2019年03月15日
盗む奴が居るからカギも必要になり、解錠しやすいカギだと開けられてしまうから解錠されにくい様にカギの構造も複雑になってきました。例えばキーブレードの形やキーカットの数、溝そのものを掘る位置を変えてきたりとか。クルマだと見た記憶がありませんが家庭用だと防犯性の高いキーとしてディンプルキーとかね。配置や深さ・広さなど以前の製品レベルと比べると、こうしたキーは作成するのに非常に高い加工精度を要求される製品となっているそうです。
盗ろうとする奴が居るから守る為の対抗策が考案される。その結果、新たなカギが次々と開発されていきます。その一方でそんなカギが開発されれば盗もうとする奴は更なる対抗策を考えだすのが現実世界での出来事で、結局盗難被害はいつまでも続くイタチごっこ、というのが実情です。
さてさて、クルマ世界でのカギは常に上記のようなイタチごっこが繰り返されています。私の知る限りでは、先ずカギの機械的精度を確保する為に材質が改良されました。昔はキーブレードを長年使っているウチに鍵山や先端部が摩耗して材質の真鍮色が剥き出しになってくるのが常でしたが、いつの間にやらカギの色がややくすんでくる事はあっても以前のように明らかに摩耗部の色が変わっているカギを見なくなりました。
また、おそらくは材質変更と同時期の変更だったと思いますが、昔はディーラーの整備工場に鍵山をカットする為のキーカッターが常備されていたものでしたが、ある時からキーカッターとキー番号で鍵山の位置と高さ設定を割り出す為の組合せ表が工場から一斉回収されました。更に同じ頃に新車の鍵山の数を増やすという事も行われています。
イモビライザーが新車のカギに組み込まれるようになったのは、それからまもなくの事だったと思います。
イモビライザーって何?と聞かれれば、キーグリップの中に個別の固有信号が入ったICチップが埋め込まれていて、カギを差し込んで回す際に車載コンピューターとキーのICチップとで登録されている信号を照合するシステムの事です。で、信号が合致すればセルモーターが周り点火プラグで火が付けられ、めでたくエンジン始動と相成る訳です。信号が合致しない時は、セルモーターは回りますが点火プラグに電気が行かない仕組みになっていて、何度セルモーターが回ってもエンジンに火が入りません。
仮にカギを無くしたとかで新調した場合は、カギ固有の信号をクルマに登録しないとエンジンが掛かりません。
初期のイモビライザーシステムはバッテリー交換の際にバックアップ電源を繋いでおかないとイモビライザー情報もリセットされてしまったため、イモビライザーが入っている事を知らないメカニックがバックアップをしないままバッテリー交換をして「エンジンが掛からなくなった」と言って大騒ぎした挙げ句、新調したバッテリーまでダメにしてしまった、なんてお笑い話みたいな事がディーラーの工場の中で起こっていました。実際その現場を見てますしね。
たまたま通りかかった私が事情を聞いてイモビライザーの再設定の話をしたらキョトンとされました。で、めでたくエンジンが掛かる様になったセルシオでしたが、あれバッテリー容量の再チェックってやってから納めたのかなあ?
イモビライザーが全車展開される前から快適装備として採用されるようになっていたのがワイヤレスドアロックキーです。キーに付いているボタンを押せばカシャンとドアの施錠・解錠が出来る奴。アレも当初は結構長距離でも作動する設定になっていましたが防犯上の理由で作動距離が徐々に縮んでいき結局5~10m位で落ち着いたのかな、多分。たしかメーカーの説明だと2千台くらいの駐車場だと適合する車が他にも出てくる可能性があるとかいってたし。
その一方で今も昔も同じ車種・同じボディーカラーを選ぶ無個性なクルマ選びをされる傾向が皆さん相変わらずですから、大規模駐車場ではどのクルマが自分のクルマだったのか分からなくなってしまう事が往々にしてあります。こうした状況を受けて施錠・解錠時のアンサーバック機能も登場しました。今ではウインカーランプの点滅だけじゃなくてドアミラーが連動するものもあります。
そういえばワイヤレスドアロックが普及した後、ドアの鍵穴にカギを差し込むという行為が絶滅危惧行為になった為、廉価車だと助手席側のドアノブから鍵穴が消滅する事態が静かに進行していきましたねえ。
それでもしばらくはワイヤレスドアロックとカギ穴にカギを差し込んでセルモーターを回しエンジンを掛けるという行為はクルマに乗ってから行われる普通の儀式でした。この儀式を現在消滅「させた&させつつある」のがスマートキーの存在です。
カギをポケットから出す必要がないというのは、たしかに便利なシステムです。またポケットに入れたままクルマと信号をやり取りするので、イモビライザーで行っていたマスターキーかどうかの照合もカギ要らず。鞄の中やポケットの中にカギを入れたままで出す必要がありません。運転席に座ってやる事と言えば、ブレーキペダルを踏んでエンジンスタートのキーを押すだけになってしまったのが今時のクルマであり、スマートキーの存在する世界です。
ただ、便利な半面扱いに困る部分もあります。それはキーを無くしてしまった時。スペアが家にあるなら未だ良い方で、マスターキーしかない場合はどうするの?って事になります。みなさん気をつけましょう。特に中古車の場合はスマートキーの予備が無いことも多々あります。
もちろん複製は出来るのですがスマートキー本体は高価です。販売価格を抑えたい業者はわざわざスペアを作るなどという手間と予算を確実に惜しみます。新車ディーラー併設の中古車店だと必ず2つ揃えて販売する事をルール付けしている所もありますが、そうでない所も当然ながら存在します。ちなみに某首都圏ディーラーで「マスターキーしか無いのでスペアを作っておきます」と言われ、てっきりスマートキー本体をもう一つ作ってくれるものと思っていたら、引き取ってきたクルマに付いていたスペアはスマートキー本体のスペアでは無く、キーブレードのみのスペアキーでした。実例です。ちゃんと説明しろよって思いました。
で、そのスマートキーのある世界。
守る世界があれば、盗ろうとする世界もある。いくらクルマのキーがスマートキーに変わっても人の生活常識というか行動パターンまでは変わらないのが普通です。ぶっちゃけ、玄関にクルマのカギを置きっ放しにされている方が意外に多いのが実情です。
スマートキーは常に電波を出し続け、自分のクルマを探し続けています。という事は、スマートキーの電波を拾ってクルマに届ける事が出来る道具が揃えばスマートキーがなくともドアは開き、エンジンは掛けられるという事でもあります。盗もうとする側からすればガラスを割ったり鍵穴をこわしたりしてクルマの商品価値を減ずる事無く、周囲に不審がられる程に時間も掛からず音も出さずにクルマが盗めるのですから言う事はありません。リレーアタックという盗難手法がおそらくは盗難業界でもてはやされているであろう理由はそれでしょう。困ったものです。そもそも私の手元には盗られるようなクルマなど無いんですがね。
はてさてスマートキー。
スマートキーを空き缶の中にカギいれて密閉とか、電波を遮断するキーケースなどの対抗策もあるにはあります。でもそれは今までと比べると不便きわまりないと感じる方もあるんじゃなかろうか?とも思います。メーカーがどういう対抗策をとってくるのかに今は興味があります。どうするんですかね?
お手軽な対処法として思いつくのはスマートキーに電源オフのキルスイッチを付けるとか?そうなればスマートキーの電池の減りも抑えられるでしょう。あとは、お客さんにその改定が受け入れられるかどうか。ワリと個人的には注目している点です。
Posted at 2019/03/15 13:38:05 | |
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2019年03月08日
重厚な作りと圧倒的な質感の良さに感動した東洋エンタープライズ謹製バズリクソンズブランドのMA-1を初めて買ったのが多分平成17年末から18年頭頃の事だと思います。初めて手にしたバズのMA-1はウイリアムギブソンシリーズの第一弾でもあった「黒いMA-1」でした。
湾岸ミッドナイト外伝C1ランナーの中で「服は着てみなきゃ判らない」という台詞がありましたが、バズのMA-1はまさにその通りの逸品でした。
黒いMA-1といえばバブルの頃に大流行した、本物のMA-1には存在しないオリジナルの「なんちゃってMA-1」が分かりやすい所ですが、それらパチもののMA-1とは一線を画した非常に質感の高い光沢と厚みと、そしてずっしりとした重さがバズのMA-1には備わっていました。
なんたって貴重という文字は「重く・貴い」と書くくらいですから、やはりずっしり重いその衣料は持主にとって大枚はたいた金額分を補って余りある暖かさをもたらしてくれる衣料であったことは言うまでもありません。
その満足感の高さはそのこと以来、私にバズのフライトジャケットシリーズを買い漁らせる行動に出させたくらい強いものでした。ちなみに買ったのは基本新品か、新品同様の試着歴数回ありという程度のモノばかりです。
しかしいざ買おうと思っても残念ながら、私のようなデカい体格(190cm、78kg)だと上限サイズの44インチとかXXL位しか着られるモノが無いんですね。でも浜松のような地方都市だと比較的捌きやすそうな40インチやS,M,L位迄のサイズしか置いていない。という事で、主に首都圏のアチコチのお店から通販で買うスタイルに落ち着いたのですが、これが後に悲劇を招くことになろうとは神ならざる当時の私が知るはずもありません。
まさかと思っていた事が起こるのでした。舶来モノはこんな所まで壊れるのか。
オリジナルの衣料を忠実に再現しているらしいバズリクソンズのフライトジャケットにはクラウンジッパーと呼ばれる、当時使われていた仕様を忠実に再現したアルミ製のファスナーが使用されています。初期のMA-1シリーズなんかはそうですね。B-15CやL-2Aなどにはちっちゃなバネが仕込まれたスライダーを使っているアルミ製のファスナーがあります。
しかし。
コレが壊れるのです。
というか壊れました。
スライダーの引き手の部分が丸ごとゴソッともげてしまいました。最初に壊れたのが一番最初に買ったウイリアムギブソンシリーズ黒いMA-1のフロントジッパーのスライダーでした。次にB-15Cのフロントジッパーのスライダーに仕込まれていたバネが折れました。一昨日壊れたのがL-2Bの、やはりフロントジッパーのスライダー。もう勘弁してくれ。壊れないと書いているブログも今になって見ましたが嘘つけ。壊れてるよ、実際。
これどうしようかな。
バズリクソンズのカタログには「ウチは製造卸専門のため修理受付窓口が無いので購入店を通してください」という制約付きの持込ルートによるリペアサービスを行っている旨が書かれていますが、これが今になって仇になっています。今さらになって当時何処で買ったか覚えていないんですね。当然買う時は壊れるなんて思ってないし。
何店舗か購入歴のある店舗に問合せをかけていますが、ヒノヤには断られました。もう、あそこでは買いません。未だ返事待ちの店舗もありますが、仕方なければ浜松にもありがたいことにフライトジャケットの修理専門店があるので、クラウンジッパーにこだわらず修理して貰おうかと今は考えています。
Posted at 2019/03/08 19:47:45 | |
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