さて、井の頭線を筆頭にすっかり京王電鉄にハマってしまいました。
そこでポチってしまったのが京王本線で活躍している9000系です。
たまたまジャンク品の未組立品があったので入手したのですが先頭車のみ2両セットでした。
まぁ~中間車は先頭車よりも地味な存在なのでヨシとします。
しかもこの9000系の先頭車って元々前面が2種類も入っているんですね。
・幌用の枠がある地上用編成(左)
・幌用の枠がない地下鉄乗り入れ対応車(右)
さて、先頭車2両ですからどちらにして楽しもうかな?
そういえば妻板も前面と同様に地上用と地下鉄乗り入れ用が入っています。
また、さらに屋根板のクーラーも2種類あってまさにBトレ全盛期の商品だったんですね。
ちなみに屋根板は室外機ファンの形状が違います。
・9701~9706編成までの8両編成までは屋上集中式の48.84kw(42,000Kcal/h)(上)
・9707、9708編成と10両編成は同じ屋上集中式でも58.14kw(50,000kcal/h)(下)
そこで、今回は地上用編成の先頭車と地下鉄乗り入れ用先頭車として組み立てることにしました。
・地上用8両編成(9701~9706編成)「車番は9701」(上)
・地下鉄乗り入れ用10両編成(9730~9749編成)「車番は9781」(下)
いつも通り、下廻りのパーツのバリ取りも終わったところでようやく組立開始です。
と、言ってもまぁ~この部品点数しかないのでサクっと簡単に終わっちゃうんですよね。
そして老眼には難題のデカールを貼り付ければ完成です。
(どちらかと言うとこちらに時間が掛かります)
おぉ!前面の表情が微妙に違うあたりも玄人好みでとてもいいですね。
わざわざ前面・妻板・屋根板を作り分けていただいて本当にありがたい製品です。
どちらもあえて普通列車に充当して新宿と本八幡にしてみました。
妻板部もこの違いあるのでこちら側からも車両の特徴が出ますね。
・地上用は窓あり(左)
・地下鉄乗り入れ用は窓無し(右)
さて、それでは車両の紹介です。
=京王電鉄(9000系)諸元=
製造所:東急車輛製造・日本車輛製造
製造年:2000年(平成12年)~2009年(平成21年)
製造数:28編成264両(8両編成×8本、10両編成×10本)
運用開始:8両編成:2001年1月(平成13年)、10両編成:2005年(平成17年)
編成:8両・10両
軌間:1,372mm(馬車軌間)
電気方式:直流1,500V(架空電車線方式)
最高運転速度:110km/h
設計最高速度:120km/h
起動加速度:2.5km/h/S→3.3km/h/s ※のちに起動加速度が変更されています。
減速度(常用):4.0km/h/s
減速度(非常):4.5km/h/s
全長:20,000mm
全幅:2,845mm
全高:4,017mm(パンタ無し)、4,100mm(パンタ車)
車体:ステンレス鋼
台車:軸梁式ボルスターレス台車(東急車輛製造:TS-1014・TS-1015)
主電動機:かご形三相誘導電動機
主電動機出力:170kw(日立製作所:HS-33534ー02RBまたはEFK-K60)
駆動方式:WN平行カルダンドライブ
歯車比:6.07
制御方式:IGBT-VVVFインバータ制御(日立製作所:VFI-HR-2820、VFI-HR-1420)
補助電源装置:静止形インバータ(8両編成9706編成まで:170KVA、9707・9708編成:210KVA、10両編成:250KVA)
空気圧縮機:スクリュー式電動空気圧縮機(クノールプレムゼ:1,600L/min)
制動装置:回生ブレーキ併用全電気指令式空気ブレーキ(ナプコ:HRDAー1)
冷房装置:屋上集中式(8両編成9706編成まで:42,000kcal/h、その他:50,000kcal/h)
保安装置:京王形ATS・京王ATC・D-ATC(10両編成のみ)
=車両導入の経緯=
6000系の代替を目的にメンテナンス・ランニング・コスト低減を盛り込んで環境への配慮とバリアフリーも考慮した車両です。
京王電鉄では初めてとなるIGBT素子を使用したVVVFインバータ制御器を搭載しました。
2001年(平成13年)にはグッドデザイン賞も受賞しているんですね。
当初は都営地下鉄新宿線への乗り入れを考慮して8両編成8本には6000系・7000系との併結可能なシステムが搭載されたんですが、VVVFインバータがアナログ式ATC(自動列車制御装置)への誘導障害を引き起こす可能性が懸念されたために乗り入れが実現しなかったんですね。
その後、2005年(平成17年)になってATC設備が更新されて晴れてVVVFインバータ車の乗り入れが可能となりました。
そして2005年(平成17年)からは10両編成20本が製造されて乗り入れが始まったわけなんですね。
また、この10両編成は地下鉄対策基準に対応する必要があったので8両編成とは詳細な部分についてかなり異なっているんです。
=車両の特徴=
7000系・8000系に続いてステンレス車体を採用し20m級、両開き4扉、オールロングシートの通勤型電車です。
車体側面にはビードがなく、車体強度向上と軽量化のために戸袋窓も廃止されています。
車体側面窓は8000系と同様に2枚一組のサッシュレスの1枚下降窓なのですが、軽量化のために一部窓は固定式になっています。
地下鉄乗り入れ車両の構造規定に従って前面は貫通構造となっていて幅610mmの開き戸が設けられています。
一見平面にみえる前面ですが、じつは大きな曲面で構成されていて工作を容易化するために乗務員室扉部分までは普通鋼製になっています。
8両編成の前面には増結時の車両間移動を考えて正面貫通扉に幌を取り付ける台座が設けられていましたが、10両編成にはこの台座がありません。
また、正面下部のアンチクライマー形状も若干異なるようです。
車体側面も8両編成では車体の下部に傾斜が設けられましたが、10両編成では直線状になっています。
さらに客用ドア窓の支持方法も異なっていてかなり詳細な部分まで変更されています。
=編成表=
最初に製造された8両編成で2001年1月(平成13年)から営業運転を開始しました。
9707・9708編成では冷房出力を強化されました。「42,000kcal/h→50,000kcal/h」
またこれに伴い補助電源装置(SIV)の容量も170KVA→210KVAに変更されています。
←新宿 京王八王子・橋本・高尾山口→
・9701+9001+9051+9501+9551+9101+9151+9751 2000年竣工:日本車輛製造
・9702+9002+9052+9502+9552+9102+9152+9752 2000年竣工:東急車輛製造
・9703+9003+9053+9503+9553+9103+9153+9753 2001年竣工:日本車輛製造
・9704+9004+9054+9504+9554+9104+9154+9754 2001年竣工:東急車輛製造
・9705+9005+9055+9505+9555+9105+9155+9755 2001年竣工:日本車輛製造
・9706+9006+9056+9506+9556+9106+9156+9756 2002年竣工:東急車輛製造
・9707+9007+9057+9507+9557+9107+9157+9757 2003年竣工:日本車輛製造
・9708+9008+9058+9508+9558+9108+9158+9758 2004年竣工:東急車輛製造
8両編成に続き10両編成が2005年(平成17年)から営業運転を開始しています。
全20編成(200両)すべてが日本車輛製造で製造されています。
10両編成になって補助電源装置(SIV)の容量も250KVAに変更されています。
←新宿 京王八王子・橋本・高尾山口→
・9731+9031+9081+9531+9131+9581+9681+9231+9281+9781 2005年竣工
・9732+9032+9082+9532+9132+9582+9682+9232+9282+9782 2005年竣工
・9733+9033+9083+9533+9133+9583+9683+9233+9283+9783 2006年竣工
・9734+9034+9084+9534+9134+9584+9684+9234+9284+9784 2006年竣工
・9735+9035+9085+9535+9135+9585+9685+9235+9285+9785 2006年竣工
・9736+9036+9086+9536+9136+9586+9686+9236+9286+9786 2007年竣工
・9737+9037+9087+9537+9137+9587+9687+9237+9287+9787 2007年竣工
・9738+9038+9088+9538+9138+9588+9688+9238+9288+9788 2007年竣工
・9739+9039+9089+9539+9139+9589+9689+9239+9289+9789 2008年竣工
・9740+9040+9090+9540+9140+9590+9690+9240+9290+9790 2008年竣工
・9741+9041+9091+9541+9141+9591+9691+9241+9291+9791 2008年竣工
・9742+9042+9092+9542+9142+9592+9692+9242+9292+9792 2008年竣工
・9743+9043+9093+9543+9143+9593+9693+9243+9293+9793 2008年竣工
・9744+9044+9094+9544+9144+9594+9694+9244+9294+9794 2008年竣工
・9745+9045+9095+9545+9145+9595+9695+9245+9295+9795 2009年竣工
・9746+9046+9096+9546+9146+9596+9696+9246+9296+9796 2009年竣工
・9747+9047+9097+9547+9147+9597+9697+9247+9297+9797 2009年竣工
・9748+9048+9098+9548+9148+9598+9698+9248+9298+9798 2009年竣工
・9749+9049+9099+9549+9149+9599+9699+9249+9299+9799 2009年竣工
・9730+9030+9080+9530+9130+9580+9680+9230+9280+9780 2009年竣工
=リニューアル工事=
京王電鉄のプレスリリーフによると2025年3月から9000系10両編成(全20編成)のリニューアル工事をはじめるとの事です。
リニューアルについては2026年に導入予定の2000系を参考に車内および機器の更新工事が行われています。(現在進行形)
・車いす、ベビーカースペースを増設。
・座席のリニューアル。
・座席端の袖切りを変更。
・VVVF制御装置をフルSiCパワーモジュール適用のMOSFET素子に変更。(東芝製フルSiC)
・車外表示器をフルカラーLED方式(側面表示器・前面行先表示器)に全面交換して更新。
なお、8両編成についてはリニューアルの計画はないそうです。
=まとめ=
現在のところ京王電鉄の本線で活躍している車両は下記のとおりになります。
・1984年(昭和59年)~1996年(平成8年)に製造された7000系:190両
・1992年(平成4年)~1999年(平成11年)に製造された8000系:244両+代替車1両
・2000年(平成12年)~2009年(平成21年)に製造された9000系:264両
・2017年(平成29年)~2025年(令和7年)に製造された5000系(2代目):100両
すべての車両が20m級の両開き4ドアの車体なんですね。
さらに2026年(令和8年)~2027年(令和9年)にかけて新2000系が40両(総合車両製作所)の導入がプレス発表されています。
いちはやく営業全車両のVVVFインバータ化が達成されているだけに自動運転化についても早期の達成が見込めますね。
とりあえず新型の2000系は7000系の非貫通編成(4両+6両)の置換え用として導入するそうなので、都営地下鉄新宿線への乗り入れは想定していないそうです。
また、相互直通運転をしている都営新宿線の車両は10-300形のみで、現在は10両編成×28本(280両)で活躍しています。
この10-300形で運用中の車両はJR東日本のE231をベースにした編成が4本、E233-2000番台をベースにした編成が24本になります。
都営新宿線は都営大江戸線に次いでドル箱となる黒字路線なので車両の対応工事や仕様の変更も容易に対応できるのではないでしょうか?
連続高架化事業の終了と全線ホームドア設置、自動化運転の推進と、ここしばらくは京王電鉄の動向が楽しみですね。





