• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

無伴奏チェロのブログ一覧

2012年02月25日 イイね!

BMW 5 って どうよ

BMW 5 って どうよ











「2、3か月前、何かありました?」
いつもの理容室に来て、変な問いかけをされ返事に困っていると、
「禿げができてますよ。それも何か所も」


髪を切りながら驚いたように後ずさりされると、良い気はしない。
何度も「うわっ」とか「えっ」とか言われては、たまったもんじゃない。
短くしてくれと言った俺が悪いのか。


「これ、たぶんですけど、ストレスによる脱毛だと思います。
 はやく戻るといいですけど・・・」


髪のプロにそう言われると、歯科医の俺としては返事に困る。
予期せず膿が飛び出してくると、反射的に一瞬後ろへ引いてしまう時がある。
俺の髪を切る彼が、今まさにそんな感じだ。




ここ半年ほど、忙しいと言うかトラブル続きだった。
多忙とスタッフの退職が重なり、冷静さを装いながらもいら立っていた。
おまけに技工士を替えざるを得ず、慣れない対応に追われていた。


痺れ出したのは、左側の側頭部だった。
だんだんと痺れる範囲が広がり、頭頂部から頬辺りまで痺れていた。
気にしなければそれまでのことと、風呂でマッサージする程度で済ませていた。


理容師のセリフが気になり、内科医の友人に電話してみる。
診療時以外に個人的な相談は避けたいが、病院にかかる気は全く無かった。


「右手で指を鳴らしてみろよ」

健康相談は毎度のことなのだろう。
尋ねると、ダルそうに淡々と告げられる。
携帯電話越しに指を鳴らしてみるが、どうってことはない。


「片足で立っていられるか?」

左手で携帯を耳に充てたまま、右手を横に伸ばし右足をあげる。
これも大丈夫、問題ない。


「ふーん。ま、その2つが出来なくなったら手遅れってことだ。
 そのうちに呂律が回らなくなって気付くかもな。
 人生、何が大切か、考えろよ」




翌日、大学にお願いし、臨時の歯科医師を交替で派遣してもらうよう依頼。
休暇をとると妻とスタッフに伝え、2カ月間の休養を決めた。
自営の仕事に区切りなんてつくはずもなく、職場放棄のようなものだ。


と言って、家にいても何もすることが無い。
妻は労わってくれる訳でもなく、いつものように家事をしている。
子供たちは学校に出かけ、部活動と塾に通い、会話が増えるでもない。


「どこか1人で旅行でもしてきたら?」
妻にそう言われても、内心ときめく訳もなく、読書にふけるばかり。
散歩するほど年寄りでもなく、ジョギングするほどの体力も無い。




クルマを磨くことにした。
道具としか考えていなかったBMWを、時間をかけて洗車しワックスをかける。
すると、これまで気付かなかった細かな傷や、ボディラインが見えてくる。


ショップでホイールとタイヤを替えてみた。
店員に勧められるまま購入したシュニッツァーにピレリ。
外観も乗り味も、シャープなイメージに変わった気がする。


「カッコイイですよね、このクルマ。
 私の一番好きなBMWなんです」

店員の女性に言われると、悪い気はしない。
あまり気にせず乗っていた5年目の530i。
家族4人、安全に移動できれば良い程度の理由で、勧められ購入した。


物事へのこだわりなんて、深く考えてこなかった気がする。
追われるように患者を診て、次々に辞めてゆく歯科助手を募集しては面接し、
ローテーションを割り当てて給料を支払う。
大学を離れ、開業してからというもの、ローンの支払いだけを考えてきた。


「良かったら運転してみる?」

どうしてこんなセリフが出てきたのだろう。
口に出した自分が一番驚いている。
やはり俺は病気なのかも、そう、病気のせいだと言い訳まで考えていた。


「明日は休みなんで、昼からの待ち合わせでいいですか?」

言いながら見つめる彼女の瞳が潤んだ気がした。
こんな気持ちは久しぶりと言うか、熱いものが身体にこみあげてくる感覚。
冷静にと自分自身に言い聞かせつつも、笑顔を押さえられそうにない。


リハビリなんだ、これは。
俺にとって必要な出会いを、神様が授けて下さったに違いない。
はにかむような若い彼女の笑顔が眩しい。




奥のバックヤードから2人を観て、ほくそ笑む男がひとり。
ツナギの袖をたくし上げた彼氏の腕に、黒いタトゥが覗いていた。











Posted at 2012/02/25 16:34:18 | コメント(6) | トラックバック(0) | 日記
2012年02月20日 イイね!

ダイハツ タント って どうよ

ダイハツ タント って どうよ











「ガソリン入れに寄っていい?」

トオルのクルマに乗ってすぐ、ガソリンスタンドに立ち寄る。
金額を設定して、セルフで2千円だけ給油。
お出かけはいつもトオルの親のクルマ、ダイハツTANTOだ。


トオルは自分のクルマを持っていない。
あたしも免許はあってもクルマ買うなんて考えていない。
って言うか、今のお給料じゃ無理だし。



一緒に過ごすって、ドライブよりマンガ喫茶ってのが一番多いかな。
2人で食事ってのも、良くてファミレスと決まってるし、外で呑まないし。
今日はコンビニで、おにぎりとお菓子とペットボトルを買った。


月に一度は贅沢気分でラブホへ。
フロントのモニター画面で部屋を選ぶ。
しばらく岩盤浴が続いたから、今日はサウナにしよう。
タッチパネルでカードキーを受け取り、エレベーターに乗る。


部屋に入ると会員カードを差し込み、ウェルカムドリンクを注文。
タダだからオレンジジュースを注文し、買ってきたペットボトルは冷蔵庫へ。
トオルはノンアルコールビールをモニターから選んでいた。


あたしがマッサージチェアに座っている間に、トオルが風呂の湯を張る。
サウナのスイッチは入れてもすぐには使えないから、とりあえず入れておく。
トオルは貯まったポイントを使い、スロットをして遊んでる。


マッサージが終わったら、次はカラオケ。
まず、あたしが数曲続けて歌う。
スロットを終えたトオルが選曲を入れると、あたしはお風呂へ。
髪を洗い、のんびりテレビを眺めながらジャグジーに浸かる。


TVCMで、ダイハツ・タントが流れた。
子育て満開、燃費向上、パパとママの子育て奮闘記だって? 
産める訳ないじゃん。
貯金もないし、その間、誰があたしと子供を養ってくれるのよね。



トオルがバスルームに入ってきた。
彼はエアーマットで仰向けに寝たままのローションプレイが好きだ。
こうしてるとエッチもエステとたいして変わらない。


買ってきたお菓子食べながら映画観て、フリータイムいっぱいまで過ごす。
2人でどこかへ出かけると思えば安上がり。
ホテル代とコンビニ代をワリカンにして払う。


あと1回でヴィトンのポーチがもらえるポイントになるのが楽しみなあたし。
ここの景品、女モノしかないからあたしがもらう。
せこいトオルも、ここでワリカンとは言わないでしょ。


「ガソリン代も半分出してもらっていい?」
「あんた、ポイントでスロットして使っちゃったからダメ」
「ちぇっ」



同年でお互い働いてるとはいえ、包容力や経済力なんて微塵も無い。
将来の夢とか、どんな家に住みたいとか、欲しいクルマの話なんてしない。
もちろん、あたしとの結婚話しもだ。


「仕事辞めて、育児に専念しろよ」なんて言われてみたい。
でも、口先だけで別れても養育費ももらえないなんてことになったら最低だし。
結局、不安があるうちは結婚すら無理ってことかな。


自信に溢れ、「任せろ」って笑顔で言える男が周りにいない気がする。
誰だって不安はあって当然だけど、勢いあっての男気でしょ。
冷静に損得でモノを考えられたら、こちらも不安で決められないっての。



お金無し、夢無し、願望無し。
トオルは堅実な性格だけど、恋人だなんて思ってないから彼氏募集中です。
子育てしたいモード全開だし、責任感のある人、よろしくね。












Posted at 2012/02/20 16:54:32 | コメント(5) | トラックバック(0) | 暮らし/家族
2012年02月11日 イイね!

86 って どうよ

86 って どうよ









一生結婚しないんじゃないかなと、今も思っている。
容姿や機会とかじゃなく、生活することに冷めてしまっているから。
子供はひとりくらい産んでおいてもいいかなとは思うけれど。


ひとり暮らしをしていても、実家のことばかり気になっていた。
父に癌が見つかってからは特に、できるだけ里帰りするようにしていた。
大好きだった父が亡くなり、七七日が済み、1周忌が済んだ頃、
ぽっかりあいた胸の隙間に彼が入ってきた。



アクアを見にくる人が絶えない、ここトヨタの展示ブース。
仕事帰り、彼との待ち合わせは1階で。
その後は、上の階で食事をするパターンになっている。


ヴィッツのボディに初期プリウスのエンジンを載せ、燃費は最高レベル。
なのにどうってことないクルマと感じるのは、簡素な内装から受ける印象か。
機能性重視で移動手段に特化とは、まさにカイゼンのなせる技と思う。




名古屋駅前、ミッドランドスクエアにあるトヨタ自動車ショールーム。
この日は2日間だけということで、2台のクルマが運び込まれていた。
それぞれの名前は、AE86とハチロク。


AE86ってのは、昔のカローラレビンとスプリンタートレノのこと。
違うクルマなのに、同じ型の名前なのだそうだ。
当時、若者に人気があった伝説のクルマらしい。


その愛称からとった新しいハチロク。
今年の主力商品として全トヨタ販売店で売り出されることが決まった。
発表はされたものの、納車自体はもう少し先になるのかな。



「あれ、ちょっと待って」
やってきた彼は私に目を向けたあと、すぐに後ろへ視線を送る。
「おお、レビンじゃん。俺、乗ってたよ」


そっちですか?
新型のハチロクではなく、古いクルマに見入ってる彼。
目の輝きが、いつもと違う気がする。


すぐ横に、割腹のよい中年男性が部下らしいスーツ数人を引き連れ立っている。
すだれ頭のオッサンだけれど、彼と同じように目が輝いている。
なんだか凄くイヤな気分になった。


革の上下を着た男性が、スーツ姿の若い女性を連れて見入っている。
秘書らしい女性は全く興味がないようで、時間をやたら気にしている。
彼もセレブっぽいが、歳は見かけ以上にいってるのだろう。


「リトラクタブルヘッドライトのトレノに乗ってたんだ」
子供のような目で、古く赤いクルマを眺める中年組。
三つ揃いのスーツを着たオッサンたちが、堂々と取り囲んでいる。




「ちょうど世間でビデオデッキが売り出された頃でさ。
 ダチが買ったってんで、それがソニーのベータでさ。
 ドリキン土屋観て、夜中に峠走りに行ったもんよ」


4階の蕎麦店に入り、カウンターで嬉しそうに昔話を語る彼と私の歳の差は21。
バツイチの彼には高校生の子供がいるが、会ってはいないと言っていた。
笑顔で受ける私も若くないが、意味不明な単語がこうも並ぶと不安だ。


「軽井沢シンドロームに影響され、ジープ買うかゴルフにするか悩んでさ。
 ホンダからプレリュードやブルドッグ、バラードスポーツが出るし。
 悩んだ末に買ったのが、このハチロクだったんだ」



ノスタルジーもわかるけれど、新しいハチロクのほうがいい気がする。
ただ、結構高いこのクルマを同世代の男の子たちが買うだろうかと思うと、
まだアクアを選ぶ方が正解な気がするのは私だけだろうか。


言ったらまた結婚が遠のきそう。
って、既に無理かも。










Posted at 2012/02/11 17:27:15 | コメント(5) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

お仲間になれたら幸いです どうぞよろしく
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2012/2 >>

   1234
5678910 11
12131415161718
19 2021222324 25
26272829   

愛車一覧

BMW X5 BMW X5
V8って、イイ
ポルシェ 911 ポルシェ 911
思い切り走らせてあげたい
ポルシェ 911 ポルシェ 911
3.8Lを楽しみたい

過去のブログ

2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2009年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation