年金が減らされてゆくニュースが気がかりなこの頃。
妻と通う喫茶店でのモーニングが日課となっている。
晴れた日の朝、妻と並んで歩く住宅街の一角に、ひっそりと建つ洋風の建物。
店のガラス越しに、隣りの家で飼われている犬が見える。
手入れのされていない庭、日除け用の葦簀(よしず)が無造作にかけられた犬小屋。
もさもさの毛は手入れされておらず、よれよれの風体。
みるからに雑種の老犬は、抜けた毛のブラシすらかけられていない。
畜生犬(ちくしょうけん)、私達夫婦はこの犬をそう呼んでいた。
うちにも昔、犬はいた。
子育ての間中、ペットとして飼っていた。
犬が死んだ時、悲しみで次を飼う気にはなれなかった。
息子は飼っていた文鳥が死んだ時も、亀が死んだ時も泣いていた。
目が腫れるまで泣いて、翌日、学校を休んだ。
墓まで造って、花を添えていたことを思い出す。
その息子が獣医になり、一昨年開業。
電話で犬猫のことを、坊っちゃん、お嬢ちゃんなどと呼ぶ。
オス、メスだろうと言っても、聞く耳を持たない。
残飯はダメ、ペットフードしか与えてはいけない、出産は帝王切開。
犬印の腹帯は安産のお守りだったはずだが、時代が変わったらしい。
子供達が独立し、家に夫婦2人が取り残された。
今日も変わらず、そこにだらしなくいる畜生犬。
が、突然、妻が驚いたように私に言った。
畜生犬が替わっていると。
私には同じに見えるのだが、違いを聞くと当たり前のように説明を始めた。
「犬」と一括りで呼ぶが、犬の種類は数百種とあるらしい。
それぞれ特徴があるから覚えやすいのだと言う。
「キリンやシマウマじゃありませんから、犬の違いはわかりますよ」
言われても、以前のそれと同様の風体にしか見えない。
遠くから眺めるだけの犬の特徴を覚えているとは、私とは視点が違うのだろうか。
私のクルマ、ベンツ。
長年、Eクラスを乗り継いできた。
事故も数回当てられた程度で、怪我など一度もない。
頑丈で安全、統計上このクルマに乗っている人の事故による死亡率は低いらしい。
何が良いかと聞かれても、はっきり答えられない。
乗ってすぐは進化していると体感できるが、クラスの違いまではわからない。
Cと言われればC、Eと言われればE。
その点、ここ最近の日本車は凄い。
例えばレクサス、プリウス、CR-Z。
座ってエンジンをかければ、見た目にもはっきりと進化がわかる。
連れ添って40年。
妻が似た女性に替わっていたとしたら気付くだろうか。
違和感無く過ごしてゆけるのなら、それはそれで良い気もする。
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2011/01/31 16:09:42