2021年04月10日
クルマに限った話ではありませんが、塗料というのは薄く塗るもんだ、とは良く聞く話です。塗料が濃すぎるとムラになりやすいですしね。
そうして適正濃度に調整された塗料を更に微粒子にして塗装できるベル塗装機とかを使い、年間を通じて完全調温・調湿され、ホコリの入らないように密閉された塗装ブースで塗料を帯電させた上で塗る訳です。環境への影響を考えると出すぎるミストも出来る限り抑えたい。だから水性塗料を電着させる。年間生産台数を考えるとクルマに引っ付かずに無駄になってしまう塗料の量もバカになりませんし。
ただ焼き付けによる塗料硬化は物凄く長い電気炉が必要でしょうから、それを考えるとこれからは化学反応で硬化する塗料に変わっていくのかな?という気もしないでもありません。知らないけど。
塗装によってクルマの仕上がりが随分違って見えますからメーカー(クルマメーカーは当然、塗料メーカーや塗装設備の機械メーカーとかも)も塗装には敏感です。とは言っても、生産者側がよってたかって全集中で塗られた塗料の膜はせいぜい0.2mm程度の厚みしか無いそうです。この厚みの中に努力の成果が凝縮されていると考えると胸が熱くなります。
まあ、軽は塗膜が薄いから気を付ける、とは鈑金屋さんからも耳にする言葉ですが、マツダやホンダ辺りも車窓から見える駐車場の風景を見る限りでは随分とボンネットや屋根が禿げているクルマが多い気はします。ただ気を付けなければイケナイと思うのは、メーカー純正でそういう仕様である事もあるのでしょうけど、それ以外に補修の結果そういう結果を招いてしまった事も少なくないであろう事です。要は腕の悪さが招いた結果かも知れない、と。
昔、ハイエースをカスタムしている業者さんが塗装にいちいちクレームを付けてマスキングテープだらけになったクルマを戻してきて「ここ、クレーム。塗装し直して。」って言ってきていました。まあ台数が多かったので黙認していたようですが、車輌搬送その他を手伝わされる側としては正直「ハイエースはセンチュリーじゃねーんだよ」って思ってました。しかも塗装し直した跡が後になって丸わかりになる可能性だって否定できない。
メーカー純正は安く上げてあるけどウチは一品モノの手仕上げ、とは腕自慢な工場の良くある口上ですが、その腕自慢な内容をつぶさに見ていると先ほどの全集中な塗装を生かす方向というよりはいきなり磨きを掛けちゃったりして台無しにしてるんじゃないかと思う事も、ね。
キレイな仕上がりの為には平滑な下地が重要な事はたしかですが、ゆず肌を平滑にする、という事はイコール0.2mmしかない塗膜のユズ肌分は削っているという事でもあります。新車塗装のユズ肌がダメだというなら平滑度を出す為のレクサスの5回塗りとかセンチュリーの7回塗りにメーカーがいくらコストを掛けているかを考えるのも良いんじゃないかな、と。
だから、せめてエッジになっている所はマスキングテープで保護するなりしているならまだしも、無神経にバフを掛けたとしか思えない仕上げを見つけると心が折れます。最悪エッジの所に下塗りの地が出されちゃったりね。経験させられた側は語る、みたいな。
下地仕上げの後に塗られるコーティング剤も、謳い文句は星の数ほどありますが果たしてメーカー純正塗料に比べてどれだけ良いモノなのか眉唾だと思っています。高価なのは生産量が少なければ当然そうなるし、工賃が高いのも1人がかかりっきりになってやってれば、そういう数字にもなる。
もちろん、お金を掛けるのは愛情の証でもありますし他人様の車で他人様の財布の事ですから、どういった扱いをするのかもこちらの知ったことでは無いのですが、手を掛けることがイコールそのまま良いこと、という図式はあまり信用しない方が良いかと思います。
ちなみに今まで見た補修工場で一番設備の整っていたのは某・巨大発動機の板金工場でしたが、いくら設備が整っていても、ってのはあります。まあ数こなしていけば上手くなっていくって事はあるにしても、あくまで工員本人の自覚の上で、という事もあるし結局、何度か修理に出してみないと何とも言えない。
逆に自称・腕自慢の町工場で今どき道路に面した露天の作業場でエアーガン吹いて塗料のミストを外に舞き散らしている工場がありました(流石にコレには目を剥いた)が、流石にここには修理は出したくないなあ。
ふとBOØWYの曲で「数をこなしているのとモテてるのとは違う」っていうフレーズがあった事を思い出しましたが、なかなかに現実は難しい様です。
Posted at 2021/04/10 14:36:33 | |
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2021年04月10日
先日、信号待ちしていたら車が燃えはじめた、という通報がありました。クルマ屋になって30年ですが直接のお客さんでの車両火災など初めての出来事です。予想だにしない電話口からの言葉に私の思考は一時ストップしましたが、それはさておき、とにかく現場に急行。到着後に運転手さんから聞いた話だと
クルマの火災発生に気が付いた直後、クルマを道路上に放置はせず、近くの周りに被害の及ばない所まで移動(というか元々ソコが当初の目的地だった)した後、車外に非難すると同時に貴重品は外に持ち出して車から離れて待機。
ココは大事な所ですね。
火災発生を確認したら現場に車を置いて車外に非難し、身の安全を確保する事が第一です。ただ、もし車輌の移動が可能なら、周囲に被害の及ばなそうな所にクルマを移動させ交通の流れを長時間阻害させない様な対処も大切です。道路を使用している人は1人だけじゃありません。現場付近に私が着いた時も、前方に見える消防車付近までクルマで行こうとすると通行止めされていてお巡りさんに止められました。関係者である事を告げても最初はお断りされるレベル。でいろいろ事情や関係を説明した上でやっと数十メートル戻った所にある公園の駐車場に車を止めて徒歩で行くことを許可されました。
直ぐに思いつく、お手軽なコンビニへの非難は道路上の他車の交通被害は避けられるかもしれませんが営業被害も相当なものになる可能性があります。こういう波及損害って対物とかの保険対応が可能なのかなあ?後で調べておきます。
未だ事件は終着していませんが、いずれにしても頭が痛く後味の悪い事件です。
Posted at 2021/04/10 12:57:59 | |
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