15分前まで様子を見て燃料が余りそうだったら、再びペースアップしよう・・・と、自分の中で方針を決定。
丁度その頃、12スティントの60分が終了。一度ピットインして、J'sロドスタから降り、再びすぐに乗車。これで規定はクリア。再度コースイン。残るは『20:10』のゴールまで・・・J'sロドスタを導くのみ。
19:50。燃料系の針は・・・グングンと低下。そんななか、背後から特徴的な4灯のライトを確認。再び『♯70 KTNSロードスター』が迫ってきていたのです。しかし、J'sにもう抵抗するだけの燃料はなく、裏ストレートであっさりとオーバーテイク。これでJ'sは順位がひとつダウン。でも、この状況で今やらなければならないことは・・・ちゃんとゴールまでJ'sロドスタを導くこと。
各車のライトで照らされたアスファルトを睨みつけながら、暗闇のなかを突き進みます。Finishに向けて猛然と追い込みをかけるチーム、既に残燃料が少なく、回転を絞りきって何とかゴールを目指すチーム・・・各々に大きな速度差はありますが、皆目指しているのは『20:10のFinish line』。
12h+10min走り続け、満身創痍で迎えたFinish line。チェッカーフラッグを無事にくぐり抜けられた時には・・・本当にホっとしました。
2012 idlers 夏の12耐 photo by みずぴーさん posted by
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J'sのピットが見えた瞬間の安堵感から、クルマの中でちょっと泣きそうになったのは・・・ここだけの内緒です。(^^;)
2012 idlers 夏の12耐 photo by みずぴーさん posted by
(C)ginapoolholic
12スティントでは22位→20位、13スティントでは20位→21位。結局、去年の『総合16位』にも届かない結果となってしまったわけですが・・・後半ズルズルと順位が低下していった昨年に比べ、今年はトラブルをものともせず、ここまで順位を改善することができたのは、J's Racingというチームが『2011年より一回り強くなった証拠』ではないかな?と素直に思えます。
そしてそれは、2012年のJ'sに関わった者として『純粋に喜んで良い事』ではないか?と、レースから2週間が経過した今、そう思えるようになりました。(^^)
で、2013年。今後に関しては、まだ体制が未確定なのですが・・・自分の中では『ある決断』を一つしました。その内容に関しては、きっちり決まった段階でお話しようと思います。
*Special thanks:
J'sロドスタの写真を撮っていただいた
くらたさん。お写真使わせていただきました。多謝!(^^)